1 はじめに
国税庁において、毎年6月には、来事務年度に重点的に取り組む重点課題などの調査方針が決まり、7月から新たな事務年度が始まります。
7月から令和2事務年度が始まっていますが、今事務年度の調査方針としては、当面、現状の納税者及び新型コロナウイルス感染拡大防止に配慮した形での調査対応を継続することになるようです。
では、以下で、令和2事務年度における当面の調査方針について、簡単に説明いたします。
2 納税者の明確な同意を得て調査実施
全国的な緊急事態宣言は解除されましたが、現在、感染者数はまだまだ増加傾向にあり、企業としても、テレワークや時差出勤などを実施しており、新型コロナ感染症発生前の状況には戻っていない状況です。 そこで、現在、税務調査をするにあたっても、納税者の状況を十分に考慮したうえで対応されています。例えば、納税者から口頭などで明確に同意が得られた場合に調査が行われています。
3 企業がテレワークを実施している場合
企業がテレワークを実施している場合、テレワークにより出社を予定していないにもかかわらず、調査対応のためだけに従業員を出社させるということは想定されていないようです。 むしろ、従業員が出社する日程に合わせて調査日を調整する旨を調査官に申し出ることも認めるようです。
4 所得税、法人税、消費税、相続税等で同じ対応
税務調査については、所得税、法人税、消費税、相続税など、税目に関わらず同様の対応が行われるとのことです。
5 納税者の状況を十分に考慮
新型コロナウイルス感染症の感染者数は、全国的に見て東京都を始めとする都市部と地方都市とでは、感染者数に大きな開きがあることから、現在の税務調査においては、地域によって調査方針が異なることも考えられます。 ただ、どの地域においても、納税者の状況を十分に考慮するという点においては差を設けないと思われます。ですので、前述のように、税務調査をするにあたっては、納税者の明確な同意を得られた場合に行われますし、また、テレワークを実施している企業に対しても、十分な配慮がなされることと思われます。
6 必要に応じて実地調査を実施
申告漏れや計算誤りなどの比較的単純な申告誤りなどを是正する場合、実地での調査が困難であれば、文書や電話などによる簡易な接触による調査も考えられます。 ただ、従前の通り、必要に応じた形で実地調査が行われるようです。
7 まとめ
以上のように、国税庁では、新型コロナウイルス感染症の現状を踏まえ、当面は現状の対応を継続しつつ、適宜適切な対応がとれるように、随時、全国の税務当局と調査対応などについて協議していくものと思われます。
(提供:チェスターNEWS)