ヤマエグループホールディングス<7130>は、2024年3月期から2026年3月期までの3年間に、それまでの3年間(2021年3月期-2023年3月期)のおよそ2倍にあたる450億円をM&Aに投じる。

事業の多角化やシナジーの最大化が目的で、こうした取り組みで最終年度の2026年3月期には7200億円の売上高と180億円の経常利益を目指す。これは2023年3月期と比べると22.4%の増収、48.0%の経常増益となる。

積極的なM&Aを背景に事業の急拡大を目指すヤマエとは、どのような企業なのか。

M&Aに拍車、2021年、2022年に急増

ヤマエは九州を地盤とする食品卸の大手で、近年は畜産関連や住宅・不動産関連にも力を入れており、主に加工食品、冷凍食品、小麦粉、酒類、農産物、飼料、木材、住宅資材などを仕入れ、コンビニエンスストアや量販店、建材・木材店などに販売している。

1950年創業の江夏商店が、1969年に久野食糧と合併し、ヤマエ久野が誕生したのが現事業のスタート点となる。その後1976年の高千穂酒造を設立したのを皮切りに相次いで子会社を設立、その数は同社が公表している沿革によると2011年までに10社ほどに達する。

その後も新会社の設立は続くが、2016年に、いんま商事の株式を取得し子会社化した後は、M&Aが活発化し、2017年と2018年に2社ずつ、2019年と2020年に1社ずつといった具合に、次々と買収を重ねていった。

2021年に持株会社のヤマエグループホールディングスを設立し、ヤマエ久野がその傘下に入った後は、M&Aに拍車がかかり、2021年に4社、2022年に7社と急激に件数が増加。2023年もすでに2社(関連会社化1社を含む)のグループ入りを決めた。

M&A Online
(画像=「M&A Online」より引用)


早くも4分の1を投入

直近のM&A案件は2023年7月に、東京プロマーケット上場で戸建住宅建設のLUMBER ONE<5526>を傘下に収めると発表(株式取得予定日は2023年9月1日)したもので、取得価格は100億円を超える。3年間の投資額450億円のうち早くも4分の1ほどを今回のM&Aに投じることになる。

LUMBER ONEは東京都立川市に本社を置く企業で、東京23区や郊外を中心に、土地仕入れや木造建築工事の請負、設計などを手がけている。2022年7月期の売上高は122億1700万円で、経常利益は4億7000万円だった。

ヤマエの2026年3月期の目標である7200億円の売り上げを達成するには、2023年3月期の売り上げ(5879億8200万円)から1320億円ほどを上積みする必要がある。LUMBER ONEの子会社化はこの1割ほどを満たす計算だ。

経常利益についても同様の計算をすると、2026年3月期の経常利益目標180億円を実現するためには、2023年3月期の経常利益(121億5600万円)から58億円ほどの上積みが必要で、今回のM&Aによってその1割弱が達成できることになる。

ヤマエは2016年に東日本エリアを中心にプレカット製品の製造・販売などを手がけるハイビックをグループ化したのをはじめ、2021年には関東地区に住宅資材を供給する体制を増強し、2022年には東京都多摩地区で新築戸建分譲や注文住宅事業を展開するアスティークの株式取得するなどの強化策を講じており、LUMBER ONEが加わることで、関東エリアの事業を一段と拡大できると判断した。