フランス車の壁ってナニ? 欧州No.1SUV、新型ルノー・キャプチャーの魅力を考える
小沢コージ●クルマや時計、時に世相まで切る自動車ジャーナリスト兼TBSラジオパーソナリティ。『ベストカー』『MONOMAX』『webCG』『日刊ゲンダイDIGITAL』「カーセンサーEDGE』で自動車連載、『時計BEGIN』で時計人物連載。毎週土曜17時50分~18時TBSラジオ『小沢コージのカーグルメ』

●日本でも扱いやすいコンパクトSUV

 7年ぶりに一新したコンパクトSUV、新型ルノー・キャプチャーに乗ってみた。

 1stキャプチャーは2014年に日本上陸。欧州マーケットでは販売No.1になり、トータルで170万台も販売した人気車だ。

 ところが正直、国内ではあまり見ない。それもそのはず、ルノーは日本で年間6000台程度の販売規模。とくに売れているのは人気MPVのカングーで、それ以外のイメージは薄い。

 確かにキャプチャーは今年2月に新型が上陸。売れ行きは確実に伸びているが国産SUVには敵わない。なにしろホンダ・ヴェゼルは単月で1万台以上売れる時もあるのだから。

 とはいえ新型キャプチャーの出来はいい。旧型のネガを1つ1つキレイに潰した印象だ。

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 まずいいのはサイズ感で全長×全幅×全高は4230×1795×1590mm。旧型比で95mm長く、15mm幅広く、25mm高くなっているが横幅以外は国内でも扱いやすい。

 同時にホイールベースが35mm伸びているためリアシート足元はゆったり。身長176cmの小沢がフロントに座ったポジションでもリアに余裕で座れる。

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 ラゲッジは拡大して容量は最大536L。リアシートに16センチのロングスライドが付いており、シート位置を一番前にした状態でも大人が一応座れるし、後に下げても容量はまだかなりある。

 ただしここはフランス車っぽいのだが、ラゲッジはそのままじゃゴルフバッグが一本も入らない。横幅が狭いからである。最もリアシートを倒せば3本ぐらい楽勝で入るが。

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●走りと乗り心地のバランス良好

 さらにいいのはエクステリアだ。

 フロントがセクシーに膨らみ、リアがギュッと絞られたマッチョフォルムでルーフとピラーが黒い2トーン。

 基本は1stモデルの進化版だが、以前はヘッドライトが目立ちすぎてアンバランスな印象もあった。しかし新型は前後ライトにコの字型のLEDラインが入ってほどよくシャープに。

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 インテリアもクオリティが高く全面ソフトパッド。メーターは7インチデジタルで、センターにはスマホ連携の7インチマルチメディアのEASY LINKを標準装備。上級グレードのインテンス テックパックは本革シート標準だ。

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 一番いいのは走り味だろう。骨格は日産ノートと共通の新世代プラットフォームCMF-B。

 これが軽量かつ剛性感十分で乗り心地、ステアリングフィールともに欧州車らしくしっかり。それでいて足回りはドイツ車ほど硬め一辺倒ではなく、適度にしなやか。

 とくに高速道路での乗り心地、安定感はピカイチだ。

 パワートレインはハッチバックのルーテシアと共通の1.3L直4ダウンサイジングターボ搭載。

 パワー&トルクはルーテシア比で23ps増の154ps&30Nm増の270Nmと強化。約1.3トンボディをキモチ良く走らせてくれる。

 モード燃費も意外と良くてWLTCモードで17.0km/L。実燃費で15km/L弱は行きそうだ。

フランス車の壁ってナニ? 欧州No.1SUV、新型ルノー・キャプチャーの魅力を考える
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 気になるのは価格。装備充実の標準グレード、インテンスで299万円。オートエアコン、アンビエントライト、電動パーキングブレーキ、追従オートクルーズ、レーンキープアシストなどなど標準で輸入車としてはかなりお買い得だが、国産SUVと比べるとちと高め。

 ここがルノーの厳しさでやはり認知度が薄くてドイツ車ほどのプレミアムイメージがないのだ。

 同クラスの国産SUVはホンダ・ヴェゼルにせよ、トヨタ・ヤリスクロスにしろメインはハイブリッド。ここも欧州SUVの弱いところかもしれない。

 しかし走りの優しさはもちろん、インテリアクオリティの高さではドイツ車を凌駕する出来映え。

 クルマ良さが分かるヒトはぜひ一度ご検討いただきたい。

フランス車の壁ってナニ? 欧州No.1SUV、新型ルノー・キャプチャーの魅力を考える
Writer:小沢コージ Photo:小沢コージ

(提供:CAR and DRIVER