主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年3月27日9時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼24日(金)の為替相場
(1):本邦CPI 伸びが鈍化
(2):欧州経済 サービス業がけん引
(3):英PMI 予想を下回る
(4):金融不安再燃 ドル円129円台へ
(5):セントルイス連銀総裁「インフレは依然として高すぎる」
▼24日(金)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:当面は不安定な動き継続/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
24日(金)の為替相場
期間:24日(金)午前6時10分~25日(土)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):本邦CPI 伸びが鈍化
日本2月消費者物価指数(CPI、除生鮮食)は前年比+3.1%と予想に一致し前月(+4.2%)から伸びが鈍化。ただ、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIは前年比+3.5%に伸びが加速した(予想+3.4%、前月+3.2%)。
(2):欧州経済 サービス業がけん引
独3月PMI・速報値は製造業が44.4(予想47.0)、サービス業が53.9(予想51.0)であった。その後に発表されたユーロ圏3月PMI・速報値も製造業47.1(予想49.0)、サービス業55.6(予想52.5)となり、ユーロ圏の景況感はサービス業中心に回復していることが浮き彫りになった。
(3):英PMI 予想を下回る
英3月PMI・速報値は製造業が48.0、サービス業が52.8といずれも予想(49.7、53.0)を下回った。一方、これより前に発表された英2月小売売上高は前月比+1.2%と予想(+0.2%)を大きく上回った。
(4):金融不安再燃 ドル円129円台へ
独金融大手ドイツ銀行が2028年償還の一部の社債(Tier2劣後債)を早期償還すると発表。予想外の早期償還を受けて同行の株価が急落するなど、市場に疑心暗鬼が広がった。また「米司法省はウクライナ侵攻に伴うロシアへの制裁を巡り、スイス金融大手クレディ・スイスとUBSを調査している」と報じられた。欧州の金融システム不安が改めて意識されリスクオフの円買いが優勢となった。ユーロ/円主導でクロス円が下落するとドル/円もその後、2月3日以来の安値となる129.65円前後まで下値を拡大した。
(5):セントルイス連銀総裁「インフレは依然として高すぎる」
米3月PMI・速報値は製造業が49.3、サービス業が53.8(予想47.0、50.3)といずれも予想を上回った。また、セントルイス連銀のブラード総裁は「インフレは依然として高すぎる」として「今年のFF金利予想を5.625%に引き上げた」ことを明らかにした。「80%の確率で金融ストレスは緩和されると予想」などと発言したこともあってドル/円は130円台後半へと持ち直した。これより前に発表された米2月耐久財受注は前月比-1.0%と予想(+0.2%)を下回る落ち込みとなった。
24日(金)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:当面は不安定な動き継続
24日のドル/円は一時130円台を割り込んで下落。金融システム不安を背景に欧州銀行株が軒並み値下がりする中、節目の130.00円を下抜けると129.65円前後まで下げ足を速めた。ただ、リスク回避の動きが強まる中でドルが買われた(円に次いで)影響から下げ渋ると、ブラード米セントルイス連銀総裁のタカ派発言を受けて130円台後半へと持ち直した。同業他社に吸収合併されたスイス金融大手クレディ・スイスのAT1債(永久劣後債)が無価値化されたことで、AT1債の発行が比較的多いユーロ圏の大手銀行にも経営不安が飛び火。そうした中、世界的な景気後退(リセッション)を巡る懸念も高まっていると見られ、安全資産とされる米国債が買われ(金利は低下)ることで日米金利差は縮小が続いている。ドル/円は本日も上値の重い展開となりそうだ。
もっとも、ブラード米セントルイス連銀総裁が24日に指摘したように、金融ストレスによる下振れ(利下げ)シナリオは、現時点で米連邦準備制度理事会(FRB)にとってメインシナリオではないことは明らかだろう。行き過ぎた早期利下げ観測が後退すればドル/円の買い戻しが強まる可能性もある。当面は不安定な値動きが継続しよう。
注目の経済指標:独IFO企業景況感指数
注目のイベント:ベイリーBOE総裁発言
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1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
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