近年注目を浴びている「WPP理論」を理解できているだろうか。人生100年時代といわれる日本において、非常に重要な「年金活用」に関する考え方だ。

アルファベット混じりで小難しく感じるかもしれないが、中身は至ってシンプル。これを機に、WPP実践のポイントを習得しよう。

「WPP理論」とは ?

近年注目される「WPP理論」とは ? 安心して長生きする方法を習得しよう
(画像=sh240 / stock.adobe.com)

まずは「WPP」の言葉の意味を解説する。

「W」は何を意味する ?

「W」「P」「P」はそれぞれ意味を持つ。「W」は「長く働く (Work Longer) 」を意味する。「定年=60歳」という時代が続いたが、近年は65歳まで働くことがスタンダードになりつつある。

さらに昨年4月からは、70歳までの雇用が企業の努力義務となり、おそらく10年後は、65歳では元気に働いて、リタイアを考えるのは70歳もしくはそれ以上という時代が到来するだろう。「働けるうちはできるだけ長く働く」ということが、WPPの1つ目のキーワードだ。

1つ目の「P」は何を意味する ?

1つ目のPは「私的年金 (Private Pensions) 」を意味する。具体的には、企業型DC (企業型確定拠出年金) やiDeCo (個人型確定拠出年金) などを指す。

このような確定拠出年金の受取開始時期は原則60~75歳で、一時金または年金として受給できる。受取開始時期を遅らせても、受給額は変わらない。

2つ目の「P」は何を意味する ?

2つ目のPは、国民年金や厚生年金といった「公的年金 (Public Pensions) 」を意味する。

これまでは受給開始時期を60~70歳で選択できたが、2022年4月から60~75歳に変更された。ここで押さえておきたいのは、公的年金は、受給開始時期を遅らせれば遅らせるほど、受給額が増えることだ。

また、その増額率は一生変わらないため、長生きするだけ旨味が増える。この仕組みを活用しない手はない。

WPPは現代の新・年金プラン

つまり、「WPP理論」は「長く働く (W) 」+「私的年金 (P) を活用する」ことで、「公的年金 (P) の受給開始年齢を繰り下げて、受給額を増やす」というマネープランということだ。

かつては、60歳で定年を迎え、私的年金+公的年金で生活するのが一般的だったが、平均寿命が伸びている現代において、それは現実的ではなくなりつつある。

その中で登場したWPP理論は現代の実態に即した新しいマネープランであり、私たちが安心して長く生きられる暮らしを実現するものといえる。

そもそも繰り下げ受給はどれくらい増額する ?

では、年金を繰り下げ受給すると、具体的にどのくらい年間の受給額が増えるのだろうか。日本年金機構によれば、増額率は以下のように計算される。

増額率 (最大84%※) = 0.7%×65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数

※昭和27年4月1日以前生まれの人 (または平成29年3月31日以前に老齢基礎 (厚生) 年金を受け取る権利が発生している人) は、繰下げの上限年齢が70歳 (権利が発生してから5年後) までとなるため、増額率は最大で42%

例えば、本来の年金受給額が180万円の人が、受給開始時期を65歳の受給権発生時点から75歳まで10年 (120ヶ月) 繰り下げするケースで考えてみよう。この場合の増額率は「0.7%×120ヶ月」で84%となる。

つまり 増額分は「180万円×84 %」で151万2,000円となり、本来の年金受給額180万円にこの金額が加算され、75歳からの年間の受給額は331万2,000円となる。

繰り下げ受給した場合の66歳から75歳までの増額率

受給開始年齢繰り下げによる増額率
66歳8.4%
67歳16.8%
68歳25.2%
69歳33.6%
70歳42.00%
71歳50.40%
72歳58.80%
73歳67.2%
74歳75.6%
75歳84.0%

75歳まで受給を遅らせれば、65歳時点と比べて年間の受給額は84%も増える。それを生涯受け取れるとなれば、安心度は高まるだろう。ただしここでポイントとなるのは、「遅らせている期間の生活資金をどのように賄うのか」だ。

WPP理論を実践するためのポイント

そこで立ち返るべきは「WPP理論」である。まずはWPPのWの「働けるだけ長く働く」という考え方を実践したい。そのためには、65歳以降も会社から必要とされるだけのビジネススキルを有していなければならない。

もっといえば、会社に再雇用してもらうという選択肢だけでなく、副業で今のうちから収入源を増やすことや、積極的な資産運用なども考えておきたい。

2つ目の「P」をどう確保するか

2つ目のPである「私的年金」には、個人型確定拠出年金 (iDeCo) や個人年金の他に、企業型確定拠出年金や確定給付企業年金といった会社の企業年金制度などもある。「5年有期年金」「10年有期年金」のような給付を受けられるなら、ぜひ取り入れたい。

WPPを駆使して、「安心して長生き」しよう

WPPを駆使すれば、「定年退職後、再雇用で69歳まで働いて収入を得る (W) 」「70~74歳までは確定拠出年金で生活する (P) 」「75歳から公的年金の受給を開始して、増額した年金を一生受け取り続ける (P) 」というライフプランを設計できる。

今のうちに、WPPを実践した具体的なマネープランを立て、定年退職後の生活の安心度を高めてみてはどうだろうか。

(提供:大和ネクスト銀行


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