資産運用における「ポートフォリオ」 (※金融商品の組み合わせ) は、年齢・世代によって考え方が大きく変わる。それは、リスクの許容度が異なるからだ。この記事では世代別にどのような考え方が適しているのか、一例を紹介する。
年齢とポートフォリオの基本的な考え方
基本的に若いうちはリスク許容度が高く、年を重ねるにつれて低くなる。
若い世代のリスク許容度が高いのは、例えば20代である程度大きな損失を出したとしても、30代、40代になるにつれて労働収入が増えることが期待でき、損失の穴埋めができるからだ。
一方、60歳で会社を定年退職した後で多額の損失を出した場合、残された時間で穴埋めするのは難しいだろう。そのような理由から、歳を重ねるほどリスク許容度が低くなっていく。
投資対象ごとのリスク
では、投資対象によってリスクはどのくらい異なるのだろうか。投資先としてポピュラーな「個別株投資」「インデックス投資」「国債投資」について見ていこう。
●個別株投資のリスク
上記の投資先の中で、最もリスクが高いのは個別の銘柄を購入する「個別株投資」だ。投資信託や国債に比べて値動きが大きく、株を購入した企業の決算内容が振るわない、法令違反行為が判明したなどがあると、1日で株価が20%下落することもある。もし1銘柄に1,000万円投資していて、それが1日で20%下落すれば、1日で200万円を失うことになる。
ただし、個別株でもリスクを下げる方法はある。時価総額が大きい「大型株」は取引が盛んなので値動きが緩やかであり、時価総額が小さめの「小型株」よりもリスクは低いといえる。つまり、大型株を中心に購入していくことでリスクを軽減できる可能性が高まる。
また複数の個別株を保有すれば、1つの銘柄が大きく下落しても資産全体が受けるダメージは小さくなる。この手法は「分散投資」と呼ばれている。
●インデックス投資におけるリスク
「インデックス投資」とは、株価指数連動型の投資信託 (運用会社に資産を預けるタイプの金融商品) を保有するという投資手法のことだ。
株価指数とは、簡単にいえばさまざまな企業の平均株価を指数化したものだ。株価指数に連動する投資信託を保有することで、さまざまな企業に分散投資したのと同じ効果を得られる。
前述のとおり、分散投資によってリスクは軽減する。株価指数の中には500銘柄や2,000銘柄を対象としたものもあり、このような株価指数に連動する投資信託は分散投資効果が大きいため、よりリスクを抑えられる。
●国債投資におけるリスク
国債とは、国が発行する債券のこと。国が元本の償還 (満期にお金を返還すること) と利子の支払いを保証しているため信用度が高く、低リスクの金融商品といえる。日本が発行している国債は「日本国債」、米国が発行している国債は「米国債 (米国国債) 」と呼ばれる。
国の財政が悪化し、元本と利子の全部もしくは一部を支払えなくなるとデフォルト (債務不履行) となり、投資した側が損失を被るが、財政状況が健全な国の国債の安全度は高いといえる。
財政状況が健全な国の国債ほど利回りは小さく、株式投資やインデックス投資に比べるとリターンは小さくなるが、デフォルトしない限り元本が保証されるため、リスクの面では優れた投資先といえるだろう。
国債への投資には、新規に発行される国債 (新発債) を購入する方法と、すでに発行されている国債 (既発債) を購入する方法があり、それぞれ銀行や証券会社で購入可能だ。既発債は、市場での需給に応じて価格が日々変動する。
世代別のポートフォリオの考え方
ここまでで説明したことをまとめると、上記の3つの投資先のリスクの大小関係は以下のようになる。
リスクの大きさ:個別株投資 > インデックス投資 > 国債投資
一方、基本的にリスクが大きい投資商品ほど期待できるリターンも大きくなるため、リターンの大小関係は以下のようになる。
リターンの大きさ:個別株投資 > インデックス投資 > 国債投資
では、世代ごとに、これらの投資先をどう組み合わせればよいのか考えていこう。
●20~30代:個別株投資の比率を高められる
20~30代はリスク許容度が高いため、リターンを積極的に狙う場合は個別株投資の比率を若干高くしてもよいだろう。
ただし、銘柄を選ぶ際は業績や属するセクター (業種やテーマ別に分類されたグループのこと) の将来性なども考慮する必要がある。そのため、投資の経験が浅かったり、銘柄を分析する時間がなかったりする場合はインデックス投資を行うのが無難だろう。
●40代~50代:インデックス投資&個別株投資
40~50代になると、徐々にリスク許容度を低くする必要がある。そのため、「守りの投資」としてインデックス投資をコアに据えて、投資資金の20~30%を「攻めの投資」として個別株に投資するという「コア・サテライト運用」を行う人が増える。
さらにリスクを抑えたい場合は、国債の比率を上げてもよいだろう。
●60代・現役引退後:国債投資の比率を高めに
60代もしくは現役引退後はリスク許容度が低くなるため、国債投資やインデックス投資による資産運用が適している。限りなくリスクを抑えたい場合は、国債投資の比率をできるだけ上げるとよいだろう。
世代が上がるほど「負けないこと」を重視しよう
まとめると、リスクを適切に抑えるためには、世代が上がるにつれて国債投資の比率を上げる戦略が有効ということだ。
世代が上がるにつれて、資産運用では「増やす」よりも「減らさない」のほうが重要になることを念頭に置いて、ポートフォリオを組んでみよう。
(提供:大和ネクスト銀行)
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