これから資産運用を始めたいと思っている人が、まず検討する選択肢の代表格といえば「株式投資」と「投資信託」ではないでしょうか。自分に合った投資商品を選ぶには、それぞれの特徴を理解しておくことが必要です。この記事では、株式投資と投資信託の違いや、それぞれ向いていると思われる人の特徴を解説します。

株式投資と投資信託は何が違う?

株式投資と投資信託、始めるならどっちがいい?
(画像=PIXTA)

まず、株式投資と投資信託の特徴、それぞれの違いを見ていきましょう。

●株式投資とは

株式とは、企業が資金調達のために発行する証券のことです。それを購入すると、企業に出資したオーナー(株主)としての権利を得られます。

株主になれば、株主総会に参加して議決権を行使したり、配当金や株主優待を受け取ったりできるようになります。また、購入時より株価が上がったタイミングで株式を売却すれば、その差額が自分の利益になります。

●投資信託とは

投資信託とは、投資信託運用会社が設計する金融商品のことです。投資家から集めた資金を、投資のプロが運用し、保有口数に応じて利益を分配します。株式投資とは異なり、企業に直接投資するわけではありませんが、投資信託では間接的に、いくつもの投資先に分散して資産運用することができます。一方で、企業に直接出資するわけではないので、基本的にオーナーとしての権利は得られません。

投資信託の投資先は、債券や不動産、金、それらを組み合わせたものなどさまざまで、「株式に投資する投資信託」も多数存在します。

●株式と投資信託の違い

株式投資では自分で投資先(銘柄)を見つけて投資しますが、投資信託は出資するファンドを選ぶ必要はあるものの、何に投資するかはプロに一任することになります。ショッピングでたとえるなら、株式は自身で選んだお店(市場)で好きな洋服(銘柄)を購入するイメージ、投資信託は自身で選んだお店(ファンド)の店員さん(ファンド・マネージャー)のセンスで全身コーディネートしてもらって一式買うようなイメージです。

また、株式投資と投資信託では手数料のかかり方が違います。

株式投資は、株式を購入したときと売却したときだけ手数料がかかるのが一般的です。投資信託は、購入時や売却時だけでなく、運用期間(その投資信託を保有している間)に対して信託報酬という手数料がかかり続けますが、証券会社などのサービスによっては、こうした手数料がかからない場合もあります。事前に各証券会社のサービスを比較しておきましょう。

株式投資と投資信託、どちらを選ぶべきか?

株式投資と投資信託は、どちらか一方が優れているということではありません。自身の投資に対する考え方や資金力、投資の目的などによって選び方は変わってきます。

そこで、ここからは投資先選びでよくあるお悩みを見ながら、選ぶ上でのポイントを解説していきます。

●初心者で投資先選びが不安なら「投資信託」

「まだ投資先を見極める自信がない」という方に人気なのは投資信託です。どの銘柄群に投資するかといった運用を、プロに任せられるという特長があるからです。ただし、どんな運用方針のプロ(ファンド)に任せるのかは、自身で選ぶ必要があります。ファンドにはさまざまな種類があり、たとえば国内株式のみに投資するファンドや、日経平均株価などのインデックスに値動きが連動するファンドなどがあります。

反対に、「せっかくなら自分で1社ずつじっくり分析して、納得できるところを選びたい」という方には株式投資の方が合うかもしれません。

●少額で分散投資したいなら「投資信託」

株式投資、投資信託のどちらも、証券会社などのサービス次第で数百円程度から始められます。最初は、日常生活に支障のない範囲で少額から始めるのがおすすめです。投資信託なら、元手が少なくても分散投資(※)を実践できます。

※分散投資:投資する銘柄やタイミング、地域などを分散させる投資手法で、特定の資産が大きく値下がりした際の損失を抑える効果などがある

●NISAを活用するなら「株式投資」「投資信託」、iDeCoは「投資信託」

NISAやiDeCoといった税制優遇制度は、お得に投資ができるのでぜひ活用を検討したいところです。株式投資に取り組むならNISAを活用できます。外国株への投資でも対象になります。投資信託は、NISA、つみたてNISA、iDeCoのいずれにおいても投資対象となっています。

●配当金や株主優待を受け取りたいなら「株式投資」

「気に入っている企業の商品がお得に手に入った」「お食事券がもらえた」といった株主優待や、配当金は株式投資のみのメリットです。株価の値上がりだけではなく、株主優待を期待するなら、株式投資が合っているかもしれません。

自分に合った投資法を選ぼう

株式と投資信託は、どちらも資産運用としては有力な選択肢ですが、その性質は大きく異なります。それぞれの特徴を踏まえて、自分の志向性に合った方を選びたいところです。

もちろん悩んだらどちらもやってみることもできますし、さらに別の資産運用と比較して考えることもできます。少しずつ知識をつけながら、納得のいく方法でトライしてみるのがよいでしょう。

執筆者:馬場愛梨(ファイナンシャル・プランナー)

(提供=auじぶん銀行)

【おすすめ記事 auじぶん銀行より】
100万以上の控除!?「住宅ローン控除」の節約メリット
知って得する貯蓄のコツ 「生活口座」と「貯蓄口座」とは?
ローン返済額みんなの平均はいくら?「住宅購入とお金」全国実態調査
お金を貯められる人になるために持ちたい「コスト意識」
もうすぐ「平成」が終わる…元号の変更でどうなる?昭和から平成はどうだった?