投資方法,リスク
(画像=PIXTA)

投資の行う上で知っておきたいリスクの種類

投資にはリスクがつきものだ。投資におけるリスクとは、危険=損をする可能性という意味ではなく、リターン(収益率)の振れ幅を意味する。リスクが小さい投資の場合、大きい損失を出す可能性は低いが、大きいリターンを得られる可能性も小さい。逆にリスクが大きい投資の場合、成功すれば大きいリターンを得られるが、大きい損失を被る可能性もある。どんな投資にも一定のリスクがあり、投資を行う場合、このリスクとリターンの関係を理解しなければならない。

投資においては以下のような様々な種類のリスクがある。

リスクの種類 内容
 価格変動リスク 債券や株式の価値が変動する可能性のこと。債券は国内外の政治や経済情勢など、株価は企業の業績や外部評価の変化、景気や為替レートの動向などの影響によって上下動する。
 為替変動リスク 為替レートが変動する可能性のこと。外貨建ての金融商品は、各国の政治情勢や経済状況など、様々な要因によって価格変動する。
 金利変動リスク 金利の変動によって資産価値が変動する可能性のこと。特に債券が大きな影響を受ける。債券は保有期間中に市場金利が上昇すると価格が下落し、市場金利が低下すると価格は上昇する。
 信用リスク(デフォルトリスク) 国や企業といった有価証券の発行体が財政難や経営不振などに陥り、あらかじめ定められた条件での元本や利息の支払いが滞ったり、停止されたりする可能性があること。
 流動性リスク 有価証券等を売却する際、売買が極端に少なくなって売りたい時に売れない可能性が生じること。また、不利な条件でしか売却できず、結果として不利益を被る可能性が生じること。
 カントリーリスク 投資した国や地域の政情不安や紛争・戦争の発生、金融危機などが起こることによって経済が不安定になり、投資した資産の価値が大きく変動する可能性が生じること。
 インフレリスク 預金などの利率よりも物価上昇率(インフレ率)が高くなり、金融商品の実質的な価値が下がる可能性が生じること。
 市場リスク 金利、株価、為替等の変動によって損失を被る可能性が生じること。金利変動リスクや価格変動リスクなどを指す。
 地政学的リスク ある特定の地域で政治的、軍事的、社会的な緊張の高まりが生じ、その特定地域の経済、もしくは世界経済全体の先行きを不透明にしたり、特定商品の価格を変動させたりする可能性が生じること。

投資は必ずリスクを伴う。投資対象となる金融商品のリスクが大きいと、一般的には安定的に資産を増やすのは難しいと言えるだろう。リスクを安定させ、着実に資産を増やすには、「分散投資」と「長期投資」が効果的と言われている。

例えばハイリスク・ハイリターンの商品に一点集中で莫大な額を投資し、短期間で利益を得ようとすると、大成功する可能性がある一方、元本割れや、最悪の場合は投資した資金をすべて失うといった事態に直面する可能性も高くなる。様々な金融商品に分散投資しておけば、1つの商品で損失が生じても損害は少なくて済むし、他の商品で利益が出れば、その損失をカバーすることができる可能性もある。

すべての種類の金融商品の価値が同じタイミングで下落する可能性は、特定の種類の金融商品の価値が下落する場合に比べると低いので、保有する金融商品の種類を増やしておくことを心がけたい。その際、すべてを同時期に購入するのではなく、時流を見ながら少しずつ増やし、タイミングを見計らって売却するなど、時間を分散させた運用も有効と言えるだろう。また、同一の金融商品を5年や10年等の長期に渡って保有し続ければ、収益率の振れ幅が狭まってリスクを抑えることができるようになる。

投資にリスクがつきまとう以上、「自分にとって、どのようなリスクなら許容できるか」を認識しておくことが重要になる。その「リスク許容度」に影響を与える要素としては、以下のようなものがある。

リスク許容度に影響を与える要素
 年齢  若い人はリスク許容度は高くなる。投資の運用期間を長く取れるので、長期的な観点から運用することができ、仮に損失が出たとしても高齢の方より挽回できる可能性は大きくなる。
 家族構成 扶養家族がいない場合の方がリスク許容度は高くなる。家族がいる人は扶養義務が生じ、また生活にかかる経費が多くなるため、投資に回せる資金が限定される。
 収入 収入が多ければリスク許容度は高くなる。目先の分配金よりも長期的な資産形成を優先することができる。投資に回せる資金を多く準備することができ、ある程度の損失なら収入でカバーできる。
 資産 資産が多ければリスク許容度は高くなる。投資に回せる資金を多く準備することができ、ある程度の損失なら手持ちの資産でカバーできる。
 経験 投資に関する知識や経験があればリスク許容度は高くなる。金融商品の危険度や売買のタイミングを見極め、大きな損失の可能性を回避できる。
 性格  資産額の増減に一喜一憂しない人ほどリスク許容度は高くなる。資産が目減りすることに抵抗がある人は感情をコントロールするのが難しくなる。

