エクイティファイナンスのメリットとデメリット

自社に適した資金調達手段を選ぶには、エクイティファイナンスとデットファイナンスの違いを理解しておく必要がある。まずは、エクイティファイナンスのメリット・デメリットをまとめたので、自社の現状を意識しながら確認していこう。

メリット

エクイティファイナンスの最大のメリットは、原則として返済義務が生じない点だ。もちろん返済時の利息も発生しないため、将来のキャッシュフローを圧迫することなく資金を調達できる。

また、新株発行によって自己資本が増えると、自己資本比率が高まることで財務体質が強化される。その結果、金融機関や投資家からの評価も高まるので、うまく活用すれば今後の資金調達もスムーズになるだろう。

デメリット

新株発行によって株式の流通量が増えると、1株あたりの価値はどうしても下がってしまう。したがって、あまりにも多くの新株を発行すると、既存株主から強く反発される恐れがある。

そのほか、配当金が増えたり手続きに時間がかかったりなど、エクイティファイナンスには注意すべきデメリットも多い。特に株主構成が大きく変化すると、場合によっては会社の経営権を支配されてしまうリスクもある。

デットファイナンスのメリットとデメリット

次は、デットファイナンスのメリットとデメリットを解説する。

メリット

新株を発行しないデットファイナンスでは、どれだけ借り入れても経営権を握られる恐れがない。新たな株主対策も必要ないため、経営の自由度を下げることなく資金を調達できる。

また、借入先の選択肢が多い点もデットファイナンスならではのメリットだ。借入審査に向けて準備をする必要はあるが、借入先を慎重に選べばスムーズな資金調達が可能になる。
新株を発行するエクイティファイナンスに比べると、手続きにかかる時間や手間も抑えられるだろう。

ちなみに、エクイティファイナンスによって資本金が一定のライン(1,000万円・1億円)を超えると、法人税や消費税をはじめとした税負担が増えてしまう。その点、デットファイナンスは資本金に影響が生じない方法なので、税金の負担が増えることはない。

デメリット

デットファイナンスで最も注意しておきたいデメリットは、返済期限が設けられている点だ。

仮に返済期限を守れなくなると、当初想定していた以上の利息がついたり、強制的に取り立てられたりする恐れがある。そのため、デットファイナンスによって資金を調達する場合は、綿密な返済計画を立てなければならない。

また、貸借対照表の負債の部が増えることで、自己資本比率が下がる点も軽視できないデメリットになる。自己資本比率が下がると、いわゆる「バランスシートが重い状態」となるため、金融機関からの評価が下がることは避けられない。

ほかにも、キャッシュフローが悪化したり取引先から信用されにくくなったりなど、デットファイナンスにはさまざまなリスクがある。場合によっては倒産リスクも高まるため、必要以上に借入金を増やすことは避けたい。