近年、中長期の資産形成や分散投資の手段として注目される「外貨預金」。日本円での預金や国内株とは異なる特性をもつため、投資先として興味をもっている方も多いだろう。
本記事では実際のアンケート調査をもとに、経験者の割合や預金額などの利用状況をまとめた。外貨預金を始めようか迷っている人は、ぜひ参考にしてほしい。
外貨預金とは ? 調査結果から見る利用状況
外貨預金とは、日本円ではなくドルやユーロなどの外貨を使った預金である。外貨は為替レートの影響を受けるため、市況によっては金利だけではなく為替差益による利益も発生する。
近年、外貨預金の利用者は増えていると言われるが、実際にはどれくらいの人が利用しているのだろうか。ここからは、マイボイスコム株式会社が公表した「【外貨預金の利用】に関するアンケート調査 (第10回) 」をもとに、外貨預金の利用状況を紹介していく。
外貨預金の利用経験者の割合は ?
まずは、第10回アンケート調査における「外貨預金の利用経験」に関するデータを見ていこう。
「外貨預金をしたことがありますか ? 」に対する回答 | 割合 |
---|---|
【1】現在している | 12.3% |
【2】以前していたが、現在はしていない | 10.3% |
【3】したことがない | 77.4% |
現在、外貨預金をしている人の割合は1割強だが、利用経験者は全体の22.6%であり (【1】・【2】の合計) 、5人に1人は利用を経験している結果となった。では、第10回以前のアンケート結果から、利用経験者がどれくらい変化しているのかを調べてみよう。
アンケートの実施回 | 利用経験者の割合 |
---|---|
第1回 (2001年5月) | 13.6% |
第2回 (2002年5月) | 15.0% |
第3回 (2003年5月) | 17.0% |
第4回 (2005年5月) | 18.0% |
第5回 (2007年7月) | 該当設問なし |
第6回 (2009年5月) | 該当設問なし |
第7回 (2011年5月) | 20.7% |
第8回 (2014年5月) | 19.8% |
第9回 (2017年5月) | 20.4% |
第10回 (2020年5月) | 22.6% |
外貨預金の利用者は2000年代初頭から増加しており、第1回から第4回にかけて利用経験者は4.4ポイント増加している。第5回と第6回は該当する設問がないため言及しないが、2011年~2017年の調査では20%前後と第4回までに比べて関心が高まっていることがうかがえる。2020年の調査ではさらに2ポイント伸ばして22.6%となっている。
どのように外貨預金を利用している ?
次は、同調査 (第10回) における「外貨預金の利用方法」に関するデータを見ていこう。
外貨預金の利用方法 | 回答者の割合 (※複数回答可) |
---|---|
金利がよいので、中長期間で保有し、金利差益を求める | 39.4% |
為替レートの変動を利用し、中長期間で保有し、為替差益を求める | 24.6% |
資産のポートフォリオの一環として、リスク分散のため、組み入れている | 13.2% |
日本円自体に不安を感じているのでリスク分散のため、運用している | 12.8% |
上記の結果から、外貨預金の利用者は「中長期の金利差益・為替差益」を主な目的にしていることが分かる。外貨には年利が3%を超えるような通貨も存在するため、特に金利差益を狙って外貨預金を始める人は多い。
ちなみに、国内の年金保険料を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人 (GPIF) 」も、2014年以降は外貨資産比率を増やしている。その結果、2016年度には収益を大幅に増やすことに成功しているため、ポートフォリオに外貨を組み込む効果は大きいと考えられるだろう。
外貨預金をするきっかけとなったのは ?
次は、外貨預金をするきっかけとなった情報源のアンケート結果 (第10回) を紹介しよう。
外貨預金を利用するきっかけとなった情報源 | 回答者の割合 (※複数回答可) |
---|---|
金融機関のWebサイト | 38.0% |
金融機関の担当者のアドバイス | 15.9% |
家族や友人・知人 | 9.8% |
直近4回分の推移を見ると、「金融機関のWebサイト」をきっかけに外貨預金を始めた人が増えている。そのほかの情報源は全体的に減少傾向だが、地方銀行や証券会社の利用者、60~70代などの層は、「金融機関の担当者のアドバイス」から始めることも多いようだ。
なお、近年ではさまざまな金融機関が外貨預金をPRしており、専用のWebページが設けられているケースも少なくない。商品概要だけではなく基礎知識も学べるので、外貨預金に対して不安を抱えている場合は積極的に活用しよう。
外貨預金の預金額は ?
最後に、第8回~第10回アンケート調査における、「外貨預金の金額」に関するデータを紹介する。
外貨預金の金額 | 第8回の回答者割合 | 第9回の回答者割合 | 第10回の回答者割合 |
---|---|---|---|
10万円未満 | 10.7% | 12.7% | 17.2% |
10~50万円未満 | 19.4% | 19.7% | 19.2% |
50~100万円未満 | 19.4% | 17.6% | 15.7% |
100~200万円未満 | 17.8% | 17.6% | 16.6% |
200~300万円未満 | 9.5% | 9.8% | 8.5% |
300~500万円未満 | 8.1% | 8.4% | 8.7% |
500~1,000万円未満 | 7.0% | 6.7% | 6.2% |
1,000万円以上 | 7.7% | 6.2% | 7.1% |
直近3回分の推移を見ると、「10万円未満」と回答した人の割合が増えている。一方で、外貨預金に「50万円~300万円未満」を充当している層は減少しているため、近年では少額資産の運用先として利用するケースが多いと考えられる。
10万円未満などの少額であっても、外貨預金は資産ポートフォリオの調整・構築に活用できるため、分散投資の選択肢として検討してみてはいかがだろうか。
外貨預金は分散投資にも役立つ金融商品
為替差益を狙った投資や中長期の資産運用など、外貨預金にはさまざまな活用方法がある。また、分散投資にも役立つ側面があるので、教育資金や老後資金の形成を目的にしている方は、ポートフォリオに組み込むことを積極的に検討したい。
ただし、実際の運用では知識や情報が必要になるため、まずは各金融機関が公開しているWebページなどをチェックし、金融商品としての特徴を押さえていこう。
(提供:大和ネクスト銀行)
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