投資する際に、どのリスクなら許容できるかは、その人が人生においてどのような立ち位置にいるかによって異なる。例えば20代の場合、収入や資産、経験は不十分である可能性がある一方、長期間にわたっての運用が可能であり、日々の情報収集にかける時間も確保できるため、思いきって市場リスクの大きな金融商品に投資することもできるだろう。

30代や40代の場合は、毎月一定の収入が継続的に見込まれるため、ある程度の流動性リスクを取って、すぐには市場で売却できない実物資産や非上場の金融商品に投資することもできるだろう。60代、70代になればある程度の資産は確保できているだろうし、子どもも手が離れているので多くの資金を投資に回すことができる可能性があるが、今後の生活を考えると、価格変動リスクが大きかったり、長期間にわたって資金が固定化したりするような流動性リスクの大きい金融商品は避けた方が無難だ。年金資金の足しとして、キャピタルゲインよりはインカムゲインに着目した投資の方が良いだろう。

したがって、どの金融商品に投資するかを決める際は、リターンの水準だけを見るのではなく、自分にとって許容できるリスク、回避すべきリスクがどれなのかを明確にすることが大切になる。

リスクと投資方法の関係

では、それぞれのリスクは、どの投資方法につながり、どのような立場の人に向いていると考えられるのだろうか。

価格変動リスクを伴う代表的な金融商品としては、上場株式や投資信託が挙げられる。企業の株価や投資信託の投資口価格は、企業の業績や外部評価の変化などによって変動し、元本割れする可能性もある。為替レートの変動によって円換算価格が上下動するFXなどの為替取引も、価格変動リスクを伴うものの一つだ。効果的な取引ができれば時間をかけずに利益を得ることも可能だが、価格が変動するリスクが高く、それを許容できる人、あるいは経験が豊富で資産が確保できており、常に情報収集できる時間的な余裕があり、冷静な判断ができる人に向いていると言える。

国債や社債には、国や企業といった有価証券の発行体が財政難や経営不振などに陥った際、債務不履行に陥るという信用リスクがある。ただし、そうした状況に陥る確率は一般的に小さく、一方で利率も低いため、投資の経験が豊富ではない人、余剰資産をじっくり増やしたい人に向いている。

非上場株式や実物不動産には、売りたい時に売れないといった流動性リスクが付随する。すぐに換金できない商品としては定期預金も同じであり、その分だけリターンが高くなっている。しかし、もしも元本を現金化しようと思っても、その買い手が現れるまで長期間にわたって待機しなければならないケースもあるため、高齢者よりも若い投資家に向いていると考えられる。

非上場株式は、起業して間もないベンチャー企業の株式(未公開株)に、非上場企業への投資ファンドや株主コミュニティ制度などを通じて購入するものである。その企業が将来、上場した場合は大きな利益を得ることができるものの、非上場の間は売買が難しく、利益が実現するまで根気よく待たなければならない場合も多い。

実物不動産は、定期的な家賃収入という安定的なインカムゲインを得ることができるが、物件によって流動性に差がある。都心にあって駅に近いなど利便性が高く、設備が充実していて管理が行き届いている物件であれば取り引きする相手が現れやすくなるが、こうした条件から遠ざかった物件であればあるほど、一旦投資してしまった後にすぐに現金化することは難しくなる。

流動性はあなたにとってリスクになるのか

投資する側は、こうした非流動性がリスクになるかどうかを考慮しなければならない。すぐに換金する必要がなく、長期間にわたって固定化しても構わない資金が準備できるのであれば、実物不動産や非上場株式への投資も選択肢の一つになるだろう。

また、実物不動産に投資する場合は、不動産の運営や管理など、オーナーとしてのマネジメント能力や、不動産市場の専門家としてのスキルが求められる。

20代から50代であれば、一定期間は資金が固定化されてしまうという流動性リスクをある程度許容できる人は多いだろう。しかし、不動産関係者や不動産投資家でなければ、不動産の専門知識に不安を抱える人が多いはずだ。その場合は、プロがマネジメントを行い、実物不動産よりは流動性が高い「非上場の不動産投資ファンド」が有力な選択肢となるだろう。

非上場の不動産投資ファンドは従来、プロの機関投資家を対象とした商品だった。しかし近年、「不動産投資クラウドファンディング」という形で、個人の投資家でも購入できるようになった。

中でも「都心にある」、「利便性が高い」、「設備・管理が充実」などの条件を満たし、プロの機関投資家と一緒に質の高い不動産に投資ができるようなファンドを扱っているのがビットリアルティ(bitREALTY)だ。

同社の不動産クラウドファンディングは、1つのファンドに対して10万円からの投資が可能で、年換算の想定利回りは3.5%前後。すぐに現金化できるような流動性はないものの、数カ月間から3年間程度という期間で運用できる。

大手金融機関などのプロの機関投資家も一緒に投資している物件に個々の個人投資家でも投資することが可能であり、顧客の資金は信託口座を用いて分別管理されているため、投資する側はきちんと証券化された物件の詳細を確認し、その商品特性を納得した上で投資できるメリットがある。

ある程度の流動性リスクを許容できる人にとって、ビットリアルティの不動産投資クラウドファンディングは長期的な資産形成に向けて有益な選択肢の一つになるはずだ。

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