本記事は、永野彰一氏の著書『一生お金に困らない山投資の始め方』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています

意外にたくさんある山の活用法

山,キャンプ場
(画像=gumichan/PIXTA)

ここからは、投資をして山を手に入れたら、その山は「どんな利益を生み出してくれるのか?」というポイントについて触れていきます。

最も現実的で効果が期待できるのは、税金面でのメリットを活かしながら、山を上手に活用するという方法です。

山の多くは1万平米から2万平米くらいになるまでは固定資産税の免税点である30万円に届かないため、税金は0円です。

そこに最近、大流行しているキャンプ場やグランピング(道具や食事が用意されている豪華なキャンプ)などの施設を作って、1日いくらで貸している人はたくさんいますし、その近くに駐車場を作って儲けている人もいます。

山に道路がなければ、自分で整備をすると補助金がもらえます。2m道路とか4m道路を整備すると、1mあたり何千円とか何万円とかの補助金が給付されるのです。自分の施設や駐車場にお客さんを導くための道路を補助金をもらって作れるのですから、十分に活用する価値があります。

持っている山のそばに「道の駅」があれば、そこに駐車場を作るという手もあります。道の駅では車中泊は原則禁止となっていますが、最近では、その敷地内にテントを張って泊まり込む人まで登場して、何かと問題になっています。そういう人たちのために駐車スペースを用意して、駐車料金で稼いでいる人もいます。

駐車スペースといっても、仮設のトイレを設置するくらいで済みますから、設備投資などもあまり必要ないのです。

僕のところに興味深い提案が持ち込まれたことがあります。ある地域に50年の地上権を設定している山があって、そこを地元の森林組合が借りることになっているというのです。山の管理から木の伐採まで、すべてを森林組合がやってくれるし、もし木が売れたら、利益は折半にするので、その山を1万円で買わないか……というものでした。

これは面白いと思って、いろいろな森林組合に電話をして下調べをしてみると、意外なことが判明しました。利益を折半どころか、逆に赤字になるケースもあり得るというのです。仮に木が20万円で売れたとしても、それまでの経費として100万円が掛かっているといわれたら、結果として40万円を請求されるというのです。

そんなリスクは負ってまで山を買う必要はありませんから、この話は破談にしました。商談そのものに悪意がなくても、契約の内容によっては意外な落とし穴がありますから、十分に注意する必要があります。

利益を生み出す山 ── 6つのポイント

今後、利益を生み出す可能性を持つ山には、大きく分けて6つの特徴があると考えています。そのポイントを優先順位に従って見ていきます。

第1のポイントは、道路が接道している山とか、近くに道路がある山です。これはアクセスが便利というだけではありません。道路が付いているということは、そこに電柱がある確率が格段に高くなります。僕は「道路がある」と「電柱がある」は、ほぼイコールと考えています。

第2のポイントは、集落と集落や、町と町の間にある山です。周辺に人が住んでいるということは、当然ながら電気を使います。こちらも電柱がある確率がグンと高まります。

第3のポイントは、タケノコや松茸、山菜など、採ったらすぐに売れるものが収穫できる山です。こうした収穫物のことを、法律用語では「天然果実」と呼びます。すぐに現金化できるという利点は圧倒的な強みです。

第4のポイントは、上質な杉やヒノキ、赤マツなど、加工すれば売れる樹木が生えている山です。「樹齢の長い木があるか?」とか、「きちんと間伐されているか?」ということも大切なチェック項目です。間伐とは、森林が茂りすぎるのを防ぐために、木を切ってまばらにすることをいいます。

林業をやっている人にとっては、この項目だけが大事なポイントで、他はどうでもいいという見方をしますが、投資家の目から見ると、優先順位としては4番目くらいが妥当だと思います。

第5のポイントは、水源がある山です。水資源の活用というのは、スケールの大きなビジネスに発展する可能性を秘めていますが、即効性という観点で見れば、気の遠くなるような話です。「数百年後には莫大な価値を生むかもしれない」という期待を込めての価値判断です。

最後となる第6のポイントは、道路はなくても、場所が特定できていて、グランピングなどに活用できる山です。道路が接道していない場合は、その山に行くためにどうしても通らなければならないルートが他人の持ち物であったとしても、他に選択の余地がなければ通っていいという「囲い繞にょう地ち通行権」が法律で認められています。その山に活用する価値があるならば、道路がなくても利益を生み出す可能性があるのです。

これら6つのポイントのどれかひとつでも該当すれば、その山は利益を生み出す可能性がありますが、逆にひとつも該当しない場合は、何らかの工夫をしなければお金を生んでくれない山ということになります。

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(画像=『一生お金に困らない山投資の始め方』より)
一生お金に困らない山投資の始め方
永野彰一(ながの・しょういち)
投資家・事業家。1990年東京都生まれ。早稲田大学法学部卒業。14歳の時に取得した「乙種第4類危険物取扱者」を手始めに、100を超える資格を高校在学中の2年間に取得。最年少取得記録を多数保有している。プロの雀士でもある。現在は不動産投資家として活動し、全国に数百の山を所有。「山王」と呼ばれている。テレビ東京『日経スペシャル ガイアの夜明け』などメディアにも多数出演。

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