毎年、誕生月になると届く「青いハガキ」を覚えているでしょうか。これは日本年金機構から届く「ねんきん定期便」です。老後資金が2,000万円必要という報告書が話題になり、公的年金にも関心が高まりつつあります。自分がもらえる年金額を知るための情報源である「ねんきん定期便」を活用するために確認しておきたいことをまとめてみました。

ねんきん定期便とは?まず確認すべきは「最近の月別状況」

ねんきん定期便
(画像=PIXTA)

ねんきん定期便は、国民年金や厚生年金に加入している人に必要な情報を知らせるため、毎年届く青い圧着式のハガキです。「数字が多くよく分からないから」と内容をあまり確認していないという人もいるかもしれませんが、ねんきん定期便には老後の生活設計に必要な多くの情報が記載されています。

まず確認しておきたいのは、この1年間の国民年金の納付状況や厚生年金の納付額が記載されている「最近の月別状況」です。こちらに記載漏れや金額の誤りがないかを確認し、もし誤りがあれば、記載されている「照会番号」を元に、日本年金機構に問い合わせましょう。これまでの保険料納付額、これまでの年金加入期間等もあわせて確認しておきましょう。

節目の年──35歳、45歳、59歳──には封書で届く

通常は、ハガキで届くねんきん定期便ですが、35歳、45歳、59歳の節目の年にはより詳しい情報が記載された封書で届きます。封書でのねんきん定期便には、「これまでの『年金加入履歴』」に、全期間分の納付状況が記載されていますので、必ずチェックしておきましょう。

もし、加入履歴の欄に「空いている期間があります」と記載されている場合は、転職や結婚などで国民年金と厚生年金との間を異動したり、また同じ年金制度間での転職や出向をしたりした際の手続きがうまくいっていない可能性があります。1ヵ月でも空白があると、将来もらえる年金額が少なくなりますので、なぜ空白期間があるのか心当たりを確認しましょう。

また、厚生年金に加入している人は「標準報酬月額」もこれまでの分が全て記載されていますので、当時の給料と大きな違いがないかを確認しておきましょう。

年金記録のもれや誤りがあったら、同封されている年金加入記録回答票に必要事項を記載して返送するか、近くの日本年金機構に持参して問い合わせましょう。

ねんきん定期便で老後にもらえる年金が分かる?

実は、ねんきん定期便では50歳未満か、50歳以上かによって記載内容が異なる部分があります。それが年金額に関する情報です。50歳以上の人は、これまでの加入実績を元に、今後も同じ条件で保険料を納めた場合にもらえる老齢年金の種類と見込み額(年額)が記載されています。よって、実際にもらえる年金額に近い値になりますので、65歳からの老後資金計画を立てる際の参考にすると良いでしょう。

一方で、50歳未満の人が受け取るねんきん定期便には、「これまでの加入実績に応じた年金額」が記載されています。この年金額は、例えば30歳の人では20歳から約10年間の加入実績に基づいた年金額になりますので、実際にもらえる額よりかなり少なくなっています。

50歳未満の人が、将来もらえる年金額を知りたい場合、インターネットで「ねんきんネット」にアクセスして試算する方法があります。ねんきんネットを利用するにはサイトにアクセスし、基礎年金番号やメールアドレスを登録してユーザーIDを発行してもらう必要があります。ただ、ねんきん定期便の「お客様のアクセスキー」を入力すれば、ユーザーIDを即時発行できます。アクセスキーの有効期限は、ねんきん定期便が届いて3ヵ月 ですので早めにユーザーIDを発行しておくと良いでしょう。

ねんきん定期便を老後の生活設計を考えるきっかけに

これからの時代、公的年金だけでは老後資金をまかなうことは難しいでしょう。自分がもらえる年金額を知るのが老後資金対策への第一歩です。「この年金額では老後の生活が不安」と思ったら、個人型確定拠出年金(iDeCo:イデコ)やつみたてNISA(ニーサ)、個人年金保険、積み立て貯金などを活用して早めに自分のための資産形成を始めておくと良さそうです。誕生月に届くねんきん定期便を、老後の生活設計を考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。(提供=auじぶん銀行)

執筆者:福島佳奈美(ファイナンシャルプランナー)

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