虎ノ門を国際金融都市へ

5月1日、東京都の区部を含む東京圏が「東京発グローバル・イノベーション特区」として国家戦略特区に指定された。同月16日、大和総研、日本経済研究センター、みずほ総合研究所の3つのシンクタンクは、共同で「東京金融シティ構想の実現に向けて」という提言を発表した。それに続き23日東京都では、東京国際金融センター構想の実現を目指し、「東京国際金融センター検討タスクフォース」を設置することを発表した。

6月12日には、金融庁の有識者会議で「金融・資本市場活性化に向けて重点的に取り組むべき事項(提言)」として、国際金融センター構想についての提言がなされている。さらに、24日、政府は「日本再興戦略」改訂2014を閣議決定し、国際金融センターとしての地位を確立し、アジアナンバーワンの金融・資本市場の構築を目指すとしている。

5月と6月だけで、これだけの機関が一斉に声を上げているところを見ると、政府の力の入れようも相当なものであることわかる。東京をニューヨークやロンドンのような国際金融センターにしたいということであるが、この話は過去何度も出ては消えていった話である。それだけに、簡単に実現できる話ではない。

しかし、今回は、(1)アベノミクスという政治の力を利用できること、(2)東京オリンピックという世界から注目を浴びるイベントが控えていること、(3)香港や上海が国際金融センターとして力をつけてきている中、アジアの中で東京が埋没しかねない状況であることから、何とかして成功させたいという想いが相当強いこと、と状況が異なる。


なぜ虎ノ門なのか

東京を国際金融センターにするためには、多くの外国人が来たいと思うような、魅力的な街にしていかなければならない。外資系金融機関は日本企業以上に住所や建物にこだわるため、例えば、ゴールドマンサックスは六本木ヒルズ、シティグループは新丸の内ビルなど、新しい高層ビルに入居したがる傾向がある。

ところが、都心部には新しい高層ビルを建てるような土地はあまりなく、比較的高層ビルが少ない虎ノ門エリアが注目されるようになった。そこで、虎ノ門エリアの再開発が始まったという背景がある。虎ノ門は、官庁街である霞が関、金融街である大手町にも近く、一方で外国人に人気のある六本木エリアにも近いという特徴がある。


1600兆円の個人金融資産がかぎとなる

日本には1600兆円とも言われる個人金融資産があるが、預金や債券など安全な資産に極端に偏っている。間接金融として、この資金を銀行がうまく活用できれば何ら問題はないのであるが、日本の銀行は不動産を担保に融資するというスタイルから脱却できず、金融緩和しても資金が市場に流れないという不健全な状態にあるため、何とかしてこの膨大な資金を株式等に向けさせる必要がある。

ここで、東京が国際金融センターになることができれば、これまで以上に外資系金融機関が日本の企業に積極的に投資するようになり、その競争のあおりを受けて日本の金融機関も動かざるを得なくなる。つまり、お金の流れが活発になるということだけでなく、日本の金融機関を刺激することにより融資のあり方を考え直すという副次的な効果も期待できる。


外資系受け入れのために日本に求められること

外資系金融機関を誘致するため、規制緩和、税制優遇、外国語対応、など検討がなされているが、金融庁や東京都の検討メンバーに外資系金融機関のメンバーがいないのが気になるところである。日本人だけで議論するのではなく、まずは外資系金融機関(特に外国人)の意見を聞き、どのようにすれば日本に来たいのか真摯に聞くことからはじめるべきではないだろうか。

また日本の金融機関においては、外資系金融機関が参入してくることを警戒するのではなく、まずは世界を受け入れ、より大きいビジネスに発展させていく気概を持って欲しい。

(ZUU online)

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