(本記事は、津井 輝氏の著書『「競売不動産」で資産を増やす方法』実業之日本社の中から一部を抜粋・編集しています)
アパート掃除を家族でやる深いワケ
アパート経営で大切なことはなんでしょうか。
家賃の回収、入居者様の苦情対応、資金管理、修繕計画、建物のメンテナンス、草むしり、入居者様に快適に住んでいただくことなど多岐にわたります。サラリーマンオーナーは自身で全部やるのは不可能です。信頼がおける管理会社へお任せするしかありません。
では、オーナーは何をするのか。
アパートを取得したあと、落ち着いてしまった時期に入ると特にすることはないのですから、大家さんというと、お年寄りのおじいちゃん、おばあちゃんのイメージになってしまいます。
このイメージはなかなか的を射ていると思います。私は第6章で説明する確定申告資料の作成とアパート掃除こそ、平時におけるサラリーマンオーナーの仕事だと思っています。
特にアパートの掃除は大切にしています。アパートを掃除すると、入居者様やご近所の方々とお会いでき、コミュニケーションがとれるので、思わぬトラブルの回避やトラブル発生時に協力してくれることがあります。外壁のフェンスが壊れたり、泥棒にシャッターを壊されたりしたときに、ご近所の方々に防犯カメラの中身を見せていただいたり、不審者への無言の圧力掛けをしていただいたりしています。
そして、清潔にしておくことで泥棒が近寄り難くなる環境をつくることができます。生えっぱなしの雑草や、自転車のカゴの中に捨てられるペットボトルの山など見過ごしてはいけません。ゴミはゴミを呼び、そして泥棒まで呼び込んでしまいます。清潔に保ち、アパートに平和を、そして安全な環境をもたらすのはオーナーの仕事だと思っています。清潔にしていれば、泥棒もあまり近寄ってきません。泥棒は侵入しやすい、だらしない管理のところを狙ってきます。
そして、このような重要なことは私一人でやってはいけないことなのです。
私は子どもたちにできるだけお金や土地を残してあげたいと思っていますが、〝生きていくための知恵〟を引き継ぐことのほうが、お金や土地などの財産を引き継ぐことよりもよほど価値があると思っています。だからこそ、家族でアパートの掃除をすることなどを通して、可能なかぎり〝生きていくための知恵〟を子どもたちに相続したいのです。
たとえば、家族でアパートを掃除したあと、フランス料理を食べに行くとか、そんな楽しみを付け加えれば、子どもたちも親の言っていることに付き合ってくれるかもしれません。こうした親の想いはすぐに伝わらないかもしれません。それでも時間をかけて〝知恵〟の相続に備えていき、将来、子どもたちがその気持ちに気づいてくれればいいと思っています。
もちろん、お掃除業者様へアウトソーシングして時間を節約する方法もあります。遠くの離れた物件の場合、そもそも物件に行くことが難しい場合もあります。高齢者が活躍されているお掃除会社の協力を得たり、打つ手はいろいろありますが、私はそうではないだけです。手間はかかりますが、家族に、不動産投資の本質を行動で教えたい、背中で伝えたいと考えています。言葉だけでは伝えられないことがあると感じているのです。
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