賃貸経営に興味を持っている人は「不動産をどのエリアに買えばいいのか」について気になるかもしれません。土地や建物の個別要因があるため一概にはいえませんが賃料や物件価格、賃貸需要など経済の基礎的条件は地域によって違いがあります。データによると東京と沖縄には有利な条件がそろっている傾向です。本稿では東京と沖縄が賃貸経営に向いている理由について3つの側面から解説します。

東京都と沖縄県の人口増加率は高い

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(画像=yoshi0511/Shutterstock.com)

人口の増減は賃貸経営の未来を予想するうえで欠かすことのできない要素です。人が増え続ける地域であれば賃貸需要の増加が見込めるため、家賃が下落しにくく土地の価値が上昇しやすいといえます。少子高齢化が進む日本において、人口が増加傾向にある数少ない都道府県の一つに東京都があることをご存じでしょうか。さらにそれ以上高い増加率を示しているのが沖縄県です。

総務省統計局の「日本の統計2019」によると、2010~2015年の人口増減率は全国1位の沖縄県が2.9%、次いで東京都が2.7%でした。3位は埼玉県と愛知県の1.0%となり、2位グループに大きく差をつけたトップ2といえます。両者の増え方における性質の違いにも注目してみましょう。沖縄県の人口増加を支えているのは出生率の高さです。

沖縄県は2004年まで40年近くにわたって全国1位であり続けた「出産大国」で、2017年も合計特殊出生率1.94人とダントツのトップでした。一方、東京都は1.21人と全国の1.43人を大きく下回っています。東京都の人口が増加傾向にある要因は、他道府県からの転入数が多いことです。2019年1月に総務省が公表した「住民基本台帳人口移動報告」によると2018年度の東京都への転入超過数は7万9,844人と群を抜いています。一方、沖縄県は若干の転出超過が2018年時点で継続中です。

引っ越し先として大人気の東京は、魅力が詰まった地域といえるでしょう。

東京都と沖縄県の持ち家率は低い!どちらも50%を切る

賃貸需要を形づくるもう一つの要素は持ち家率です。人口が多くても大多数が家を購入するような地域では、部屋を借りてくれる人は少ないでしょう。持ち家率が低い土地ほど賃貸経営に向いています。2018年における持ち家住宅率の高い都道府県は以下の通りです。

2018年における持ち家住宅率の高い都道府県
順位都道府県持ち家住宅率
1位秋田県77.3%
2位富山県76.8%
3位山形県74.9%
4位福井県74.9%
5位岐阜県74.3%

総務省統計局が2019年に発表した「住宅及び世帯に関する基本集計」によると2018年度の持ち家率のトップは秋田県の77.3%でした。5位の岐阜県は74.3%であり3%の範囲にベスト5が並ぶほぼ横並びの状況といえます。

2018年における持ち家住宅率の低い都道府県
順位都道府県持ち家住宅率
1位沖縄県44.4%
2位東京都45.0%
3位福岡県52.8%
4位大阪府54.7%
5位北海道56.3%

持ち家率の下位に目を向けると50%を切ったのは沖縄県(44.4%)と東京都(45.0%)の2都県のみでした。またしてもツートップの登場です。持ち家率の差を形成する要因には「文化の違い」「住宅価格の高さ」「人口構成」「一世帯あたりの人数」などさまざまなものがあります。いずれにしても、すぐに変化することは考えにくく「沖縄と東京に潜在的な入居者が多い」という状況は今後も続くことが見込まれるでしょう。

東京都の家賃は全国で断トツに高い!沖縄県は中位

同調査によると2018年における賃貸住宅の1畳あたりの月額賃料は全国平均で3,074円、東京都は5,128円、沖縄県は2,336円です。2位は神奈川県の3,898円のため、東京の高さが際立っています。沖縄県の家賃は全国平均を下回るものの、そもそも平均値は東京都など一部の高さがけん引していることもあり、平均を上回るところは関東と関西の6都府県しかありません。

都道府県別で沖縄県は21番目と中位であり、九州地方では福岡の次に高いです。全国平均は3,074円ですが中央値は2,289円となり、2,336円の沖縄県は中位より上といえます。地方には数百万円で買える格安の賃貸アパートが出回ることがありますが、家賃相場があまりに低いと利益がほとんど残らなくなることがリスクです。しかし東京と沖縄は地方に比べて家賃相場が高いことから、比較的底堅い収益が見込めるでしょう。

東京と沖縄がツートップ!なかでも東京の優位が際立つ

人口の増減率や持ち家率、家賃相場などの動向を見ると東京と沖縄は他の道府県に比べて優位性が高いといえます。特に東京は出生率だけに依存しない人口増加や家賃の高さが魅力的な地域です。(提供:Dear Reicious Online


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