投資信託の分配金は株式の配当金と混同されがちですが、まったくの別物です。分配金の仕組みと投資効率に与える影響を理解し、投資信託の銘柄選びに活かしましょう。

投資信託の分配金の仕組み

投資信託の分配金とは? 仕組みや考え方、株式の配当金との違いを解説
(画像=OlivierLeMoal/stock.adobe.com)

まず、投資信託の分配金の仕組みや種類を簡単に説明します。

投資信託の分配金とは

投資信託とは、投資家から集めた資金を専門家が運用する金融商品です。投資先は、国内外の株式や債券など多岐にわたります。運用がうまくいって利益が出ると投資信託の評価額が上がり、投資家に利益をもたらします。この際、投資信託を保有する投資家に対して、投資信託財産から支払う金銭を分配金といいます。

よく一部のメディアなどで投資信託を「分配金あり/なし」という分け方で呼ぶ表現を見かけますが、厳密には、商品ごとに分配金の有無が明確に定められているわけではありません。投資信託では、定期的に決算があり、その決算の内容を鑑みて、分配をするかどうか決めることになり、決算の頻度は年1回・年2回・年4回・年6回・毎月など、商品ごとに異なります。

毎月型は、基本的に毎月分配する方針でファンドを運営しているため、結果として毎月分配金を受け取れることが多いです。一方、年1決算型は、基本的に分配しない方針のファンドが多く、分配金は支払われない傾向があります。

分配金について詳しく知りたい時は、過去の分配金の実績が参考になります。商品の目論見書や運用報告書を確認してみましょう。ただし、急に運用会社の方針変更で、分配金が支払われたり、支払われなくなったりすることもあります。あくまで過去の実績は目安と考えてください。

分配金の種類と分配金にかかる税金

投資信託の分配金には、普通分配金と特別分配金があります。普通分配金とは、運用で得られた利益を投資家に分配するものです。特別分配金とは、元本の一部を投資家に払い戻すものです。

普通分配金と特別分配金は、人によって変わります。購入単価が異なると同じ100円の分配金でも、全額特別分配金になることも、全額普通分配金になることもあり得ます。また、分配金100円の中で、普通分配金と特別分配金に分かれていることもあります。

普通分配金は利益なので課税されますが、特別分配金は元本の払い戻しなので課税の対象になりません。

分配金があると「得をしている」と言えるのか

「分配金がある投資信託のほうがいい」と考える方がいますが、必ずしもそうとは言い切れません。またその逆もしかりです。その理由を、分配金の仕組みと、配当金との違いから見ていきましょう。

純資産総額と基準価額との関係

投資信託では投資家から集めた資金と運用益の合計額を純資産総額と呼び、純資産総額を口数で割ったものを基準価額と呼びます。分配金を支払うと、その分純資産総額や基準価額は下がります。

投資信託の分配金を、単純に「利益が分配される」ととらえることはできません。分配金は、運用しているお金の一部が戻ってきたということになります。一方「分配金がない」ということは、投じた資金や利益がそのまま運用されているということです。

つまり、分配金がたくさん出たから得をした、少ないから損をした、という単純な話ではありません。たくさん分配金が出た場合、その後の運用にお金が回っていない状況になります。

分配金の理解を深めるため、具体例で見ていきましょう。

基準価額が1万5,000円の時に投資信託を購入し、決算時に1,500円の分配金を受け取ったとします。その後の基準価額が1万3,000円になったとすると、基準価額と分配金の合計額は1万4,500円です。つまり、分配金を1,500円受け取っていても、トータルでは購入時より損をしていることになります。

一方、基準価額が8,500円の時に投資信託を購入し、決算時に500円の分配金を受け取ったとします。その後の基準価額が1万円になったとすると、基準価額と分配金の合計額は1万500円です。つまり、分配金は500円しか受け取っていなくても、トータルでは購入時より得をしていることになります。

投資信託の商品を選ぶ時は、分配金の有無や基準価額だけを見るのではなく、分配金を含むトータルリターンで、ファンドの運用成績を総合的に判断しましょう。

株式の配当金との違い

株式の配当金は企業の利益を投資家に還元するものですが、分配金は元本もしくは運用益を分配するものです。そのため、まったく性質の異なるものです。

配当金が出るタイミングで、株価に影響が及ぶこともありますが、実際には配当金と株価は別ものです。そのため、配当金の権利落ち日であっても、株価が上がることもあります。

金融庁は「毎月分配型」の投資信託を問題視

金融庁が2017年に公表した「金融レポート」で、毎月分配型の投資信託の問題点として、「元本を取り崩しながら分配される場合には運用原資が大きく目減りして、運用効率を下げてしまう」ことが指摘されました。また、「顧客ニーズを十分に確認せずに販売が行われている可能性」が指摘されました。

投資信託の分配金の仕組みを十分に理解しないまま、毎月分配型の商品を選んだ人もいたと推測されます。このレポートを受け、毎月分配型の投資信託の人気は下がりましたが、「運用しつつ収入を得たい」という人には適した商品といえます。特に、資産がある人が徐々に資産を切り崩しながら生活していく場合には向いているとも考えられます。

「予想分配型」の投資信託も登場

最近では、「予想分配型」の投資信託が登場し、人気を博しています。予想分配型とは、決算日の前営業日の基準価額に応じて、あらかじめ分配金が決まるファンドのことです。基準価額が高いほど分配金は増え、基準価額が低いほど分配金は減るよう設定されていることが一般的です。

ただし、投資信託の分配金はあくまで元本や運用益を分配するもので、分配金の支払いによって純資産総額や基準価額は目減りします。結果として、投資効率は下がることになります。その点をよく理解した上で、分配金が必要かどうかを判断するようにしましょう。

※上記は参考情報であり、特定企業の株式の売買及び投資を推奨するものではありません。

(提供:Wealth Road