スマホ証券の口座開設数が急増しています。スマホ証券の特徴は、若い世代のビギナー投資家に支持されていること。2019年12月に行ったLINE証券の調査では、20~30代のユーザーが全体の53%を占めています。また同証券のユーザーの51%が「投資経験なし」というのも特徴的です。実際に人気のあるスマホ証券や各社が打ち出すサービスを紹介します。

スマホ証券の主要3社のサービス比較:ネオモバ、LINE証券、コネクト

20〜30代で利用急増の「スマホ証券」を比較 ビジネスパーソンに合うのは?
(画像=ra2 studio/stock.adobe.com)

2021年1月にマイボイスコムが行った「『スマホ証券』に関するインターネット調査」によると回答者が直近1年間に利用したスマホ証券は以下の通りです。

  • ネオモバ(SBIネオモバイル証券):1.6%
  • LINE証券:1.1%
  • CONNECT(コネクト):0.5%
  • ワンタップバイ(現PayPay証券):0.3%
  • FOLIO(フォリオ):0.1%
  • STREAM(ストリーム):0.1%

上記のうち利用率で上位3社の「ネオモバ(SBIネオモバイル証券)」「LINE証券」「CONNECT」の株式売買・投資信託のサービスの違いをまとめると次のようになります。

ネオモバLINE証券CONNECT
株式/現物取引
株式/信用取引×
単元未満株の取引
投資信託×
IPO(新規公開株式)×

※2021年2月16日時点の内容です。

各社の特徴や手数料など詳しい内容をチェックしてみましょう。

スマホ証券1:ネオモバ(SBIネオモバイル証券)

ネオモバは、ネット証券の口座開設数1位(2020年9月末時点)の「SBI証券」とTポイントを利用したマーケティングを行う「CCCマーケティング」の共同出資で2018年10月に立ち上げられました。その後、順調に口座数を伸ばし2021年に1月に口座開設数50万口座を達成。スマホ証券の分野でネオモバの存在感が増しています。

20~30代で利用急増の「スマホ証券」の主要3社を比較 あなたに合うのは?
(画像:SBIネオモバイル証券 ニュースリリース)

・ネオモバのメリット1:Tポイントで株式投資ができる
ネオモバは、「現金」「Tポイント」「現金+Tポイント」などさまざまな条件で株式投資ができます。Tポイントが使えることは、ネオモバのアドバンテージです。Tポイントを貯めるためのTカードは、20~40代のカード所持率が約8割のため、特に若い世代がメリットを感じやすいといえます。

20~30代で利用急増の「スマホ証券」の主要3社を比較 あなたに合うのは?
(画像:Tポイント公式サイト)

実際にネオモバユーザーの約7割が初回取引でTポイントを利用していることから(同社調べ)「Tポイントで投資できること」を大きな魅力と捉えているユーザーが多いといえるでしょう。

・ネオモバのメリット2:定額制の手数料で取引し放題
ネオモバの特徴には、定額制の手数料で何度も株式取引ができることもあります。例えば月間の約定金額(取引金額)が50万円以内であれば月額220円の手数料で何度も取引が可能です。なお約定金額ごとの手数料は、以下のように設定されています。

月間の約定金額月額手数料(税込み)
0~50万円まで220円
300万円まで1,100円
500万円まで3,300円
1,000万円まで5,500円
1,000万円超100万円ごとに1,100円加算(上限なし)

(参照:ネオモバ公式サイト)
※2021年2月16日時点の手数料

ネオモバの利用者は、月ごとに「期間固定Tポイント・200ポイント」が付与される特典があります。1ポイント1円と考えると実質毎月20円で50万円までの取引が可能です。

・ネオモバのメリット3:1株単位でIPO申し込みができる
このほかのネオモバのサービスには、1株単位でIPOの申し込みができる「ひとかぶIPO」(抽選方式)やロボアドバイザーに資産運用を委託できる「WealthNavi for ネオモバ」などもあります。ひとかぶIPOは、若年優遇があるため20~30代にとっては魅力といえるでしょう。

スマホ証券2:LINE証券

LINE証券は、LINEの子会社の「LINE Financial」と野村證券の親会社の「野村ホールディングス」が共同で出資して2019年8月に立ち上げられました。国内で最も利用率の高いSNS「LINE」の親近感と証券最大手を要する野村ブランドが融合したスマホ証券です。LINE証券は、2021年2月に50万口座を突破するなど前出のネオモバとほぼ同じタイミングで50万口座を突破しています。(ネオモバは2021年1月)

そのため今後は両者が激しいシェア争いを繰り広げることが予想されます。

20~30代で利用急増の「スマホ証券」の主要3社を比較 あなたに合うのは?
(画像:LINE証券 ニュースリリース)

