本記事は、三浦孝偉氏の著書『続けられる人になるための37の「やめる」』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

他の人よりも高い立方体の上に立つ木の姿
(画像=Smile Studio AP/stock.adobe.com)

完全勝利、全勝優勝を狙うのをやめる

完璧主義と近い思考ですが、クオリティの低さ以上に、失敗や挫折が怖くてチャレンジできない人も本当に多いです。

僕だって、失敗や挫折なんてできれば避けたいです。すべてが順風満帆にいってほしいと願いますが、間違いなくそんなことはあり得ません。

失敗や挫折なくして10年・20年・30年生きられる人なんて存在しません。

と、頭でわかってはいても、それは本業だけで十分という方もいらっしゃいます。

つまり、仕事で怒られたり失敗したりするのはしょうがない。

だけど、副業でお金を稼いだり、英語を上達させてキャリアアップを狙ったり、ダイエットを成功させて異性にモテるようになりたい……と、自ら願い挑戦することに関しては、なぜかたった1回の失敗や挫折で諦める人ばかりです。

失敗や挫折なんて日常茶飯事だと思うような意識改革をぜひしてもらいたい!ということで、いつもこの事例を紹介します。

1つは、誰もが知っているユニクロ柳井正さんの『一勝九敗』(新潮社、2003年)という書籍の存在。さすがに、1勝9敗は僕としてはつらいですが、あの柳井さんですらも失敗や挫折を繰り返しているという事実があります。

また、お笑い芸人コンビ平成ノブシコブシの徳井健太さんが、極楽とんぼの加藤浩次さんにも、この柳井さんの1勝9敗に近いエピソードがあるとテレビ番組で話していました。その内容とは、次のようなものです。

加藤浩次さんがあるラジオ番組をやめる直前に、こう言ったそうです。

「どうしても3勝7敗になっちまうんだよなぁ」と。

徳井さんがすぐに、「どういうことですか?」と聞いたところ、
「やっぱ、10勝0敗を目指したいだろ? どんなテレビに出ても、今日勝ったって思いたいよな。でもさ、4勝6敗ぐらいがちょうどいいよ。全力で勝ちに行った4勝っていうのは、全勝より意味があんのよ」。

「だから俺は、4勝でいいなって思う。でも、芸歴30年になってもまだ、4勝6敗じゃなくて、3勝7敗になっちまうんだよなぁ」と。

僕がひねくれているのかもしれませんが、著名人の成功体験より、失敗談の方がエネルギーをもらえます。

「この人もこんなに大変だったんだ……」と。

継続ができない人の多くは、成功者の「いいところ」しか見ていません。逆に継続に成功している人は、そういった失敗談をヒントに「なんだ。あの人だってこんなに失敗している。俺(私)の失敗なんて可愛いもん」と、いろんな人からエネルギーをもらっている気がします。

失敗・挫折を繰り返して、大器晩成の成功を成し遂げた代表者はなんといっても、ケンタッキー・フライドチキン(以下KFC)の創設者、カーネル・サンダースでしょう。

サンダースがKFCを立ち上げたのは「65歳」のときです。まずその年齢に驚きますが、さらに驚くことに、なんとそのときの所持金は「0」円。

彼は30歳になるまで、とにかく1つの定職につけないフラフラ男だったそうです。

そんな彼の人生の転機になったのは、ガソリンスタンド経営を始めたとき。

彼は、ガソリンスタンドに来るお客様からよくこんな質問をいただいたそうです。
「近くに美味しいレストランはない?」

あまりレストランがない中でいくつか候補を挙げるも、お客様から
「不味いレストランばっかりだなこの辺りは」。
と、なぜかサンダースがクレームを言われる始末。そこで、サンダースはこう考えます。
「自分で作っちゃおう」。

そして、ガソリンスタンドの隣の空き地を利用して「サンダース・カフェ」OPEN。

サンダース40歳、初の飲食業スタートの瞬間でした。

もともと料理は得意な方だったというサンダースですが、飲食業をやるつもりはなかったそうです。後年にサンダースはこう語っています。

「当時はやりたいことがなかった。ただ、目の前のやることをすべてやる!という精神だけで働いていた。その結果、勝手に未来が切り拓かれた」。

その後も神様は彼に試練を与え続けます。しかし、彼はそのたびに不屈の精神で立ち向かいます。

(当時の彼の想い)
私に「引退」という言葉はいらない。たとえどんな困難が待っていようとも、私は諦めない。今までがそうであったように、これからも何回でも立ち上がる。命ある限り私は働き続ける。

65歳になっても試練は続き、すべてを失って彼が最初にやったこと。

それは、サンダース・カフェで人気だったチキンのレシピを、アメリカ中のレストランを駆けずり回って売り込むことでした。

1,009軒断られるもサンダースは諦めなかったそうです。

そこからも数々の困難を乗り越え、今のKFCに至ります。

失敗・挫折はできるだけしたくない。だけど、避けては通れない。

そういったときは、成功者の失敗談が一番薬になると僕は考えます。

また、一度継続にチャレンジして挫折し、その後、出戻りで僕と一緒に頑張って成功した人は多いです。

完全勝利なんて無理です。どんどん失敗していきましょう。

続けられる人になるための37の「やめる」
三浦孝偉(みうら・こうい)
株式会社KOIコミュニケーションズ代表取締役
博報堂に13年間勤務した後、独立。法人コンサル+副業・起業アドバイザー。 情報発信ビジネスを主軸にし、メールマガジン2万人の読者に毎日10年間メルマガを配信する。 YouTube登録者数は19,000人。 多くの方に副業・起業支援を行う中で、結果を出すために大切なのは、学歴や地位などではなく、何より地道に真面目にコツコツ取り組むことだと実感。 「継続こそ最強」と考え、継続研究とその指導に力を入れている。

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