レクサスのFF上級サルーン「ES」がビッグマイナーチェンジ。静粛性や乗り心地の向上を実現するとともに、エレガントなデザインがいっそうモダンに進化

 トヨタ自動車が展開する高級車ブランドのレクサスは2021年8月26日、FF上級サルーン「ES」の商品改良を行い、同日より発売した。

大幅進化を果たした新レクサスESが待望の日本発売
▲レクサスES300h“version L” 価格:715万円 全長4975×全幅1865×全高1445mm ホイールベース2870mm 車重1720kg 乗車定員5名 WLTCモード燃費22.3km/リットル

車種展開は以下の通り。
ES300h:599万円
ES300h“version L”:715万円
ES300h“F SPORT”:651万円

 今回の商品改良は、レクサスの原点である優れた静粛性と乗り心地のさらなる向上を実現し、合わせて内外装をモダンなデザインに刷新することで、ワールドワイドに展開するFF上級サルーンとしての価値をより高めた点が特徴である。

大幅進化を果たした新レクサスESが待望の日本発売
▲強い陰影により造形を際立たせるソニックイリジウムのボディカラーを新規に設定する

 まずエクステリアは、従来より好評を博している上質さやエレガントさをいっそう向上させたことが訴求点だ。フロントグリルはESらしさを継承しながら、メッシュパターンの新意匠を採用。合わせて、内部を縦基調のL字ユニットの集合体で構成し、フロントマスクの押出しを強調する。同時にヘッドランプの意匠も変更し、単眼ランプは新しい小型ユニットに刷新。さらに、3眼ランプにはブレードスキャン式アダプティブハイビームシステム(AHS)を取り入れ、機能性の向上を図るとともに超薄型ランプユニットで仕立て、鋭い表情を演出した。一方、足もとのホイールデザインも変更する。ES300hに採用する17インチアルミホイールはスポーク端部を太くして切削光輝加工の質感を強調し、同時にV字に重ね合わせることでスポーティな印象を付与。オプション設定の18インチアルミホイールは切削光輝加工とブラック塗装のコントラストが映える多軸スポークを導入し、高級感を創出した。また、version Lには18インチノイズリダクションアルミホイール(ハイパークロムメタリック塗装)を組み込んでいる。

大幅進化を果たした新レクサスESが待望の日本発売
▲フロントグリルはESらしさを継承しながらメッシュパターンを新採用。合わせて内部を縦基調のL字ユニットの集合体で構成し、フロントマスクの押出しを強調した
大幅進化を果たした新レクサスESが待望の日本発売
▲ES300hに採用する17インチアルミホイールはスポーク端部を太くして切削光輝加工の質感を強調し、同時にV字に重ね合わせることでスポーティな印象を付与した
大幅進化を果たした新レクサスESが待望の日本発売
▲ES300hにオプション設定の18インチアルミホイールは切削光輝加工とブラック塗装のコントラストが映える多軸スポークを導入し、高級感を創出する

 ボディカラーは強い陰影により造形を際立たせるソニックイリジウムと、金属質感と高光沢を実現したソニッククロムを新規に採用したことがトピック。ほかにも、ホワイトノーヴァガラスフレーク/ソニッククォーツ/ソニックチタニウム/ブラック/グラファイトブラックガラスフレーク/レッドマイカクリスタルシャイン/アイスエクリュマイカメタリック/サンライトグリーンマイカメタリック/ディープブルーマイカ/ヒートブルーコントラストレイヤリング(F SPORT専用色)をラインアップしている。

大幅進化を果たした新レクサスESが待望の日本発売
▲金属質感と高光沢を実現したソニッククロムのボディカラーを新規にラインアップ

 内包するインテリアは、ヘーゼルの内装色を新採用するとともに、ブラウン系でグレイッシュなトーンの内装色モーヴを新規に開発し、落ち着きのあるモダンな空間へと進化させる。また、オーナメント加飾としてラグジュアリーさを演出するウォールナット素材を導入し、合わせて新開発の墨ブラックとダークブラウンを設定。さらに、ヘアラインの加飾をレーザーで1本ずつ彫る加工方法に刷新し、より細やかでモダンな雰囲気を創出した。マルチメディアシステムをタッチディスプレイ化した点もトピック。合わせて、ドライバーとディスプレイとの最適な距離と角度を探求してディスプレイを従来より約100mm近づけるとともに、角度を約5°傾けることでドライバーの手が画面隅まで届くようにアレンジする。画面自体にはガラス素材を採用し、視認性や操作性をより向上させた。

大幅進化を果たした新レクサスESが待望の日本発売
大幅進化を果たした新レクサスESが待望の日本発売
▲インテリアカラーにはヘーゼル(写真・上)を新採用するとともに、ブラウン系でグレイッシュなトーンの内装色モーヴ(同・下)を新規に開発し、落ち着きのあるモダンな空間へと進化させる
大幅進化を果たした新レクサスESが待望の日本発売
▲version Lにはセミアニリン本革シート(運転席・助手席ベンチレーション機能・前後席ヒーター付/フリーキルティング)を装備
大幅進化を果たした新レクサスESが待望の日本発売
▲マルチメディアシステムをタッチディスプレイ化。合わせてディスプレイを従来より約100mm近づけるとともに、角度を約5°傾けることでドライバーの手が画面隅まで届くように設定する

