優先すべき資金調達方法は?ベストな選択肢の考え方

ここまで解説したメリット・デメリットを踏まえて、次はベストな資金調達手段の選び方を考えていこう。

エクイティファイナンスとデットファイナンスの違いとは?資金調達のポイントまで徹底解説

返済義務がない点を考えると、やはりエクイティファイナンスは魅力的な資金調達手段に思える。しかし、新株を買い取ってもらうには会社としての魅力が必要になるため、エクイティファイナンスは実施するタイミングを慎重に選ぶことが重要だ。

では、世の中の経営者はどのように資金調達手段を使い分けているのか、成長企業などでよく見られるケースを紹介しよう。

経営の土台ができるまではデットファイナンスで回す

新株を買い取ってもらえるような魅力を備えるには、「経営の土台」を構築する必要がある。安定した収益基盤はもちろん、会社を支える人材や組織、企業文化などの土壌がなければ、会社はスムーズに成長していかない。

したがって、経営の土台ができるまではキャッシュフロー経営を意識し、デットファイナンスを中心に考えることが主な選択肢となる。ただし、収益力が低い状態では借入によるリスクも倍増するため、より慎重に借入計画・返済計画を立てる必要があるだろう。

プロダクトを作るタイミングでエクイティファイナンスを検討する

経営の土台が構築されると、企業には新たなプロダクト(製品・サービス)を作る余裕が生まれる。このプロダクトを作る時期こそが、エクイティファイナンスが成功しやすいタイミングとなる。

ただし、一般投資家や関係会社から興味をもってもらうには、斬新かつ独自性のあるプロダクトを作らなくてはならない。特に近年は、SDGsやイノベーション関連のプロダクトが注目されているため、計画を立てる際にはこれらのジャンルを強く意識したいところだ。

ちなみに、SDGsやイノベーション関連の事業では、政府・自治体による支援策も貴重な資金調達手段になり得る。特に補助金や助成金は、エクイティファイナンスと同じく返済義務がない資金調達手段なので、ぜひ選択肢のひとつとして検討しておきたい。

状況に応じてうまく使い分けることが重要

エクイティファイナンスとデットファイナンスには、それぞれメリット・デメリットがある。つまり、どちらも一長一短なので、状況に応じてうまく使い分けなくてはならない。

本記事で紹介した考え方のポイントを参考にしながら、より会社が成長しやすい資金計画を考えていこう。

著:片山 雄平
1988年生まれのフリーライター兼編集者。2012年からフリーライターとして活動し、2015年には編集者として株式会社YOSCAに参画。金融やビジネス、資産運用系のジャンルを中心に、5,000本以上の執筆・編集経験を持つ。他にも中小企業への取材や他ライターのディレクション等、様々な形でコンテンツ制作に携わっている。
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