経営者が健康的にダイエットして得られる最大のメリット
(写真=THE OWNER)

コロナ禍において、自宅で料理をする人が増えているという。食べものは健康を構成する基本要素であり、健康は経営者にとっても大きな関心事だ。

今回は『アメリカの名医が教える内臓脂肪が落ちる究極の食事 高脂質・低糖質食で、みるみる腹が凹む』出版記念企画として、監訳者の金森重樹(かなもりしげき)氏に話を伺った。

金森氏自身、多くの企業オーナーであり、歯科医院を経営していたことから健康分野にも造詣が深い。ダイエットに関するTwitterアカウントのフォロワー数は12万人を超え、そこでダイエットonlineサロンを主催している。

「経営者のための健康的なダイエット」をメインテーマに全5回のインタビューを実施。

連載第2回目は、経営者が健康を維持するメリットについて伺った。(聞き手:山岸裕一、編集構成:上杉 桃子)※本インタビューは2020年4月に実施

金森重樹
金森 重樹
株式会社金森実業代表取締役。1970年生まれ。東大法学部卒業後、フリーター時代に1億円超の借金をつくる。不動産会社に就職後、29歳で行政書士として脱サラ。現在は不動産、建築、介護事業など年商100億円の企業グループオーナー、ビジネスプロデューサー。20代のころから恒常的に体重が90キロ近くある肥満体型だったが、高脂質・断糖食ダイエットを実践した結果、2カ月で58キロまで減量することに成功。現在はツイッターを中心に、高脂質・断糖食ダイエットの普及活動に取り組んでいる。
アメリカの名医が教える 内臓脂肪が落ちる究極の食事
マーク・ハイマン(著者)
医学博士。9度にわたって『ニューヨーク・タイムズ』紙のナンバーワン・ベストセラー作家となり、専門分野で国際的に認められたリーダー、演説家、教育者、提唱者でもある。また、クリーブランド・クリニックのプリツカー財団機能性医学委員⾧、クリーブランド・クリニック機能性医学センター所⾧、ウルトラウェルネス・センターの創設者兼ディレクターであり、インスティテュート・フォー・ファンクショナル・メディスンの理事⾧、ハフィントンポストの医学編集者を務めている。


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社員のパフォーマンスを上げるレシピ

―ずばり、健康的にダイエットすることで得られるビジネス上の最大のメリットは何だと金森さんは考えられていますか?

仕事のパフォーマンスが上がることでしょうか。機能性低血糖によって昼食後に眠くなることを防ぎ、社員の能率が上がるだけでも事業にとってプラスの効果があるのではないでしょうか。

また社員の疾病とそれを理由とする病欠が減って、健康的に仕事に取り組んでもらえることが会社の業績向上につながっていくと思います。

機能性低血糖とは、例えば炭水化物を摂ることで一時的に血糖値が上がって、インスリン(ブドウ糖をエネルギーに変えるホルモン。血糖値を調整する)が出たあと、極端に血糖値が下がるときに眠くなる、集中力が低下する、それらの状態を指します。

要するに血糖値が上がって下がるというグルコース(血糖値)スパイク(急上昇急降下)が発生することで眠たくなるんですけど、完璧に高脂質誘導(※高脂質誘導は第4回で解説)をかけて、朝か夜に肉を食べて、昼は脂質と飲料のみを摂取することで血糖値が安定し、機能性低血糖の状態を避けられます。

インスリンは、炭水化物摂取時に血糖値が上がると出ると思われていますが、 タンパク質摂取時インスリンが出る事が分かっています。(参考:https://bit.ly/2UFkNtx) ですので、インスリン分泌を極力最小限にするために、また長期肥満によってインスリンが出続けている状態を破るために、タンパク質の摂取は1日1回をお勧めしています。

―「具体的なレシピ」があるのだとか。

手軽にできるところだと、「生クリーム紅茶」と「牛脂スープ」「紅茶ゼリー」ですね。

生クリーム紅茶は無糖紅茶に生クリームを入れます。紅茶である理由は、一般的にコーヒーには紅茶の約7倍の糖質が含まれています。1日に何杯もコーヒーを飲む方も多いのではないでしょうか。1日に何杯も飲むのでしたら、より糖質の低い紅茶をオススメしています。3たとえば一日600ccの珈琲か紅茶を飲む場合には、珈琲で4.2g紅茶で0.6gですからかなりの差がつきますから。生クリームを入れる理由は、脂質を足す事によって満腹感(満腹ホルモン、レプチン)が出るからです。生クリーム以外にもMCTオイルもオススメです。

牛脂スープは、牛脂をミネラルが豊富なお塩(ぬちまーす・雪塩など)で味付けするだけのスープです。全く眠くならずに、体がカッと熱くなるんです。

紅茶ゼリーは、ゼラチンで固めた紅茶に生クリームをかけるだけです。

―商品化できそうですね。

できると思います。眠くならない工夫をして効率を上げることで、経営者自身や社員の昼食後などの血糖値が変動する90分間が無駄にならなくなります。また、エネルギー切れを起こしにくく、夜まで疲れにくいです。眠くなる食事(高糖質)は、さまざまな疾患の原因になりうると考えていいでしょう。

一度お試しいただけば、昼食後のパフォーマンスが全然違うことを実感できるのではないでしょうか。眠くならず、食事後に体が勝手に沈んでいくような感覚ややる気のなさに襲われることがなくなります。

また、さまざまな成人病の健康診断がオールクリアになれば病気を予防できますから、社員の労働生産性が上がります。

―いい事ずくめですね!

