外貨預金をしている人やこれから始める人は、「資源国通貨」の知識を持っておくべきだ。その名の通り、資源を多く輸出している国の通貨のことを指し、資源価格の値動きが通貨レートに強く影響するなどの特徴がある。この記事では資源国通貨の基礎知識を解説する。
そもそも「資源国通貨」とは ?
「資源国通貨」は冒頭に説明した通り、資源を多く輸出している国の通貨のことである。ここでいう「資源」とはエネルギー資源や鉱物資源、食糧資源などを指す。
エネルギー資源としては原油や天然ガス、石炭など、鉱物資源としては鉄鉱石や金 (ゴールド) など、食糧資源としては小麦やトウモロコシなどがあり、つまりこれらの資源を産出・生産し、多く輸出している国の通貨が資源国通貨に該当する。
投資の世界では、原油や金、小麦などのことを「コモディティ」 (商品) と呼ぶため、資源国通貨のことを「コモディティ通貨」と呼ぶこともある。代表的な資源国通貨としては、豪ドルやニュージーランドドル、カナダドル、ブラジルレアル、南アフリカランドなどが挙げられる。
資源国通貨の相場に大きな影響を与える要因は ? 資源国通貨の値動きに大きな影響を与える要因のひとつに、“資源価格の変動”がある。例えば原油価格が高騰すると資源国通貨が買われやすく、結果として資源国通貨が通貨高となりやすい。
この相関性を目で見て確かめたい場合は、ある資源の先物価格の推移と資源国通貨のレートの推移をチャートソフトなどで見比べてみてほしい。例えば、豪ドル / 円の為替レートの変動と原油価格の先物価格の値動きを見比べると、多くの時期において高い相関性が確認できる。
▽豪ドル / 円の為替レートと原油先物価格の推移 (2017~2021年)
ちなみにエネルギー資源に関しては、オーストラリアは石油の産出が少なく、石炭の輸出のほうが圧倒的に多いが、それでも原油価格の変動が強く影響しているのは、原油価格と石炭価格は同じエネルギー資源として相関性が高いからだ。
主な資源国と主要輸出資源を一覧にすると、以下のようになる。
▽主な資源国と主要輸出資源
オーストラリア | 鉄鉱石・石炭など |
---|---|
ニュージーランド | 乳製品・肉類など |
カナダ | 原油など |
ブラジル | 鉄鉱石・穀物など |
南アフリカ | 金・プラチナ・パラジウムなど |
主な資源国通貨をまとめて解説
続いて主な資源国通貨である5つの通貨、豪ドル、ニュージーランドドル、ブラジルレアル、カナダドル、南アフリカランドについて説明しておこう。
1. 豪ドル
オーストラリアの主要な輸出資源としては鉄鉱石や石炭が挙げられ、鉄鉱石や石炭の価格の変動のほか、前述の通り、原油価格の変動の影響も受けやすい。
原油価格が上がると豪ドル高になりやすいことから、もし原油価格が今後上がると予想して豪ドルを買い、予想通り原油価格が上昇して豪ドル高が進むと、保有していた豪ドルを売却することで利益を出すことができる。
例えば、1豪ドルが85円の段階で豪ドルを円で購入し、その後、原油価格の高騰により1豪ドル=90円へと豪ドル高 (円から見ると円安) になり、豪ドルを売却して円に換金したとする。その場合、売却手数料や売却益に対する課税などを考慮しないとすれば、1豪ドル当たり5円の利益が出る。つまり、100豪ドルを購入していた場合は500円、1,000豪ドルを投資していた場合は5,000円、1万豪ドルを投資していた場合は5万円、10万豪ドルを投資していた場合は50万円の利益となるということだ。
2. ニュージーランドドル
ニュージーランドは、酪農が盛んな国だ。主な輸出資源としては乳製品や肉類などが挙げられ、ニュージーランドドルは乳製品の価格や肉類の価格の変動の影響を受けやすい。ただし、ニュージーランドドルは豪ドルと似た値動きをするため、原油価格の値動きも無視できない。
3. カナダドル
カナダは、原油や天然ガスなどのエネルギー資源が豊富だ。そのため、原油価格の影響を強く受けやすい。つまり、原油価格が上昇するとカナダドルも上昇、原油価格が下落するとカナダドルも下落しやすいということだ。ただし、カナダドルに関しては米ドルと似た値動きになりやすく、米ドルの為替レートの変動も気に掛けておきたい。
4. ブラジルレアル
ブラジルは、鉄鉱石や穀物の産出・生産が盛んな国である。そのため、鉄鉱石や穀物の国際取引価格の変動を強く受ける。
5. 南アフリカランド
南アフリカは、金やプラチナ、ダイヤモンドなどの産出が盛んで、鉱物資源においては世界有数の輸出国となっている。そのため、南アフリカランドに外貨投資する場合は金やプラチナの価格の変動や今後の見通しに注意するようにしたい。
通貨を選ぶ際には取引量にも注目を
最後に、取引量の多さにも着目して記事を締めくくりたい。通貨は「通貨ペア」で取引される。「米ドル / 円」や「ユーロ / 円」といった具合だ。資源国通貨の中で取引量が多めの通貨ペアとしては、以下のようなものが挙げられる。
・ 豪ドル / 円
・ 豪ドル / 米ドル
・ ニュージーランドドル / 円
・ カナダドル / 円
豪ドルやニュージーランドドル、カナダドルなどは円とのペアでもよく取引されているが、こうした通貨と比べると、ブラジルレアルや南アフリカランドなどの取引量は少ない。
一般的に取引量が少ないと、ボラティリティ (価格の変動率) が高くなる傾向がある。こうしたことを念頭に置きつつ、どの通貨で外貨預金をするかと考えるようにしたいところだ。
(提供:大和ネクスト銀行)
【関連記事 大和ネクスト銀行】
・大切なのは「お金より時間」? お金の管理を「時間」に応用しよう
・個人投資家の強みを活かす ! 機関投資家が参入しづらい銘柄の特徴
・知っているとお得な「株主優待知識」をおさらい ! 全4選
・落語で学ぶ「お金にまつわる」3つの教訓
・富裕層が米ドルを選ぶ理由「殖やす」以上に大切なコト