本記事は、藤嶋由香さんの著書『一緒に飲みたくない客は断れ!』(ポプラ社)の中から一部を抜粋・編集しています。

不況時こそ「居酒屋」が最強である理由とは?

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(画像=PIXTA)

居酒屋の誕生は、今からおよそ270年前の江戸時代と言われています。酒屋さんがその場でお酒を飲む場を設け、つまみも提供し始めたことから、居座りながらお酒を飲む」という語源によって「居酒屋」と命名されたと言われています(諸説あり)。

時を経て近所の社交場のようなスタイルから、現代の居酒屋へと発展していったのでしょう。お小遣いで、ちょっと飲んで、食べて、身近な人との会話を楽しむ……。その利用法も、当時からあまり変わっていないように感じます。

このコロナ禍でも、居酒屋を欲する人の多いこと! 緊急事態宣言により自粛を余儀なくされる中でも、心のオアシスを求めるように短時間でも当店に足しげく通ってくださるお客様が大勢います。しかも、お客様の多くは「開けてくれてありがとう」と笑顔で言ってくださいます。

派手に遊んだり、思い切り贅沢したりということはできませんが、居酒屋で飲んだり、食べたり、誰かと談笑して心を癒して帰っていただきたい──。そういう気持ちで接客していますが、お帰りの際の背中は、来店時よりも、どこかすがすがしく感じられ、こちらまで嬉しい気持ちになります。

そもそも、居酒屋は高級店と違い「仕入れ値」が安価なので、お小遣いで楽しんでいただける場所です。そういう意味では、まさに不況時においては最強と言えるのです。

冒頭、居酒屋文化についても触れましたが、いわば居酒屋は、心のオアシスであり、ストレス解消の場。いつの時代でも必要な場所なのです。一瞬でもいいから、仕事や普段のストレスを忘れる時間を作ってほしい……。それが私の願いです。

実はコロナ禍以前にも、当店の営業継続の危機は何度か訪れました。

最初は、リーマンショックです。

本店である麻布十番店が、リーマンショックの影響で売り上げが4割減になり、その時は、慌ててもつ鍋を新メニューに追加し、持ちこたえました。

その次は、東日本大震災です。あの時は、一瞬だけ客足が途絶えましたが、飲食が禁止されたわけではないため、ライフラインが使えないといった面を除けば、影響が出ることはありませんでした。

そして今回、新型コロナウイルスが蔓延したわけですが、2020年4月からの1回目の緊急事態宣言では、売上げが9割減となり、その後も後を引き、貯金を切り崩しての営業を続けてきました。

ただ、有難いことに、常連さんのお陰で食べていける分は稼げていましたし、お客様も料金が高くないことを知っているので、しょっちゅう来ては感染対策万全の店内で安心して憂さ晴らしをして飲んで、食べて、楽しんでくださいました。

飲食店の休業・閉店が相次ぐ中、生き残っているのは、そうしたお客様のお陰であり、当店のモットーである味とサービスと価格にこだわり続けてきたことが救いになったと自負しています。

一緒に飲みたくない客は断れ!
藤嶋由香(ふじしま・ゆか)
新橋のもつ焼き居酒屋「やきとんユカちゃん」店主。居酒屋経営コンサルタント・居酒屋コメンテーター。1976年、北海道室蘭市生まれ。
短大時代、モデル・歌手の道を目指し、20代の頃、クラウンレコードからジャズシンガーとしてデビューし、アルバム2枚をリリース。モデル、歌手、ホステス、エステスクール講師、エステ店経営者を経て結婚、夫が経営していた串焼屋の女将となる。
「居酒屋文化の推進」をライフワークとし、多方面にて活動中。YouTubeチャンネル「やきとんユカちゃんねる」を運営。コロナ禍による営業自粛要請と戦う「新橋一揆」や権力に対する歯に衣着せぬ発言で注目を集め、これまで100を超えるメディアから取材を受けている。
Twitter https://twitter.com/yakitonyukachan
Instagram https://www.instagram.com/yakiton_yuka_chan
Youtube https://youtu.be/UuGykaQ87D8


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