 先進安全運転支援システム「Lexus Safety System+」の進化も見逃せない。単眼カメラとミリ波レーダーの性能向上により、昼間の自転車運転者や夜間の歩行者も検知可能なプリクラッシュセーフティの対応領域を拡大し、交差点右折前に前方から来る対向直進車や右左折時に前方から来る横断歩行者も検知可能とする。また、ドライバーの操舵をきっかけに車線内で操舵をアシストする緊急時操舵支援や低速時の事故予防をサポートする低速時加速抑制などの機能を追加した。さらに、同一車線内中央を走行できるよう操舵を支援する高度運転支援機能「レーントレーシングアシスト(LTA)」の車線認識にAI技術を活用することで支援範囲を拡大し、よりスムーズで途切れにくい操舵支援を実現。ほかにも、「レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)」にカーブの大きさに合わせてあらかじめ減速するカーブ速度抑制機能を追加したほか、先行車や対向車を検知して自動でハイビームを制御する「オートマチックハイビーム(AHB)」やカメラで主要な道路標識を読み取ってマルチインフォメーションディスプレイに表示する「ロードサインアシスト(RSA)」、LTA制御中にドライバーの無操作状態が継続した場合に音と表示と緩減速による警告でドライバーに操作を促すほか、ハザードとホーンで車外に異常を報知しながら自車線内に減速停車して自損・加害事故の回避・事故被害低減を支援するドライバー異常時対応システムなどを設定した。

大幅進化を果たした新レクサスESが待望の日本発売
▲単眼カメラとミリ波レーダーの性能向上により、昼間の自転車運転者や夜間の歩行者も検知可能なプリクラッシュセーフティの対応領域を拡大し、交差点右折前に前方から来る対向直進車や右左折時に前方から来る横断歩行者も検知可能とする

 先進機構のデジタルアウターミラー/デジタルインナーミラーに関しては、カメラ性能の向上を実施。また、明暗が混在する場所の視認性を改善するためにノイズ低減処理を施し、ノイズ感の少ないクリアな画像を映し出す。LEDライトのちらつきによる煩わしさも低減させた。ほかにも、光源であるLEDからの光を高速で回転するブレードミラーに照射し、ブレードミラーに反射した光がレンズを介して高速移動しながら前方を照らす新機構のブレードスキャンアダプティブハイビームシステム(AHS)も設定している。

大幅進化を果たした新レクサスESが待望の日本発売
▲デジタルアウターミラーはカメラ性能の向上を実施。また、明暗が混在する場所の視認性を改善するためにノイズ低減処理を施した
大幅進化を果たした新レクサスESが待望の日本発売
▲光源であるLEDからの光を高速で回転するブレードミラーに照射し、ブレードミラーに反射した光がレンズを介して高速移動しながら前方を照らす新機構のブレードスキャンアダプティブハイビームシステム(AHS)を設定

 最後に、スポーティバージョンのF SPORTの特徴を解説しよう。外装ではブラックカラーの専用フロントグリルや漆黒メッキの専用リアバンパーロアガーニッシュおよびラゲッジドアガーニッシュ、リアスポイラー、F SPORT専用エンブレム(フロントフェンダー)、艶のあるブラックで彩った専用19インチアルミホイール(タイヤサイズは235/40R19 92Y)、LEXUSロゴ入りオレンジ塗装ブレーキキャリパーなどを専用装備。内装ではフレアレッドに加えてホワイトを新規採用するとともに、フレアレッドまたはホワイトのシートクッションとシートバックにブラックの配色パターンを加え、スポーティな印象をいっそう高める。そしてシャシー面では、新しいアクチュエータを用いた最新のリニアソレノイド式AVSを採用。油圧制御用ソレノイドのオイル流量制御バルブの流路を拡大し、低減衰力にも対応するとともに減衰力の可変幅を拡大することで、上質な乗り心地と操舵応答性および安定性を高次元で両立させた。

大幅進化を果たした新レクサスESが待望の日本発売
▲レクサスES300h “F SPORT” 価格:651万円 全長4975×全幅1865×全高1445mm ホイールベース2870mm 車重1710kg 乗車定員5名 WLTCモード燃費22.3km/リットル ブラックカラーの専用フロントグリルを装着
大幅進化を果たした新レクサスESが待望の日本発売
▲漆黒メッキのリアバンパーロアガーニッシュおよびラゲッジドアガーニッシュやリアスポイラーを専用装備
大幅進化を果たした新レクサスESが待望の日本発売
▲日本限定仕様としてLEXUSロゴ入りのオレンジ塗装ブレーキキャリパーを設定
大幅進化を果たした新レクサスESが待望の日本発売
大幅進化を果たした新レクサスESが待望の日本発売
▲内装ではホワイトを新規採用するとともに、ホワイトのシートクッションとシートバックにブラックの配色パターンを加える。前席は専用L texスポーツシート(運転席・助手席ベンチレーション機能・ヒーター付)
大幅進化を果たした新レクサスESが待望の日本発売
▲フレアレッドの内装色も選択可。オーナメントパネルはF SPORT専用の本アルミ(刃取調仕上げ/シルバー)
Writer:大貫直次郎

(提供:CAR and DRIVER