本記事は、ポール・ジャルヴィス氏(著)、山田文氏(訳)の著書『ステイ・スモール 会社は「小さい」ほどうまくいく 』(ポプラ社)の中から一部を抜粋・編集しています
従来型の成長モデルは通用しない
カンパニー・オブ・ワンの定義はシンプルだ。規模の拡大に疑問を投げかけるビジネス、それがカンパニー・オブ・ワンである。
カンパニー・オブ・ワンは、従来型の成長を疑問視してそれに抵抗する。主義からそうするのではない。規模の拡大は必ずしも利益をもたらすわけではなく、経済的にも採算が取れないからだ。カンパニー・オブ・ワンは、小さな会社のオーナーひとりのこともあれば、少人数の創業者集団のこともある。もっと自由に自律して仕事をしたいと望む会社員、経営幹部、役員、企業のリーダーもカンパニー・オブ・ワンの考えを採用できる。実際、大企業が優秀な人材を引きとどめておきたいのであれば、カンパニー・オブ・ワンの考えを一部採用することを検討すべきだ。
わたし自身、とてもうまくいくようになったのは、従来のやり方に頼ることなく問題を解決する方法を見つけたときだった。従来の会社は、たくさん人を雇ったり、多額の資金を投じたり、増えた社員を支えるために複雑な設備を調えたりすることで問題を解決しようとする。わたしは、〝もっと〟を求める問題解決策には興味がない。複雑でコストがかかり、責任も大きくなって、たいてい代償も増えるからだ。
〝もっと〟を追求するのはいちばん手っ取り早い答えだが、いちばんかしこい答えとはいえない。わたしは規模拡大の道をとらずに問題解決に取り組むことで、よろこびと経済的な利益を得てきた。わたしもその他大勢の人も、いまあるリソースを使って問題に取り組んでいる。工夫は少し必要だが、そうすることで長期的に安定したビジネスを築くことができる。経営をつづけるのにあまり多くのものを求められないからだ。
2016年10月、わたしはブログを更新したときに、自分が所有したりつくったりする会社を急激に大きくすることに興味はないと書いた。青い魚の群れのなかで、自分だけが赤い魚でいるような気分だった。しかし、おもしろいことが起こった。続々と反響が届いたのだ。フェアトレード・キャラメルの販売を手がける人から大手テクノロジー企業や衣類製造業者の社員まで、ビジネスであらゆる刺激的なことに取り組む人が共感のメールを送ってきた。みんな従来型の成長に抗い、そうすることで利益を得てきたという。
規模の拡大を疑い規模を小さくとどめるという考えを追求しはじめると、ほかにも同じ考えを持つ人たちの研究や事例が次々と見つかった。このようなビジネスへのアプローチを試みる動きが、ひっそりとではあるが存在することがわかったのだ。これは資金難にあえぐテクノロジー・スタートアップやぎりぎりの生活を送る人たちだけのものではない。年に数十万ドルから数百万ドルを稼ぎ、普通の人よりも楽しく仕事をしている個人や企業からなる動きでもある。赤い魚はどんどん増えているのだ。
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