今、多くの人が老後の生活に不安を感じ、投資・資産運用に関心を寄せています。その中で特に注目を集めている投資がiDeCo(個人型確定拠出年金、イデコ)です。今回は、「これからiDeCoを始めようかな」と考えている方向けに、仕組みと投資のポイントをお伝えします。

iDeCoの仕組みを簡単におさらい 他の年金との2つの違い

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(画像=PIXTA)

iDeCoは確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度です。国民年金や厚生年金と同じく、現役時代からコツコツお金を支払って老後の年金を作りますが、従来の制度との違いが2つあります。

1つは、資産運用の主体が異なり、「自分で運用する」点です。従来の制度では、国や企業が預かった資産を運用していましたが、iDeCoでは掛金を支払う個人が自ら資産運用を行うのです。

もう1つは給付額が異なり、「資産運用の結果によって将来受け取れる年金額が変動する」点です。従来の制度では、個人が将来受け取れる年金額があらかじめ決まっていました。しかしiDeCoでは、自分が何に投資するか、それ次第で年金額が変動します。個人の責任と工夫で老後資金を作っていくのがiDeCoなのです。

iDeCoのメリット・デメリット

iDeCoの仕組みに加え、メリット・デメリットについても確認しておきましょう。

メリットは3つあります。1つ目は、通常の資産運用に比べて節税のメリットが大きいという点です。iDeCoの掛け金は全額所得控除になり、運用時の利益は非課税です。年金の受け取り方は一時金方式と年金方式があり、いずれも税金がかかりますが、それぞれ退職所得控除と公的年金等控除が受けられます。

2つ目は、20歳以上60歳未満で、原則として国民年金や厚生年金など公的年金に加入していれば、雇用形態や立場に関係なく加入できる点です。正社員や自営業者だけでなく、主婦や公務員も加入できます。

3つ目は自分の運用次第で将来の年金額が大きくなるという点です。上手に運用すれば、従来の年金制度よりも多額の年金を受け取ることができるかもしれません。

一方、デメリットもあります。それは原則として60歳までは積み立てた資産を引き出せないという点です。教育費や住宅購入で何かと支出がかさむ現役世代にとっては、不安要素のひとつとなるかもしれません。さらに、60歳になれば誰でも必ず受け取れるというわけではありません。60歳になっても、通算10年以上加入していないと受け取れないのです。60歳を過ぎて失業や病気でいざ年金が必要となったとき、加入年数が足りなければ年金を受け取れません。

また加入時と運用時には、手数料(金融機関ごとに異なる)がかかることも留意したい点です。

iDeCo投資で成功するための3つのポイント

これからiDeCoの投資を上手に行うためにはどうしたらいいのでしょうか。特に30代や40代になると、結婚・出産・マイホーム購入などでライフステージも変わり、支出が増えるかもしれません。そうしたことを踏まえて、次の3つを意識してみてはいかがでしょうか。

ポイント1:老後に必要な金額を決めておく

まず決めたいのが「老後資金に必要な額」です。老後資金をすべてiDeCoで準備する必要はありません。既にある程度貯蓄や資産がある、あるいは不動産を持っていて家賃収入があるなど老後も安定的に収入が見込めるならiDeCoへの投資は少額でよいかもしれません。逆に、iDeCoで増やしたい額が大きいなら、投資額も増やす必要があるでしょう。

ポイント2:他の投資のバランスを考える

既に何か投資を行っているのならば、それらとのバランスも考えましょう。例えば、つみたてNISAを始めている人もいるかもしれません。そうした他への投資額との配分を調整しないと、毎月投資にあてるお金をねん出するのが難しくなる恐れがあります。また、iDeCoで投資する商品のバランスも定期的に見直したほうがよいでしょう。

ポイント3:できるだけ早めに始める

さらになるべく早めに開始することが肝心です。たくさんの情報を集めても実際に投資を行わなければ、その分加入期間も短くなります。先ほどお伝えしたように、60歳過ぎても加入期間が通算10年経過していなければiDeCoで積み立てた年金は受け取れないのです。

もし40代などでこれからiDeCoを始めたいと考えているならば、しっかりと検討もしつつ、早めに投資を始めたいところです。商品選びが難しいと思ったら、コストが比較的低く設定されている初心者向けのインデックスファンドから始めるとよいとiDeCo公式サイトは教えていますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

歳を重ねれば60歳という受給開始年齢までの時間がどんどん短くなります。少しでも興味関心があるなら、なるべく早めにiDeCoを始めるとよいでしょう。(提供=auじぶん銀行)

執筆者:鈴木 まゆ子(税理士、ファイナンシャル・プランナー)

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