セミリタイアを検討している人向けに、今回はアメリカで注目されている「4%ルール」を紹介する。自ら会社を辞め、不労所得で生活することについて、考え方・実践方法・リスクの観点から解説する。

セミリタイアの目安が「年間支出の25倍の資産」といわれる理由

セミリタイア
(画像=PIXTA)

最近、セミリタイアという選択肢を本気で検討する人が増えてきている。

アメリカでは、「Financial Independence / Retire Early (経済的に自立した早期退職) 」の頭文字をつなげた「F.I.R.E」という言葉が流行し、一大ムーブメントになった。アメリカでは、「F.I.R.E」を実現する目安として、「4%ルール」が注目されている。

「4%ルール」とは、年間支出の25倍の資産を築けば、年利4%の運用益で生活費をまかなえるという考え方だ。年間支出が仮に250万円なら、6,250万円の資産を築いて年利4%で運用すれば、理論上は資産を維持したまま生活できるというわけだ。

4%という数字は、米S&P株の成長率7%から、アメリカのインフレ率3%を差し引いて計算されている。米S&P株は対象銘柄が多いことから、投資家が市場全体の動きを把握する時に、よく参考にされる。

日本のインフレ率は、目標を2%と設定しながらも、思うように上昇せず1%に満たない状況が続いている。つまり「4%ルール」を日本版に置き換えるなら、アメリカほどインフレ率を考慮する必要がないため、「5%ルール」もしくは「6%ルール」と言い換えてみよう。

5%から6%の運用益が期待できるとなれば、「年間支出の17~20倍の資産」を築けば、セミリタイアしても生活が成り立つということになる。

「4%ルール」を実践し不労所得で生活するためにやるべき2つのこと

セミリタイアし、投資家として不労所得で生活する。そのためにすべきことは2つだ。

1つ目は、節約生活。効率的に資産形成するには、元手を確保することが欠かせない。いくら高利回りで運用できる能力があったとしても、元本が少なければ投資効率は下がるものだ。

アメリカでセミリタイアを目指す人も、年収に対して70%など、高い貯蓄率を維持している。まずはセミリタイアしたい年齢と自分の資産状況から逆算し、毎年どのぐらいを貯蓄に回すべきか計算する必要がある。

2つ目は、資産運用。資産運用を取り入れることで、資産形成にかかる時間を短縮できる。また、セミリタイア後に資産運用で生活費を捻出することを考えれば、投資経験を積み、投資感覚を磨いておくべきだろう。

セミリタイア後に不労所得で生活することを想定するなら、高配当利回りの銘柄を保有することが大切だ。また、上昇・下落の予測がつきにくい日本株より、過去数十年に渡って安定的に上昇している米国株をはじめとした、先進国株式に目を向ける必要もある。

実際に5%から6%の運用益を投資によって確保できる手ごたえがあるかどうかは、セミリタイアを決断する前に、しっかり確認しておきたい。

情報感度を高め、幸せなセミリタイア生活を実現する

ここまで、「4%ルール」の意味や実践方法について解説してきた。しかし、「4%ルール」にはもちろん留意すべき点がある。

資産運用の特性上、毎年安定的に4%の運用益が得られるとは限らない。全体として右肩上がりで上昇していても、年単位で見れば上下することはもちろんある。投資家には、そんな時に一喜一憂しない強い精神力が必要とされる。

また、資産を株式で運用する以上、株式市場の下落によって資産価値が減少する可能性も否定できない。投資である以上、リスクはつきものだ。

特に最近は、アメリカの金融政策や大統領選が、相場に強く影響する状況が続いている。米中貿易摩擦やイラン問題など、海外情勢も無視できない。どんな情報が相場に影響を与えるかわからないので、常に情報感度を高く保ち、世の中を冷静な視点で見極める必要がある。

リスクヘッジとして分散投資を行うとともに、情報収集も欠かさずに行うことが、幸せなセミリタイア生活を送るために大切なことだ。また、セミリタイアはまだ「新しい生き方」といえるからこそ、家族にきちんと説明し、十分な周囲の理解を得ておくことが望ましい。(提供:大和ネクスト銀行


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