本記事は、永野彰一氏の著書『一生お金に困らない山投資の始め方』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています

戸建てを買う際に「山」が付いてきた

不動産
(画像=yukiotoko/PIXTA)

「山を買う」というと、何千万円とか何億円という莫大な購入費用が必要になり、「とても自分にはできない」と感じる人も多いのではないでしょうか。

僕も最初はそう思っていました。でも、実際には購入費用0円どころか、お金をもらって全国各地にある数百の山を引き取ったりしています。

なぜそんなことが可能なのか、僕がやっている山投資の実情を、できるだけ詳しくお伝えしていこうと思います。

僕が初めて山を購入したのは、5年前の2017年12月のことです。新潟・佐渡市の佐渡島にある山でした。

最初から山を買おうとしていたわけではなく、自分で住むための家を少しでも安く購入しようと交渉している過程で、山の話が持ち出されたのです。

「売り主が山の処分に困っているんです。山も一緒に引き取ってくれるなら、戸建てをもう少し安くできますよ

不動産会社の人から、こんな提案がもたらされたのです。僕が買いたいと思っていた戸建ては、床面積が200平米くらいあり、間取りは3DKですが、物置や土間がメチャクチャ広い建物でした。二方に道があるため、使い勝手も抜群です。

元々の販売価格は200万円でしたが、粘り強く値引き交渉をして、4分の1の50万円まで値段が落ちてきたところでした。

「もうちょっとだけ、何とかなりませんか?」

ダメ元で最後のひと押しをしたら、山の話が出てきたのです。その山は300平米というから、約100坪くらいの小さな山でした。

300平米の山を一緒に引き取れば、戸建てが安くなる……。最初の感想を聞かれたら、「ふーん、そういうものですかね」という感じです。すぐにはピンと来ませんが、何か面倒な仕掛けが待っているような不安も感じました。

詳しく話を聞いていくと、僕が交渉している戸建てはその山のエリアにあるため、山の固定資産税が丸々かかってくることがわかりました。

固定資産税の免税点(一定金額に満たなければ課税しないとするその金額)は30万円以下ですから、山の評価額が30万円未満ならば税金はゼロですが、30万円に達すると年間5,000円くらいの固定資産税を払う必要があります。

そこに戸建てがあるわけですから、合算すると免税点の30万円を軽く超えてしまうことは確実で、仮に山が20万円だとしたら、そこに1.4%の固定資産税がかかって、年間2,800円の維持費が発生するのです。

ここまでを理解してから、僕は不動産会社の人にこんな提案をしました。

「わかりました。戸建てと山を一緒に買います。ただし、山の維持費が年間3,000円くらいかかりますから、その80年分の24万円を先にもらえませんか?」

交渉の結果、3DKの広い戸建てと300平米の山を、販売価格の10分の1となる20万円で買うことができました。

これは後でわかったことですが、田舎の物件について不動産会社に問い合わせると、「山も一緒にどうですか?」というケースは意外に多いように思います。僕の感触としては、3割くらいは山が付いてくるように感じています。

せっかく買ったのに手放した理由

僕は基本的には、買った山や不動産を人に転売しないことに決めています。

そんな僕が唯一手放したのが、この佐渡市の物件です。佐渡島は自分が住む家を購入するほど、気に入った場所です。最初の頃は、愛車のプリウスを駆って島を周遊したり、有名な寿司店に毎日のように通って、新鮮で格安な魚介類を堪能したりして、佐渡島ライフを満喫していました。

ところが、どうしても住み続けることはできませんでした。

その理由はふたつあります。ひとつは船酔いが辛すぎたことです。

佐渡島に行くには、新潟港から佐渡市の両津港まで、佐渡汽船のカーフェリーに乗って2時間30分くらいかかるのですが、乗船するたびに酷い船酔いに襲われるため、頻繁に乗ることに耐えられなかったのです。

もうひとつは、これはあまり書きたくないのですが、オバケが出るのです。家で寝ていても、車中泊をしても、必ず幽霊が出てくるので、ホントに怖いんです。

もうあまりにも怖すぎて、とても住んでいられなくなりました(もちろん気のせいかもしれませんが)。

「これはもう無理だな」と思った僕は、現地の不動産会社に「いくらで売れますか?」と聞きに行きました。

「100万円くらいなら」と言うので、家のカギを預けて「後はお願いします」とだけ伝えて、猛スピードで島を離れました。

その後、この物件は100万円で売りに出されて、不動産会社から「90万円で売れた」と連絡がありました。もう佐渡島には行きたくなかったので、手続きはすべて郵送で済ませ、税金を支払って、無理矢理に強制終了させました。

売ったのは2018年12月ですから、購入からわずか1年後のことです。これが僕が手放した唯一の物件の怖すぎる顛末です。

山を1円で売ってくれませんか?

佐渡島ではホントに怖い思いをしましたが、この物件の購入を通して、貴重なことを学びました。

山とセットで買えば、戸建てが安くなる可能性があるということです。

逆に考えれば、売りに出ている山を探せば、その処分に困っている人が戸建てを安く売ってくれる可能性があるということになります。

佐渡島だけでなく、他の地域にも「山の処分に困っている人がいるに違いない」と思った僕は、『アットホーム』などの不動産情報サイトに掲載されている山の物件情報を検索して、片っ端から連絡を入れてみました。

売り値が「10万円」とか「50万円」と掲載されている山を扱っている不動産会社に軒並み電話を入れて、こう聞いて回ったのです。

この山ですけど、1円で売ってくれませんか?

いきなり不動屋会社に電話をして「この50万円の山を1円で売ってください」などと言ったら、「ふざけるな、バカヤロー!」と激怒されるのではないかと思うでしょうが、決してそんなことはありません。相手は不動産のプロですから、きちんと対応してくれるところがほとんどでした。

「あぁ、なるほど。そうですよねぇ。確かに価値はない山ですけど、1円で売ったのでは、ウチの手数料が出ないなぁ」

こんな反応が多かったように思います。

それでもメゲないのが僕の身上ですから、ガンガン電話を掛けまくったところ、ひとつの案件が浮上しました。

2018年2月に岩手・盛岡市の山と出会ったのです。佐渡島の物件を購入して初めて山の存在を意識してから、およそ4カ月後のことです。

一生お金に困らない山投資の始め方
永野彰一(ながの・しょういち)
投資家・事業家。1990年東京都生まれ。早稲田大学法学部卒業。14歳の時に取得した「乙種第4類危険物取扱者」を手始めに、100を超える資格を高校在学中の2年間に取得。最年少取得記録を多数保有している。プロの雀士でもある。現在は不動産投資家として活動し、全国に数百の山を所有。「山王」と呼ばれている。テレビ東京『日経スペシャル ガイアの夜明け』などメディアにも多数出演。

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