退職後、第二の人生を豊かに過ごすため、投資で収入を得たいと考える人は少なくないだろう。ここでは数ある投資手法の中で、退職後に「デイトレード」を始める選択肢がありなのか、3つの視点から探っていきたい。

デイトレード、スキャルピングとは ?

「退職後にデイトレード」はありなのか ? 3つの視点から考える
(画像=polkadot / stock.adobe.com)

デイトレード:1日のうちに取引を完結

デイトレードとは、1日のうちに取引を完結させる投資スタイルを指す。例えば、ある日の午前中にA社の株式を購入し、その日のマーケットが閉まるまでに購入分全部を売却するような投資スタイルをイメージするとわかりやすいだろう。

購入時の価格が1株100円で、その日に1株110円まで上昇していれば、売却することで1株あたり10円の利益を上げられる。購入株数が100株であれば利益は1,000円、1,000株であれば利益は1万円だ。売買に伴い生じた手数料分と税金を差し引いた金額が手元に残る。

スキャルピング:数秒から数分で取引が完結

デイトレードの中でも、取引を完結するまでの時間が数秒から数分とごく短い手法をスキャルピングという。上記の例でいえば、ある日の午前中にA社の株式を1株100円で購入し、数分後、1株102円に上昇した段階ですぐに売却するという具合だ。

スキャルピングは超短期取引であるがゆえに、1回当たりの利益は少ない。それにもかかわらず、この投資手法が存在するのは、1回当たりの損失を少額に抑えられるからだ。

A社株を1株100円で1,000株購入したときに、110円まで上昇すれば利益は1万円だが、90円に下落すれば損失も1万円だ。98円の段階で売却すれば損失は2,000円で済ませられる。

スキャルピングはこのように、損失を抑えながら利益を少しずつ積み上げていく手法だ。英語の「scalp」 (頭皮をはぐ) に由来し、薄皮を1枚ずつはいでいくように、地道だが着実に利益を積み重ねていくことを目指す。

時間的にデイトレードやスキャルピングは可能 ?

人によっては、デイトレードやスキャルピングは、取引時間中ずっとモニターを注視しているような時間的制約が強いイメージを持つかもしれない。しかし、デイトレードはその日のうちに、スキャルピングは数秒から数分で取引を終える手法であるため、むしろ時間をコントロールしやすいという見方もできる。

実際、デイトレードやスキャルピングでは、1日のうちの午前中のみトレードを行うこともできれば、まったくトレードをしない日があってもよい。長期の旅行など、マーケットから離れる際に手持ちの株式などを解消しておけば、旅行中に相場の動向を気にしなくて済む。

一方、ある一定期間、購入株式などを持ち続ける場合は、マーケットの動向を注視する必要がある。決算発表や金融政策によってマーケットは急変することがあり、目を離した隙に価格が急落すれば、思わぬ損失を被る恐れもある。その点、デイトレードやスキャルピングは取引時間が短いため、日夜、マーケットの動向に思いわずらう必要はない。

これらから退職後、時間的にデイトレードやスキャルピングを行うことは十分に可能であると言えそうだ。

リスク的にデイトレードやスキャルピングは可能 ?

リスク面を考えても、デイトレードやスキャルピングは投資の初心者が始めやすい手法だ。

一般に、投資においてポジションをとっている時間が長ければ長いほど、価格変動幅が大きくなる可能性は高い。それは利益が大きくなる可能性がある反面、損失が膨らむリスクと一体だ。

デイトレード、中でもスキャルピングは超短期売買であり、数秒から数分で価格が大幅に動く可能性は低い。最初は投資額を抑えて、トレードに慣れていくことを優先した方が安全だ。

その際に重要なのは、損切りをきちんと行うことだ。損切りとは、購入時から価格が下落し、含み損が発生している銘柄について損失を確定させることだ。

損失の確定は人間の心理的に難しい作業とされるが、含み損を放っておくのは危険だ。含み損がさらに大きくなり、資産を大幅に減らす事態につながりかねないからだ。どの水準で損切りをするのか、事前に決めておくとよいだろう。

経験がないのにデイトレードやスキャルピングは可能 ?

個人投資家の中には、トレードで年間億単位の収入を得ている人もいる。そうした投資の熟練者も、最初は誰もが初心者だった。投資を始めるのに遅すぎるということはない。

デイトレードやスキャルピングは、退職後に時間ができ、一定の資産を有する人が始める価値のある投資手法といえる。

一度に投資する額を抑え、損切りのラインを事前に決めておくなどリスク管理を適切に行えば、大損する事態は回避できる。損失の額を極力抑えつつ利益を伸ばせるようになっていけば、トータルで利益を上げることは可能だ。

そうして経験を積んだ上で、投資額を少しずつ増やしていけば、手持ちの資産は増えていきやすいだろう。

第二の人生を豊かに デイトレードは一考の価値あり

デイトレードやスキャルピングは常にマーケットを注視しなければならない投資手法ではなく、自分の空いた時間でトレードでき、トレードしない日があっても何の問題もない。リスク面でもコントロールしやすく、まずは少額から始めて徐々に慣れてゆき、利益を上げるコツをつかむとよいだろう。第二の人生を豊かにするため、一考の価値はあるのではないだろうか。

(提供:大和ネクスト銀行


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