・LINE証券のメリット1:現物取引の買付手数料が無料
LINE証券では、約定金額に関わらず現物取引の買付手数料が0円です。例えばネット証券大手の楽天証券で100万円分の株式を現物取引すると535円(税込み・超割コース)の手数料がかかりますがLINE証券なら0円で済みます。ただし注意したいのは、現物取引の株式を売却するときには、ネット証券よりも割高な手数料がかかる点です。

例えば約定代金50万円の場合の売却手数料は、楽天証券の275円(税込・超割コース)に対して、LINE証券は484円と209円高くなっています。

LINE証券の株式(現物取引)の売買手数料

約定代金買い売り(税込み)
5万円0円99円
10万円176円
20万円198円
50万円484円
100万円869円
150万円1,056円
3,000万円1,661円
3,000万円超1,771円

(参照:LINE証券 公式サイト)
※2021年2月16日時点の手数料。また、同一日に同一注文で複数の約定となった場合には、約定代金を合算し手数料を計算します。

・LINE証券のメリット2:信用取引の売買手数料が無料
ネオモバは、2021年2月時点で株式の信用取引ができません。しかしLINE証券では信用取引ができます。さらに現物取引の売却時には「手数料あり」でしたが、信用取引では売買両方の手数料が0円とお得です。信用取引の株式取引をしている投資家にとって、これは大きなメリットでしょう。

・LINE証券のメリット3: LINE PayやLINEポイントが使える
所有しているLINE PayからLINE証券の口座に入金すれば株式やFXの取引に即時反映できます。あわせて保有しているLINEポイントを「1ポイント=1円」でLINE証券の口座に入れて投資に利用可能です。ほかにもLINE証券では投資信託も購入できます。扱っているのは、厳選した30銘柄で最低100円(スポット投資)から投資が可能です。

全銘柄ノーロード(買付手数料無料)で、自動積立の場合は毎月1,000円(つみたて投資)から投資を行うことができます。

スマホ証券3:CONNECT

CONNECTは、大和証券グループ本社が100%出資するスマホ証券会社として2020年7月1日よりサービスを始動させました。前出のネオモバやLINE証券よりも後発のため、口座開設数が本格的に伸びるのはこれからでしょう。2020年5月のブルームバーグのインタビューで大和証券グループ本社を率いる中田誠司社長は「数年以内に100万口座獲得を目指す」と目標を語っています。

20~30代で利用急増の「スマホ証券」の主要3社を比較 あなたに合うのは?
(画像:CONNECT公式)

・CONNECTのメリット1:クーポン利用で取引手数料0円
CONNECTの取引手数料の考え方は、ほかのスマホ証券やネット証券と根本的に異なります。まずCONNECTで口座を開設すると毎月クーポンが付与されることが特徴です。株式売買時にこのクーポンを利用すれば取引手数料が0円になります。つまり10回までの取引は手数料が0円ということです。11回目以降の取引手数料は以下の通りです。(現物取引・単元株の場合)

約定代金クーポン利用クーポンなし(税込み)
50万円0円 165円
100万円0円330円
200万円以上0円 一律660円

(参照:CONNECT公式)
※2021年2月16日時点の手数料。

・CONNECTのメリット2:毎日100円から積立投信ができる
CONNECTでは、毎日100円以上1円単位で手軽に積立投信ができます。積立可能な口座は「つみたてNISA」「一般NISA」「特定口座」から選ぶことが可能です。CONNECTの積立投信の取扱銘柄は34銘柄(つみたてNISA対応は16銘柄)ですべての銘柄でノーロード(買付手数料無料)となっています。

・CONNECTのメリット3:IPO銘柄や信用取引も利用できる
このほかCONNECTには「IPOの申し込みができる」「信用取引もできる」などのメリットもあります。なお、信用取引口座を開設すると手数料が無料になるクーポンがさらに毎月10枚追加されます。

あなたと相性のよいスマホ証券はどれ?

ここでは「ネオモバ」「LINE証券」「CONNECT」などスマホ証券3社の特徴や手数料を紹介してきました。その内容にもとづくとそれぞれのスマホ証券は、以下のタイプと相性がよいと考えられます。

ネオモバと相性のよいタイプは?

  • Tポイントをよく使う
  • 株価が安めの銘柄を頻繁に売り買いする
  • IPOの申し込みをしたい

LINE証券と相性のよいタイプは?

  • LINE PayやLINEポイントをよく使う
  • 買い付けた銘柄を長期保有することが多い(売りが少ない)
  • 信用取引や投資信託もしたい

CONNECTと相性のよいタイプは?

  • 月あたりの取引回数が平均10回以内
  • 100円などの少額から積立投信をしたい
  • NISAやつみたてNISAを利用したい
  • IPOの申し込みをしたい

ここでは、2021年2月時点の各社のサービスを紹介しました。スマホ証券は、これから市場が拡大する分野のため、今後サービスの変更や見直しが繰り返されるでしょう。そのため、まずは複数のスマホ証券を試してみて将来的に一つに絞り込む方法がおすすめです。(提供:Dear Reicious Online


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