この記事は2022年4月15日に「ニッセイ基礎研究所」で公開された「人流抑制で落ち込むサービス消費-繰り返される行動制限への疑問」を一部編集し、転載したものです。

要旨

経済
(画像=PIXTA)
  1. 2021年末にかけて急回復したサービス消費は、まん延防止等重点措置による人流抑制の影響で、2022年に入ってから大きく落ち込んでいる。

  2. 新型コロナウイルス感染症の流行が始まった2020年春以降、サービス消費は人出の動きに合わせて増減を繰り返してきた。緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が実施された地域の人出はそれ以外の地域よりも減少幅が大きい傾向がある。

  3. 人流抑制はサービス消費の中でも外食、宿泊などの対面型サービス消費の減少に直結する。緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の実施期間が長い地域では、外食の落ち込みがより顕著となっている。

  4. 緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が実施された地域の新型コロナウイルス新規陽性者数(人口10万人あたり)は、実施されなかった地域の水準を大きく上回っており、ピークアウトのタイミングは両者に大きな差は見られない。行動制限による感染抑制効果は必ずしも明確とは言えない。

  5. 感染を完全に封じ込めることは困難であり、「ウイズコロナ」を前提とした政策対応を進めるべきである。具体的には、医療提供体制の見直しによって、従来のインフルエンザと同様に、症状のある患者を一般の医者が診断、治療するようにすれば、医療逼迫を理由とした行動制限の必要性は低下する。感染拡大時に行動制限を課さなければ、対面型サービスを中心に個人消費が大幅に増加し、経済の正常化が近づくだろう。

サービス消費
(画像=ニッセイ基礎研究所)