日々「やるべきこと」に追われているだけでは「何でこんなことをしているんだろう?」と疑問を持つ瞬間があるはず。

自分がしたいことや理想の将来像に向けて、前進している実感があってこそ、充実感を得られるはずだ。「朝活」の専門家・池田千恵氏に、そのための「モーニングルーティン」を教えてもらった。(取材・構成:林 加愛)

※本稿は『THE21』2020年12月号より一部抜粋・編集したものです。

本当にやりたいことは「余った時間」に回さない

時間,池田千恵
(画像=THE21オンライン)

毎日忙しく働いているのに、充実感が得られない。次々と仕事をこなしているのに、成長の実感がない――。そんな不完全燃焼感を抱くビジネスパーソンは少なくありません。

それは、目の前のタスク=「Have to」に追われて、したいことや好きなこと、自己実現にかかわることなど、「Want」を犠牲にしているからです。

人はたいてい、「しなければならないこと」を先にやり、余った時間で「したいこと」をしようとします。しかし、そう考えていては、余った時間などできません。

実際、新型コロナウイルスの影響でリモートワークが増え、通勤時間の往復分の余裕ができたはずなのに、したいことをできるようになっていないという人は多いでしょう。

必要なのは、優先順位のつけ方を変えることです。そこでお勧めしたいのが、毎朝、これまでよりも1時間早く起きて、今の状況とこの先の自分について考える時間を取る「モーニングルーティン」です。

目覚めたばかりの脳で始業前1時間に考える

なぜ、考える時間を朝に取るのがいいのか。まず、朝は1日のうちで最もコントロールしやすい時間だからです。電話やメールが来たり、急用が入ったりすることがなく、自分のことに専念できます。

加えて、脳が働きやすい時間でもあります。精神科医の西多昌規先生にお聞きしたのですが、朝の脳は「飽きない脳」なのだそうです。

夜の脳には1日の出来事がいっぱい書き込まれているのに対し、目覚めたばかりの脳はまっさら。この状態で物事を考えると、クリエイティブな発想が広がりやすいということです。

「モーニングルーティン」をするのは、朝と言っても、早朝である必要はありません。始業前の1時間を使ってください。場所も、自室でも、オフィスでも、近くのカフェでも、どこでも構いません。落ち着いて考えられる環境で、始業前の1時間を過ごしましょう。