新型コロナの影響が長期化すると予想される中、在宅ワークを含む働き方や新たなビジネスモデルなどが推進され始めており、世界規模で変革の時を迎えています。こうした新たな変化は、アフターコロナの働き方やビジネスの在り方にも、大きな影響をあたえることが予測されます。

欧米のテレワーク事情から、新たに求められるビジネススキルや生産性を向上させるうえで取り組むべき課題について考察してみましょう。

コロナショック、欧米のビジネスシーンで起こった事象

テレワーク,働き方
(画像=proxima-studio/stock.adobe.com)

コロナ以前から一部の企業でテレワークの導入・促進が進んでいた欧米では、コロナを機にテレワークへの移行が一気に加速しました。

世界の職場状況に関する米調査・分析企業GWAが2020年3月末から4月下旬にわたり、世界の労働者2,865人を対象に実施した調査では、「週1回は在宅勤務している」という回答者の割合が、パンデミックを機に約3分の1から88%に急増したことなどが明らかになっています。

テレワークへの移行は概ねポジティブに受けとられており、「テレワークを継続したくない」と答えたのはわずか6%にとどまりました。

テレワークで生産性向上、一方でコラボの難しさが課題

テレワークへの移行にあたり懸念されていた生産性への影響に関しては、ポジティブな結果が報告されています。「オフィスで生産的に働ける」と答えた回答者は63%だったのに対して、75%が「自宅でも生産的に働ける」と答えました。

しかし、コラボレーションが伴う業務でチームワークが必要な場面では、満足度には変化がみられます。87%がオフィスでのコラボレーションに満足しているのに比べて、自宅でのコラボレーションに満足している割合は61%と、反応は少し異なるようです。

この結果はコロナ以前に実施された、別の調査結果を裏付けるものです。

米ソーシャルメディア・ツール企業バッファー(Buffer)の2020年の調査では、欧米を中心とする回答者3,521人のうち70%が「リモートワークに満足」しており、「自分の生活スタイルに合わせて働ける(32%)」「好きな場所から働ける(26%)」「通勤の必要がない(21%)」ことを3大理由として挙げました。

しかしその一方で、20%前後が「コラボレーションやコミュニケーションが難しい」「(人間関係が希薄化することによって)孤独を感じる」「オンとオフの切り替えが難しい」と答えています。

こうした調査結果から、テレワークで「よかった」と感じた点をさらに生かすためにはどのような取り組みを行なう必要があるのか、今後の課題が見えてくるのではないでしょうか。

テレワークから価値を創造するために必要なビジネススキルとは

テレワークの急激な普及に加え、コロナ後も新しいワークスタイルが定着すると予想されている今、テレワークによって価値を創造するための「新しいビジネススキル」が必須となるのではないでしょうか。具体的には、下記のようなコミュニケーションスキルと自己管理スキルの重要性が増すでしょう。

チームワークを高めるコミュニケーションスキル

「テレワーク=一人で自由気ままに働く」という意味ではありません。むしろ遠隔地からメンバーがそれぞれのタスクに取り組むからこそ、今まで以上にチームワークを意識する必要があります。

作業フローを細分化して各メンバーのタスクや役割を明確にする、適切なタイミングで進行状況や伝達事項を報告し合う、必要に応じてサポートし合う、問題や課題を共有し解決策を出し合う、他のメンバーの作業状況や体調を気遣うといったこまめなコミュニケーションが、テレワーク時のチームワークを高めるスキルになります。また、チームのつながりを強化することでテレワークにつきものの孤独感の緩和にも役立ちます。

自発的に仕事に取り組めるスキル

チームワークが重要とはいうものの、「自分ができなくても、チームの誰かが指示してくれたり、サポートしてくれたりするだろう」などと必要以上にチームに依存せず、積極的に仕事に取り組む自発性は欠かせません。自発性は自分やチームのタスクや目標、役割を意識し、ゴールに向けて努力を続けることで、自然に高まっていくものです。

自発性には、不明な箇所があれば質問する、自分一人で問題や課題を解決できない時にはサポートを求めるといった適切な判断力も含まれます。

「顔が見えない環境」でも的確に考えを伝えられるスキル

テレワーク環境では「対面」で直接やりとりできない分、相手に伝えたいことの要点を的確に伝えるスキルが重要です。文面によるやりとりはニュアンスが伝わりにくく、相手に間違った印象を与えてしまうこともありますが、ボキャブラリーや表現法を豊かにすることで回避できます。

またWeb会議システムを使う際にも、「会話」だけでなくポイントを押さえた資料の共有などで、話の要点を端的に正確に伝えることができます。

生産性・効率性を上げる徹底した自己管理スキル

テレワークの生産性と効率性を上げるうえで、徹底した自己管理は欠かせません。

タスク管理から始まり、タスクを完了するためのスケジュール管理、スケジュール通りに進行させるための時間管理や健康管理まで、オフィスワークよりさらに広範囲な管理スキルが求められます。また管理スキルを磨くことで、プライベートと仕事の切り替えも上手くできるようになるでしょう。

今まで以上に生産性が問われる時代に対応したスキルを

今後「オフィスで働く時間数」ではなく、「どれほどの価値を生産しているか」が重視される時代が到来しそうです。これまでのワークスタイルやスキルにこだわらず、テレワークも含めて柔軟な働き方に対応できる準備を整えておきましょう。(提供:Wealth Road