この記事は2022年3月15日に「ニッセイ基礎研究所」で公開された「J-REIT市場の動向と収益見通し。今後5年間で+8%成長を見込む~コロナ禍で剥落した収益回復分を除けば、横ばいとなる見通し」を一部編集し、転載したものです。

要旨

J-REIT市場の動向と収益見通し
(画像=PIXTA)
  • J-REIT市場は、コロナ第6波や世界的な金利上昇、ウクライナ侵攻など悪材料が重なるなか、年初からの下落率は▲9%に拡大している。

  • 外部環境の不透明感が高まる一方で、J-REIT市場のファンダメンタルズに大きな変化はみられない。1口当たりNAVは不動産価格の上昇により前年比3%増加し、「1口当たり分配金(DPU)」についても底打ちし、回復傾向にある。

  • 本稿では、現在のコロナ禍におけるJ-REITの収益環境を確認したのち、各種シナリオを想定し、今後5年間のDPU成長率を試算した。

  • 今後5年間のDPU成長率は+8%(年率1.6%)となり、業績の回復が期待できる結果となった。内訳は内部成長が7%、外部成長が1%、財務がゼロとなる。2022年は概ね横ばいで推移するものの、来年以降、回復に向かう見通しである。

  • ただし、今後の成長ドライバーは、コロナ禍により剥落した収益の回復であり、この要因を除くとDPUは概ね横ばいで推移する見通しである。