本記事は、藤嶋由香さんの著書『一緒に飲みたくない客は断れ!』(ポプラ社)の中から一部を抜粋・編集しています。

その閑古鳥、「コロナのせい」だと思ってない?

居酒屋3
(画像=PIXTA)

時折、経営者の方から、こんな愚痴を聞くことがあります。

「コロナのせいでお客さんが全く入らないよ」

「従業員は言うこときかないし不満ばかりですぐ辞める」

「場所が悪いから客が入らないんだ」

など、私からすれば、店が繁盛しないのも、従業員の教育が行き届かないのも、全て経営者のせい。他のもののせいにするなんて愚かさも甚だしいと、内心毒づいています。

お話ししていて感じるのは、その手の経営者には、「お客様を幸せにしたい」という気持ちがないということ。だからお店のことも、お客様の立場で客観的に見つめられないのです。経営者という立場や名前に胡坐をかいて、従業員任せにしていて結果が出ないと文句を言う。そんな経営者に従業員がついてこないのは当然です。

私は今でも、客席に座り、お客様の目線でお店を見渡します。

そうすると、メニューの位置が高いな、醤油さしが汚れているな、など気づくことが沢山ありますし、トイレ掃除に関しても、従業員よりも率先して行い、気持ち良く使っていただけるよう心掛けています。

お食事にしても、「うちは味にこだわっているからその分、料金を高くしているんだ」と自慢気に言われる経営者がいますが、味にこだわるのは当然で、いいものを使っているから高い値段を付けるというのは自己満足と同じ。本当にお客様の幸せを願うなら、お客様の立場になって、その価値に見合う金額で提供するべきなのです。

また、味が良ければ料金を高くしていいという話でもありません。

高くても、お店がきれいでトイレも清潔、店員が笑顔で気持ちの良い接客があれば納得できますが、お店は汚い、接客はなっていないでは、いくら美味しくても「またあのお店に行きたい」と思われることはないでしょう。

「味良し」「サービス良し」「価格良し」この3つの良しが揃ってはじめてお客様は幸せな気持ちになれるのです。

手前味噌にはなりますが、当店では、営業時間短縮期間でさえも、たくさんのお客様が通ってくださいます。

コロナだから。座席数が減ったから。そんな理由でお店が傾くことはありません。

私たちはいつでも「味」と「サービス」と「適正な価格」を守り、「お客様を幸せにする」という気持ちで営業を続けてきました。

また、これはあらゆる業界でも参考になると思っています。

やはり「お客様を幸せにする」という気持ちがすべての原点。私のようにお客様の席に座ると、現状で足りない点や改善点がどんどん出てくるはずです。

一緒に飲みたくない客は断れ!
藤嶋由香(ふじしま・ゆか)
新橋のもつ焼き居酒屋「やきとんユカちゃん」店主。居酒屋経営コンサルタント・居酒屋コメンテーター。1976年、北海道室蘭市生まれ。
短大時代、モデル・歌手の道を目指し、20代の頃、クラウンレコードからジャズシンガーとしてデビューし、アルバム2枚をリリース。モデル、歌手、ホステス、エステスクール講師、エステ店経営者を経て結婚、夫が経営していた串焼屋の女将となる。
「居酒屋文化の推進」をライフワークとし、多方面にて活動中。YouTubeチャンネル「やきとんユカちゃんねる」を運営。コロナ禍による営業自粛要請と戦う「新橋一揆」や権力に対する歯に衣着せぬ発言で注目を集め、これまで100を超えるメディアから取材を受けている。
Twitter https://twitter.com/yakitonyukachan
Instagram https://www.instagram.com/yakiton_yuka_chan
Youtube https://youtu.be/UuGykaQ87D8


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