厚生労働省の発表によると、令和2年度の国民年金保険料の最終納付率 (平成 30 年度分保険料) は77.2%。最終納付率は平成24年度から8年連続で上昇しているが、それでも対象者の20%以上 (5人に1人以上) が未納ということになる。

中には、「支払う意志はあるが、経済的に難しい」という人もいるだろう。

「国民の義務」と呼ばれる国民年金が未納だと、どうなるのだろうか。また、支払いが難しい場合は、どうすればよいのだろうか。

国民年金保険料とは ?

「年金未納」は百害あって一利なし ! 払えない場合の対処法
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まず、国民年金の概要をおさらいしておこう。国民年金は公的年金制度の一つで、公的年金制度とは老後の生活のほか、病気やケガで障害が残ったとき、一家の働き手が亡くなったときなどに、みんなで支え合う仕組みだ。国民年金を納めておくと、老後のための「老齢年金」のほか、万が一のときには「障害年金」や「遺族年金」を受け取ることができる。

日本国内に住む20歳以上60歳未満の人は、すべて国民年金に加入することになっている。サラリーマンや扶養されている配偶者は、厚生年金保険や共済組合が加入者に代わって負担をしてくれているため、国民年金保険料の納付は不要だ。しかし、自営業者や学生などは自分で保険料を納める必要がある。令和3年度の保険料は月額1万6,610円だ。

国民年金が「国民の義務」と呼ばれるのは、国民年金法第八十八条に「被保険者は、保険料を納付しなければならない」と明記されているからだ。したがって、本来は「支払わない (未納) 」という選択肢はない。

国民年金保険料を支払わないとどうなる ?

国民年金保険料を支払わないと、どうなるだろうか。まず、老後に年金 (老齢基礎年金) がもらえなくなる可能性がある。

具体的には、老齢基礎年金の受け取りには原則として10年以上の保険料納付済期間が必要だ。ただし、10年以上納めれば満額がもらえるわけではない。老齢基礎年金の支給額は保険料納付済期間等に応じて算出され、未納期間は計算の対象期間にならないため、納付期間が短いと減額される。

さらに、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に受け取れる「障害年金」や、一家の主が亡くなった場合に遺族が受け取れる「遺族年金」を受け取れない可能性がある。「年金」には「老後という遠い未来への備え」というイメージがあるかもしれないが、現在の生活を守ってくれるものでもあるのだ。

また、国民年金保険料を支払わない状態が続くと、財産が差し押さえられるおそれもある。

国民年金保険料を支払えない場合はどうする ?

そうはいっても、経済的に支払いが難しいこともあるだろう。そのような場合は未納のまま放置せず、「国民年金保険料免除・納付猶予制度」の手続きを行おう。

「保険料免除制度」とは、所得が一定額以下の場合や失業した場合に申請し、承認されると保険料の納付が免除される制度だ。免除される額は、「全額」「4分の3」「半額」「4分の1」の4種類がある。

「保険料納付猶予制度」とは、20歳以上50歳未満で所得が一定額以下の場合に申請し、承認されると保険料の納付が猶予される制度だ。

保険料の免除や納付猶予が承認された期間は、年金の受給資格期間に含まれる。つまり、その期間に病気やケガで障害もしくは死亡といった不慮の事態が発生した場合、障害年金や遺族年金を受け取れるのだ。老齢基礎年金を受け取ることもできる (ただし、納付猶予になった期間は年金額には反映されない) 。

また、受け取れる年金額を計算する際には保険料を収めた期間を考慮する必要があるが、保険料を免除された期間は保険料を納めた場合の半分の期間として計算されることに注意しよう。

このように、国民年金には保険料の支払いが難しい場合の救済措置が用意されている。該当する可能性がある人は、管轄の役所で相談してみよう。

年金未納は百害あって一利なし しっかり納付しよう

国民年金保険料とは何か、支払わないとどうなるのか、支払えない場合はどうすればよいか、について見てきた。年金未納できるだけ避けたほうがよいといえるだろう。年金は老後生活における大切な収入源であり、万が一のときを支えてくれるセーフティネットでもある。そもそも、国民年金保険料の支払いは義務だ。

そのため、資金を適切に管理して、しっかり保険料を納付しよう。経済的に納付することが難しい場合は未納のまま放置せず、「国民年金保険料免除・納付猶予制度」の手続きを行うべきだ。

(提供:大和ネクスト銀行


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