もうひとつ重要な視点をお伝えしましょう。うつ病はタンパク質と鉄不足も原因の一つです。(※方丈社『うつ消しごはん』藤川徳美著(2018)を参考)これも、栄養やサプリによる代謝改善によって、うつ病で会社を長期休業する社員を減らせるかもしれません。

慢性疾患にかからなければ社員は長く健康に働ける。社員のうつ病による休職をなくせれば、さまざまな会社の負うコストを削減できるのではないでしょうか。

すべては長生きするために身につける必須知識

―経営者自身がダイエットして健康を維持することのメリットはありますか?

損得を考えるなら、健康寿命を長くしたほうがいいですよね。例えばもし、事業承継を考えるならなるべく健康面を重視して、時間的猶予を持ってじっくり相続対策を行いましょう。

―金森さん自身が健康に取り組む最大の理由は何でしょうか?

私は健康長寿に興味があります。これって、世間の経営者も同じ考えなのではないでしょうか。

長寿の基本的な考えは、「痩せるのと長寿というのは同じ」ことなんです。

具体的には、体内の炎症を減らすために炎症性の食事をωバランスを調整したりMsg、乳化剤などの添加物排除、サプリの摂取で調整する、インスリン制御、ミトコンドリアの機能をアップするなどいろいろあり、詳細は割愛しますが、要するに長寿と健康と減量は全てつながっているんです。経営者はお金よりも健康や長生きをすごく重視しているのではないでしょうか。

私は一生分のお金をすでに稼いでいて、二生目を今、稼いでいるのですが、すごく長生きに興味があるんです。ファラオも皇帝もいつの時代でも人は不老長寿を求めますよね。

―確かに。

「幸福のパラドックス」、すなわち70年代にリチャード・イースタリンという経済学者が提唱した仮説があります。所得と幸福度は一定の段階まで右上がりの相関曲線を描いて、やがて頭打ち(水平ライン)になるんですね。

最近だとダニエル・カーネマンというノーベル賞をとった行動経済学者が同様の事を述べています。彼曰く、やっぱり幸福はお金によらない。同じく、お金で得られる幸福はやがて頭打ちになるという話です。では幸福度アップのためには何か大切かというと、1つは健康だったりする。

だからこの書籍では、痩せるだけではなく、痩せることと同じ方法で長生きできますと伝えたい。私は健康で長生きが大切だと思っています。一般的な経営者も同じ考えの方はいるでしょう。

―書籍の中で、ここだけは伝わってほしいと思っている部分を改めて教えてください。

シンプルに、「脂質は悪者ではない」が伝わってほしいです(笑)。

まずは「21日間食事プログラム」から始めてみよう

―書籍の中で、経営者がもっとも参考にすべき箇所はどの章になりますか?

なぜ糖質が良しとされ、脂質が悪とされてきたか。そこには政治的なつながりがありました。調べてみれば糖質が身体に悪いことは明白なのに、人々の健康と引き換えに、大企業には健康を害すると分かっているのに利益のためにそれを無視する傾向がみられる。

これは恐らく、健康業界以外にも通ずる普遍的な学びのある話だと思うので参考になるでしょう(詳細は第5回)。

―書籍のメソッドはとてもためになる一方、全てを一度に取り込んで実践するのは若干、難しそうです。経営者が陥りがちな健康不安を踏まえたうえで、はじめに取り入れるのにおすすめの方法はありますか?

「21日間(3週間)食事プログラム」が提唱されています。このプログラムに沿ってスタートするのが取り組みやすい方法かと思います。

これは「習慣を変えて新しいパターンを学習し、生体機能を完全にリセットし、炎症を抑制し、胃腸を回復させ、高脂質食に適応するために必要な期間」とされ、具体的な食事の摂り方などが書かれています。ぜひ本を手にとって読んでみてください。全部が全部、僕の考えと一致はしていませんが、参考になると思います。

―金森さん自身も経営者をされています。経営者が健康を維持することは重要だと想いますが、金森さんは健康に対し、経営者としてどうあるべきだと考えていますか?

ヒトの体は自分が食べたものによってつくられています。だから、適切な方法で食べる必要がある。製薬会社や医者の意見を鵜呑みにしないで、作用機序とエビデンスから考えて適切な方法を取り入れていく必要があります。

※個人の感想であり、効果・効能を示すものではありません。(提供:THE OWNER