スポーツクラブ大手4社の2023年3月期決算はコロナ禍の落ち着きを受け、売り上げを10%前後伸ばした。一方で、本業のもうけを示す営業利益は明暗が分かれた。エネルギー価格の高騰による光熱費の上昇などで施設運営コストがかさむ中、コナミスポーツ、セントラルスポーツが増益を確保したのに対し、ルネサンスは減益、ティップネスは赤字圏にとどまった。

セントラル、利益面でコナミを圧倒

2023年3月期はコロナ禍による行動制限の緩和などで各社とも年間を通じて全店舗で通常営業を行えた。これに伴い、施設利用や入会者数が回復に向かい、売上高を押し上げた。

業界トップを争うコナミスポーツ(コナミグループのスポーツ事業部門)とセントラルスポーツはそろって2年連続の増収・営業増益を達成した。

売上高はコナミが8.4%増の455億円、セントラルが8.1%増の436億円とほぼ拮抗するが、営業利益についてはセントラル18億5000万円、コナミ2億円と大きな開きがある。国際会計基準を採用するコナミの場合、減損損失や閉店コストなどのその他費用2億円を営業損益に計上しているため、単純比較はできないものの、収支構造の改善ピッチの遅れは否めない。

業界3位のルネサンスは売上高9.8%増の407億円で、3年ぶりに400億円台に戻した。しかし、光熱費の上昇などで経費支出が想定を上回り、営業利益は25.5%減の6億8000万円だった。また、既存店舗を中心に約6億円の減損処理を実施した結果、11億4000万円の最終赤字に転落した。2021年4月に子会社化したアウトドアフィットネスのBEACH TOWN(横浜市)の「のれん」の再評価に伴う8000万円の減損損失も含まれる。

ティップネス、営業赤字5分の1に縮小

ティップネス(日本テレビホールディングス傘下)は売上高11.2%増の260億円で、2年連続で2ケタの伸びを確保した。営業損益も5億8000万円の赤字ながら、赤字幅は2022年3月期の5分の1に縮小した。2024年3月期は4年ぶりの黒字復帰を目指す。

回復途上にある大手各社の業績だが、コロナの影響が本格化する前の2020年3月期と売上高を比べると、コナミが22%、セントラルが18%、ルネサンスが9.5%、ティップネスが27%それぞれ下回る。

コナミはこの3年で直営店舗を30カ所近く閉店したことが響いている。ティップネスの場合、直営167店舗のうち、24時間ジム「FASTGYM24」が110店舗を占め、マシンジム・スタジオ・プールを備えた総合型を主軸とする上位3社との事業構造の違いも作用しているとみられる。