オミクロン株の懸念に世界が翻弄される中、2022年の株式相場についてさまざまな予想が出ています。「2021年以上に大荒れする」と警戒する声がある一方で、「株高となった2020~2021年に続き、2022年も株価モメンタム(勢い)が強まる」との楽観的な見通しもあります。

「株高となった年の翌年や寅年は株価が上がる」という相場のアノマリーがありますが、果たして現実となるのでしょうか。2022年の注目点などとともに、その可能性を探ってみましょう。

「株式相場のアノマリー」とは?

2022年の株式相場は荒れ模様! 注目すべき5つの要因
(画像=taa22/stock.adobe.com)

株式相場のアノマリーとは、「巣鴨駅の利用者数が増えると株価が上昇する」「梅雨明けが遅いと8~9月の相場は好調」といった格言のことで「投資格言」などと呼ばれることもあります。

「株高となった年の翌年は、株が上がる」や「戌年や子年、寅年などは高値がつきやすい」といった干支にまつわるものなどさまざま。通常の法則や理論では合理的な説明はできないものの、「単なるアノマリー」と侮れないことを示すデータも出ています。

ニッセイアセットマネジメント投資工学開発センター長吉野貴晶氏が1949~2020年の日経平均株価を集計した結果、株高となった翌年に株価が上昇した割合は70%に上りました。これに対し、株安となった翌年に株価が上昇した割合は52%でした。

この結果を見る限り、株価の勢いが翌年に持ち越される傾向が強いことがわかります。

2022年、5つの注目点

もちろん、株式相場は常に変動しているため、将来の株価は予測不可能です。とはいえ、影響を与える要因となりそうな事項を把握しておけば、相場の動きを予測する際に役立つかもしれません。

そこで、2022年の株式相場に影響を与える可能性がある5つの注目ポイントを見てみましょう。

1 新型コロナウイルス感染症

過去2年間にわたって、相場に多大な影響を与えてきた新型コロナウイルス。オミクロン株の感染拡大など、市場に広がる不安感は2022年に持ち越されると予想されます。

しかし、ワクチンとともに治療薬の開発・実用化が進んでいることなどを理由に、多くのストラテジストはコロナの影響は限定的になると見込んでいます。

2 世界的インフレ

欧米で加速するインフレの影響も懸念されています。

株式はインフレヘッジに有効な資産という見方もありますが、一定の物価上昇水準を上回ると有効性が低くなる可能性があります。

ドイツの独立系金融グループのオッドBHFなどは、その水準を3~5%と試算しています。一方でスイスのプライベートバンクであるロンバード・オディエのマクロおよびマルチ資産部門責任者フロリアン・イエルポ氏は、「インフレ率が4%を超えて高止まりした場合、企業利益が損なわれて株価に打撃を与える」と指摘しています。

3 利上げ

インフレ圧力を受け、米国では政策金利の引上げが前倒しになるとの見方が強まっています。FRB(連邦準備制度理事会)は11月上旬のFOMC(公開市場委員会)で、テーパリング(量的緩和の段階的縮小)を開始することを決定しました。

パウエル議長はテーパリングの開始が必ずしも利上げを示唆するものではないと主張しているものの、米国の11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で6.8%上昇し、39年ぶりの高い伸び率を記録しました。

米国の利上げは株価から為替、世界経済まで広範囲に影響する可能性があるため、今後の動向が注目されます。

4 脱炭素化社会への移行

世界中で加速している脱炭素化社会への移行は、投資のチャンスをもたらすと同時にインフレ率が高止まりする要因となる可能性があります。

クリーンエネルギーやクリーンカーなど、CO2(二酸化炭素)排出量の抑制・削減につながる商品・サービスへの投資規模は、今後さらに拡大すると予想されています。

一方で経済大国の多くが石炭や石油などへの投資を縮小しており、エネルギー価格は急騰しています。このまま価格上昇が続けば、インフレが長期化する可能性が高まります。

5 中国

中国政府による大手テック企業の締め付けや不動産分野への融資制限などが要因となり、2021年の中国株は苦戦が目立ちました。ナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数は2月の高値から50%以上下落、MSCI中国指数は2006年以来の低水準に届きそうです。

しかしJPモルガン・チェースなどの機関投資家は、2022年には中国経済が力強い回復を見せ、それによって一部の中国株も値上がりすることを期待しています。

全体的には楽観的な見解が広がっているものの、欧米ではオミクロン株の感染拡大が深刻化しており、経済の先行きが不透明な状況が続いています。アノマリーや予想はあくまで参考に留め、市場の動きや国際情勢にアンテナを張り巡らしておくことが大切です。Wealth Roadでは、今後も株式市場の動向をレポートします。

※上記は参考情報であり、特定の国や企業の株式の売買や投資を推奨するものではありません。また、上記は各見解の発表者の意見であり、WealthRoadがその見解を推奨したり、それに基づく運用成果を保証したりするものではありません。

(提供:Wealth Road