M&Aで事業の多角化を実現
ヤマエは食と住を中心にM&Aを実施する方針を掲げており、LUMBER ONEの子会社化では、住の分野での案件が実現した。次は食となるのか、同じく住となるのか。どのようなM&Aを繰り出すのか注目されるところだが、2022年に適時開示した主要案件はいずれも食の分野だった。
2022年5月に子会社化した精米卸の福岡農産(福岡県川崎町)は九州エリアを中心に事業を展開しており、2021年5月期の売上高は17億4100万円で、経常利益は200万円だった。
2022年8月に子会社化した日本ピザハット・コーポレーション(横浜市)は、宅配ピザ「ピザハット」の国内フランチャイザー(加盟店本部)として約500店舗を展開しており、2022年3月期の売上高は209億8000万円で、経常利益は13億5300万円だった。
ヤマエは企業向けの卸売りがメインだが、ビザハットをグループ化することで、消費者向けのフードサービス領域への本格進出となった。まさにM&Aによる事業の多角化を実現した案件といえる。
両社は2022年の実績で、売上高の一部は2023年3月期の売り上げに計上されているが、2024年3月期は両社の1年分の全売上高が加わることになるため、2026年3月期に計画している目標数字に少なからず寄与することなる。
3期連増の増収増益に
では足元の業績はどうか。ヤマエの2023年3月期は売上高5879億8200万円で、前年度より16.7%増えた。
加工食品関連で、物流費、営業費、配送費、人件費などの削減に取り組むとともに価格改定を進めたほか、ピザハットの新規出店やデジタルを中心とした広告の強化、メニューの拡充などに取り組んだ。
さらに小麦粉、砂糖、食油、トウモロコシ、大豆などが大幅な値上げとなったほか、住宅関連でも販売価格の適正化などに取り組んだ結果、2ケタの増収となった。
経常利益は121億5600万円で、こちらは前年度比54.0%の大幅増益となった。増収効果に加え、業務の見直しや効率化に取り組んだ結果で、過去最高を更新した。ヤマエグループホールディングスとなった初年度の2022年3月期の増収増益に続き2年連続の増収増益だ。
2026年3月期を最終年とする3カ年計画の初年度となる2024年3月期は売上高6500億円、経常利益140億円を予想する。10.5%増収、15.2%の経常増益で、実現すれば3年連続の増収増益となる。
2024年3月期が予想通りに着地しても、2026年3月期までの残り2年間で売上高は700億円、経常利益は40億円の上積みが必要となる。ここはやはりM&Aの出番となりそうだ。
文:M&A Online