本記事は、小澤美佳氏の著書『テキストコミュニケーション力の基本』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。
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シンプルに、わかりやすく
用件を伝える
相手に負担なく正しく内容が伝わるためには、だらだらと書き連ねないようにしましょう。改行したり、一文を端的にしたりするだけでも、伝わり方は大きく変わります。
チャットで次のように報告が送られてきたら、どのような印象を受けるでしょうか?
例 企画書の修正について報告するとき(1)
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用件や要点がわからないまま、だらだらと書き連ねられています。読む前から、読む気がなくなった方も多いのではないでしょうか。
書いてある内容は同じですが、箇条書きにしたり、改行したり、一文を少し短くしたりすることで、簡潔で見やすくなります。
例 企画書の修正について報告するとき(2)
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さらに、メールタイトルのように、チャットの文頭にも【相談】、【依頼:○○の件】などの見出しを入れ、内容に番号を振るなどの視覚的に見やすい工夫をすることで、ひと目で用件がわかり、内容も頭に入りやすくなります。
例 企画書の修正について報告するとき(3)
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結論から先に書く
ビジネスのコミュニケーションでは、結論は文章の最初に示しましょう。相手がメッセージを読みとる負担を、少なくすることができます。忙しい相手に要点を早く正確に伝えましょう。
たとえば、相手に打ち合わせの依頼をするときのチャットの書き方について考えてみましょう。
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前置きが長く、結局相手に何を伝えたいのか、最後まで読まなければわかりません。
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結論から端的に話すことで、要点がわかりやすくなります。
とくに相手に何かアクションを求める場合は、「相手が一番知りたいこと」を意識しながら、冒頭の一文で要点を伝えるようにしましょう。
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背景や根拠を共有する
結論とともに、そこに至った背景や根拠もあわせて明示しましょう。必要な情報を一度に届けることで、相手の「なぜ?」が解消されます。
次の例は、背景の共有なしに結論だけを伝えた場合です。
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Aさんは、A案がよいと判断した背景を省いてしまいました。Bさんは、判断理由を聞くためだけにわざわざレスポンスをしなければならず、やりとりをする回数が必然的に増えてしまいます。
リアルでこのやりとりをするのは簡単で、時間もかかりません。しかし、テキストでのやりとりが増えると、結果的にお互いの負荷が増えることにつながります。
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背景や根拠が相手の判断材料にもなるため、相手の出す結論が変わることもあります。
デフォルメされた例ですが、AさんがBさんを納得させる根拠を示せたからこそ、BさんはAさんの提案をよしとしました。根拠がなかったら、Bさんは最初にいいと思っていたB案を推していたはずです。
少ないターンでやりとりできるに越したことはありません。1回のメッセージでなるべく簡潔に、結論に至った背景や根拠まで盛り込むようにしましょう。
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2018年、中米ベリーズへ移住し、現地で観光業の会社を起業。2019年、ニットへ入社し、営業・人事を経験後、広報部署の立ち上げ。メディアアプローチ、SNS、各機関からの表彰などの成果を実現しながら、インナーコミュニケーションの設計・運営にも携わる。
メンバー500名がリモートワークで働くニットでは「働く」を通じて幸せになれる組織運営を目指しており、本書のテーマである「テキストでのコミュニケーション力」に定評がある。
現在、広報ノウハウを発信する傍ら、オンラインでのセミナー講師やイベントのファシリテーターなども務める。Twitter(@mica823)のフォロワー数は3.7万人(2022年12月7日 現在)。※画像をクリックするとAmazonに飛びます