新型コロナウイルスのワクチン摂取が進むにつれて、株式市場では「リオープニング(経済再開)」への期待が高まっている。新型コロナ禍でダメージを受けた航空、旅行、エンターテイメント関連などでも、ここにきて年初来高値を更新する銘柄が見られ始めている。一方で、新型コロナ禍で高値を更新していた銘柄の中には調整色を強めているものもある。今後、リオープニング・トレードが進むにつれて、買われる銘柄、売られる銘柄の二極分化が顕在化する可能性もありそうだ。

すでにアパレル関連では大手2社で明暗を分ける動きが表面化している。先週6月9日には衣類や小物などを販売するセレクトショップ大手のユナイテッドアローズ <7606> が一時2375円と年初来の高値を更新、その一方でユニクロ等を運営するファーストリテイリング <9983> は一時8万2500円と年初来の安値を更新するなど対照的な動きを見せている。

今回は両社の株価が明暗を分けた背景を見てみよう。

ユナイテッドアローズ、2022年3月期は黒字転換へ?

ユナイテッドアローズ,株価
※画像はイメージです (画像= IYO / pixta, ZUU online)

ユナイテッドアローズが展開する主要レーベルの中でも、United Arrows(ユナイテッドアローズ)、BEAMS(ビームス)、SHIPS(シップス)はセレクトショップ御三家と呼ばれ、この業態では最大手である。ちなみに、ユナイテッドアローズが5月10日に発表した2021年3月期決算は売上高が22.7%減の1217億1200万円、純損益は71億9700万円の赤字で1999年の上場以来初めての赤字に転落した。同期は新型コロナの影響で全社売上が前年度比21.2%減、既存店売上(小売+ネット通販)も24.3%減と落ち込んだことが響いた。ただし、ユナイテッドアローズは2022年3月期について、売上高で2.5%増の1248億円、純損益で17億5000万円の黒字転換になる見通しを示しており、株式市場では悪材料出尽くしとの観測も広がっているようだ。