東証マザーズ上場の主な要件

マザーズへの上場を目指す場合は、東京証券取引所が設ける要件を確認しておく必要がある。ここからは「形式要件」と「実質要件」の2つに分けて、マザーズの上場要件を解説していく。

形式要件

形式要件とは、株主数や流通株式数などの数値化できる要件のことである。マザーズへ新規上場をする場合は、以下の形式要件をすべて満たさなくてはならない。

東証マザーズの特徴とは?主な上場要件やほかの市場との違いを丁寧に解説

上記の通り、マザーズでは時価総額や純資産額、利益額などに関する要件が設けられていない。ただし、ほかの市場と同じく監査を受ける必要はあるため、上場を決めたら早い段階で準備に取りかかることが重要になる。

実質要件

実質要件とは、コーポレート・ガバナンスをはじめとした数値化できない要件を指す。やや抽象的な要件ではあるが、マザーズへの上場申請時には次の4つの項目が審査される。

東証マザーズの特徴とは?主な上場要件やほかの市場との違いを丁寧に解説

上記の通り、マザーズの上場審査では経営環境を多方面からチェックされる。収益基盤やビジネスモデルだけではなく、上場企業としてふさわしい組織運営も求められるため、その点に注意しながら計画を立てなくてはならない。

東証マザーズと一部・二部・JASDAQは何が違う?

東京証券取引所が運営する上場市場には、マザーズのほかにも「東証一部・東証二部・JASDAQ」が存在している。以下の通り、それぞれの市場が異なる役割を果たしているため、上場を目指す場合は目的に沿った市場を選ぶことが重要だ。

東証マザーズの特徴とは?主な上場要件やほかの市場との違いを丁寧に解説

上記を見ると分かるように、マザーズとJASDAQはやや似た特性をもっている。いずれも成長企業・新興企業を対象とした市場だが、実はこれらの市場には次のような違いがある。

東証マザーズの特徴とは?主な上場要件やほかの市場との違いを丁寧に解説

最も大きな違いは、マザーズには通称「10年ルール」と呼ばれる規則が存在する点だ。マザーズ上場から10年が経過すると、東証二部と同じ水準の上場廃止基準が適用されるため、そのタイミングで「マザーズに留まるか?」「東証二部に変更するか?」の二択を迫られることになる。

つまり、マザーズは企業の成長を前提とした市場であるため、将来的に本則市場への上場を目指すのであれば、まずはマザーズから検討したい。

上場を目指すのに専門家への相談は必要?

中小企業が上場を果たすには、短くても数年規模の準備が必要になるとされている。特に資料の作成時には専門的な知識も必要になるため、少しでも不安がある場合は専門家の力を借りたい。

また、東京証券取引所は2022年の市場再編を予定しており、再編後には各市場の名称・区分に加えて、各種要件も変更されることが決まっている。新設される市場「グロース(現:マザーズ、JASDAQグロース)」に関しても、これまでのマザーズの要件とは基準が異なるので、無理をせずに専門家に相談することを検討しよう。

マザーズ上場を目指す場合の相談先

マザーズへの上場をサポートしてくれる専門家としては、主に以下が挙げられる。

東証マザーズの特徴とは?主な上場要件やほかの市場との違いを丁寧に解説

専門家によって対応している相談内容は異なるため、基本的に上場準備では複数のパートナーを作る必要がある。また、専門家によって得意分野は異なるので、契約を結ぶ前にはしっかりと情報収集を行った上で、自社に最適な相談先を選んでいこう。