個人投資家に門戸が広がる“オルタナ投資” ―― ブラックストーン 藤田薫氏に聞く
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リスク許容度のある個人投資家の資産運用において、オルタナティブ資産への投資(オルタナティブ投資)が浸透しはじめている。オルタナティブ資産とは、上場株式や債券といった伝統的資産と呼ばれるもの「以外」の投資対象を指す。

もともと(プライベート市場への投資を含む)オルタナティブ投資は機関投資家や一部の超富裕層のみが対象であったが、投資の小口化が進み、リスク許容度のある個人投資家に手が届くようになってきた。

ZUU onlineでは、この新しい潮流を報告すべく、特集「個人投資家とオルタナティブ投資」を立ち上げ、オルタナティブ投資についてさまざまな情報をお届けしていく。第1回は、日本の幅広い層の投資家向けにオルタナティブ投資戦略を立案、提供しているブラックストーンのプライベート・ウェルス・ソリューションズ部門 日本拠点責任者 藤田薫氏に話を聞いた。

ブラックストーンは、資産運用残高128兆円(2022年6月30日時点)を有し、年金基金、機関投資家、および個人投資家にサービスを提供する世界最大級のオルタナティブ資産運用会社だ。プライベート・エクイティ、不動産、クレジット、ヘッジファンド、インフラ、ライフ・サイエンス、保険、グロース・エクイティといったオルタナティブ資産クラス全体への投資を行っている。

藤田薫
藤田 薫(ふじた かおる)
ブラックストーン・グループ・ジャパン株式会社 マネージングディレクター兼プライベート・ウェルス・ソリューションズ部門日本拠点責任者。2020年4月ブラックストーンに入社。ブラックストーン入社以前はフィデリティ投信にてプロダクト・ストラテジストが属する部署で部長を務める。同社で10年間の投信営業を経験した後、ロンドン拠点に駐在。帰国後は日本最大規模の公募投資信託(担当当時)「フィデリティ・USリート・ファンドUSリートファンド」のプロダクト・ストラテジストとして、日本における運用コミュニケーション全般を担当、米国ボストンの運用担当者と連携しながら、日本の投資家に向けて情報提供を行う。

「適合性の原則」に当てはまる個人投資家へオルタナティブ投資を提供していく

―― プライベート・ウェルス・ソリューションズ(PWS)部門の日本オフィスが発足して約2年が経ったと伺っています。

世界中の機関投資家に選択されてきたオルタナティブ投資戦略を幅広いアドバイザーと個人投資家に提供していくために、米国で約10年前に発足したのがプライベート・ウェルス・ソリューションズ部門です。そして、日本でPWSチームを約2年前に立ち上げました。

私は2020年にブラックストーンに入社し、この日本オフィス立ち上げを進めてきました。現在メンバーは11名まで拡大しています。商品開発、インベスターサービス、営業とマーケティング、エデュケーションといった各分野で高い専門性を有し、“新たな領域を切り開く“という志に共感してくれたスペシャリストたちが集まってくれたと感じています。

―― 「幅広い層の投資家に提供していく」と言われましたが、「幅広い層の投資家」とは具体的にはどのような層を指すのでしょうか?

現状、私たちは、個人投資家へ直接、商品を提供していません。幅広い投資家にお届けするために、日本の金融機関や販売の担い手と協業しています。投資家は異なるリスク許容度を有しています。

販売の担い手は顧客のリスク・リターン特性に沿って商品をご提案しています。

オルタナティブ投資はインフレに強く、分散効果を提供

―― 個人投資家がオルタナティブ投資をポートフォリオに組み込むメリットを教えてください。

個人的な見解として、潜在的なメリットには以下の3つが挙げられます。