「円高・円安」という言葉はニュースなどでよく聞くが、その仕組みを十分理解している人はどのくらいいるだろうか。外貨そのものや外貨建ての金融商品を取引する投資家にとって、為替の仕組みは必須とも言える知識だ。

そこで本記事では、円高・円安になるきっかけや仕組み、それぞれの状態のときに得をする企業・人などをまとめた。

円高・円安と通貨の価値についておさらい

今さら聞けない ! 円高で得をするのは ? 円安で得をするのは ?
(画像=tamayura39 / stock.adobe.com)

一般的な商品・サービスと同じように、為替相場 (為替レート) も需要と供給のバランスによって変化する。実際の為替相場は複雑な値動きをしているが、「日本円」だけに着目するとその動きは次の2つに分けられる。

  • 円高:外国通貨に比べて、日本円の価値が高くなること
  • 円安:外国通貨に比べて、日本円の価値が安くなること

例えば、ドルに比べて日本円の価値が上がった状態は「円高ドル安」、逆に価値が下がった状態は「円安ドル高」と呼ばれている。

円高で得をするのは ?

為替相場の変動は、世の中の企業や投資家などにも大きな影響を及ぼす。具体的にどのような影響が生じるのか、まずは円高で得をする企業・人から解説していこう。

●円高で得をする企業

為替相場が円高に振れると、海外の製品や原材料、エネルギー資源などを安く購入できる。したがって、以下のように輸入をする機会が多い企業は、円高の恩恵を受ける可能性が高い。

○円高で得をする企業の一例
・輸入業者 (円払いをしている業者)
・輸入品の販売業者 (家具、食品など)
・エネルギー関連の企業 (石油精製企業、電力会社など)

日本円を基準とした場合、海外のホテル代やお土産代、移動代などが安くなる点も、円高の影響として押さえておきたいポイントだ。つまり、海外旅行に興味をもつ層が増えるため、航空・観光関連の企業も得をする可能性がある。

●円高で得をする人

円高で得をする人についても、基本的な考え方は同じだ。海外の商品・サービスを安く購入できるため、海外旅行者や個人輸入をしている人などは円高の恩恵を受ける。

また、円高による影響は、外貨建ての金融商品を保有している投資家にも及ぶ。例えば、1ドル100円から80円に下がると、ドル建ての金融商品 (米国株や米国ETFなど) は相対的に価値が下がるため、売りポジション (※) を保有している投資家の利益が膨らむ。

(※) 金融商品を先に売却し、後から買い戻すポジションのこと。

円安で得をするのは ?

次は、円安の恩恵を受ける企業や人について解説していこう。

●円安で得をする企業

円安になると日本製品が高く売れるため、頻繁に輸出をする企業は得をする可能性が高い。具体的な業種としては、以下のものが挙げられる。

○円安で得をする企業の一例
・自動車メーカー
・電機メーカー
・電子部品メーカー
(※いずれも輸出主導型の企業)

中でも海外に大きなマーケットをもつ自動車メーカーは、円安方向に1円振れただけで営業利益が数百億円増えることもある。輸出に頼っている割合が高いほど、円安による恩恵も大きい。

ただし、海外の部品や原材料を多く使用しているメーカーは、円安になると輸入コストが増大するため、輸出をしていても得をするとは限らない。

●円安で得をする人

円安で得をする人としては、まず外国人観光客が挙げられる。

外国人の立場からすると、円安は自国通貨の価値が上昇することにつながる。つまり、日本の商品やサービスを安く購入できるため、一般的には円安に振れるほど外国人観光客は増えていく。

また、外貨建ての金融商品を買いポジションで保有している投資家も、円安による恩恵を受ける (※円高とは逆の仕組み) 。もし円安方向に大きく振れれば、為替差益だけで多くの利益が発生するため、金融商品自体の価値が下落しても利益を得られる可能性があるだろう。

円高・円安は何がきっかけで起こる ? 主な要因をチェック

為替相場は需給のバランスによって変動するが、細かく見るとその要因にはさまざまなものがある。

円高の主な要因円安の主な要因
・輸出の好調
・国内の財政赤字の縮小
・日本円の金利の引き上げ
・国内における政情の安定化
・輸出の不調
・国内の財政赤字の拡大
・日本円の金利の引き下げ
・国内の政情不安

基本的には、多くの海外投資家が日本円を購入する状況になれば、円高になる可能性が高い。一方で、日本経済の悪化につながる事態 (財政赤字の拡大や政情不安など) が発生すると、信用性の低下から日本円を手放す海外投資家が増えるため、為替相場は円安方向へと振れやすくなる。

ただし、実際の為替相場では多くの要因が絡み合い、ひとつの要因だけではトレンド (相場の方向性) が転換しない場合もある。もちろん、海外の経済動向や政情なども影響するため、為替相場を予測する際には世界中のさまざまな情報に目を通さなくてはならない。

為替の仕組みを理解し、興味をもつところから始めよう

円高・円安の仕組みを理解すると、テレビやネットで配信されている為替ニュースに興味を持てるようになる。多くのニュースに目を通せば、為替相場の特性や変動要因、外貨と交換すべきタイミングなどを徐々に理解できるはずだ。

外貨投資を成功させるには、普段からさまざまな情報をチェックする必要があるので、まずは為替の仕組みを理解して興味をもつところから始めてみよう。

(提供:大和ネクスト銀行


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