この記事は2022年8月3日(水)に「羊飼いのFXブログ」で公開された「井口喜雄氏の現在の相場観とFXトレード戦略」を一部編集し、転載したものです。
2022年8月3日(水)の午後13時すぎにトレイダーズ証券の井口喜雄さんから聞いた最新の相場観と戦略を紹介する。
現在の為替相場の傾向や相場観
激しい値動きが続いている。米国のテクニカルリセッションや、ペロシ米下院議長の台湾訪問などリスクオフを背景に米ドル/円は1週間で約7円の急落となり、2022年8月2日(火)も東京時間では130円ミドルまで下値を拡大した。
しかし、NY時間になってFOMCメンバーであるデーリー氏、エバンス氏、メスター氏3名のタカ派発言が伝わると一転、133円台まで一気に3円の急騰を見せるなど乱高下。FOMCメンバー3名の発言を抜粋すると以下の通り。
デーリー氏 「インフレ制御は長い道のり」「達成には程遠い」
エバンス氏 「9月50bp(0.50%)利上げは妥当だが、75bp(0.75%)でも問題ない」
メスター氏 「インフレのピークまだ先、一段の取り組み必要」
この3名が揃ってタカ派発言をしたことで、マーケットの楽観論に冷や水を浴びせ、インフレを抑えることがFRBにとって最も重要なことだと改めて軌道修正をした格好だ。
また、米リセッション(景気後退)についてはバイデン米大統領、イエレン米財務長官、パウエルFRB議長らが、米労働市場の力強さを根拠にリセッションを否定している。
それだけに2022年8月5日(金)の米雇用統計結果にはいつも以上の注目が集まるだろう。
現在の為替相場の戦略やスタンス
米ドル/円は一時130円台まで急落し、多くのロングポジションがロスカットになったことで下値攻めをしていた短期勢としては一定の達成感も出ていそうだ。一方でFRBがインフレ抑制に明確な姿勢を示し、米長期金利の下落が止まったことはドル買いの材料になる。
ただし、週末の米雇用統計にて米国の労働市場の雲行きが怪しくなる結果となれば、労働市場の力強さを根拠に否定されていた米国のリセッションが改めて嫌気されることになるだろう。
あしもとのマーケットは目まぐるしく状況が変わっており、下落スピードも速いが、戻りも速い。逆張りは一瞬で捕まってしまうため、数時間単位の短いトレンドには素直について行くことが重要だ。
それでもボラティリティの上昇にトレードを合わせられないのであれば、ポジションを縮小してディフェンスを固めるべきだろう。
▽米ドル/円の日足チャート
※当記事は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。