本記事は、内藤 誼人氏の著書『「習慣化」できる人だけがうまくいく。』(総合法令出版)から一部を抜粋・編集しています。

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(画像=oatawa / stock.adobe.com)

ゴムバンドを使って思考を修正する

自分のことを批判ばかりする人がいます。

「私は最低の人間だ」という思考ばかりをするのです。

そういう自己批判の思考習慣は何とかならないのでしょうか。

そんな人におススメなのが、ゴムバンド法です。

自分に対して、ネガティブな思考が浮かんだら、左の手首につけておいたゴムバンドを右の手首につけ変えるのです。

「こういう思考はよくないんだった」ということを意識しながら、ゴムバンドをつけ変えるわけです。しばらくして、また自己批判が起きたら、右の手首のゴムバンドを左の手首につけ変えます。

自己批判のたびに、ゴムバンドを交互につけ変えるようにすると、ばかげた自己批判をしている自分を意識することになり、そのうち自己批判の思考習慣もなくなっていくのです。

オランダのマーストリヒト大学のエルク・スミーツは、ゴムバンドでなくブレスレットを用意して、自己批判するたびにブレスレットを右手首から左手首へと交互に変えるようにしたところ、自己批判がおさまることを確認しています。

ブレスレットを与えて3週間後には、自己批判の思考はかなり抑えられることがわかりました。

「ネガティブなことを考えないようにしよう」と思っていても、なかなかネガティブ思考は消えてくれません。

ところが、手首に輪ゴムやブレスレットをつけ、それを左右につけ変えるという行動の一手間を加えると、なぜかネガティブ思考はおさまってくれるのです。

アイルランドの一風変わった習慣に、怒りが湧いて、もう我慢できないという気持ちになったら、ポケットに入れた小石をもう片方のポケットに移す、というものがあります。

小石の場所を変えることで、不機嫌になった自分の気持ちを転換させることが狙いなのですが、これも同じ原理です。

思考をストップさせたいなら、行動の一手間を加えるのがポイントで、よくない思考が頭に思い浮かぶたび、頬をパチンと叩いたり、手首につけた輪ゴムを引っ張って「パチン」と鳴らしたりするのもよいでしょう。

単に思考を抑え込もうとするだけでは、なかなかネガティブ思考は消えてくれません。

行動の一手間を加えることは、思考や感情のコントロールに役に立ちます。

ネガティブな感情を紙に書き出すことは、感情をスッキリさせるのに役に立ちますが、紙に書き出すだけでなく、さらにその紙を封筒に入れ、きちんと封をし、「さあ、これでネガティブな感情を封じ込めたぞ」という行動の一手間を加えると、さらに気分がスッキリすることをシンガポール国立大学のシューピン・リーが明らかにしています。

ネガティブな思考を変えたい人は、ぜひこれらのテクニックを試してみてください。

朝型人間になる

クヨクヨと心配したり、悩んだりする思考習慣がある人を調べてみると、ある共通点が見つかります。

悩んでばかりいる人は、だいたいみんな「夜型人間」という傾向があるのです。

アメリカのニューヨーク州立大学のジャコブ・ノタによると、悩むことが多いのは夜型人間だということですし、ストックトン大学のデビッド・レスターは、夜型の人ほど、抑うつの度合いが高く、絶望を感じやすく、しかも自殺願望も高いという傾向が見られることを突き止めています。

夜型人間には、どうもそういう傾向があるようなのです。

というわけで、できるだけ朝型人間に生まれ変わったほうが、楽しく人生を歩めるのだということを覚えておいてください。

ちなみに、朝型、夜型といった分類は、変えようと思えばいくらでも変えることができます。なぜなら、就寝する時間や起きる時間などは、だいたい習慣によって決まってくるからです。

血液型や体質といったものは基本的に変えることができませんが、朝型人間になるのは難しくありません。

少しずつ早い時間にお布団に入るとか、少しずつ起床時間を早くするということをやっていれば、だれでも朝型人間に生まれ変われます。朝型人間になったほうが、いろいろとトクをすることは明白ですので、ぜひ早起き習慣を身につけてしまいましょう。

「早起きは三文の徳」という言葉があります。

「三文」というのは、ものすごく小さなお金で、現代でいうと、わずか100円ほどだそうです。ということは、「何だ、そんなものしかトクをしないのか……」とガッカリするかもしれませんが、チリも積もれば山となるともいいます。

さらに早起きの習慣が身につくと、意欲的で、エネルギッシュで、明るく、楽観的な人間にもなれますから、相当におトクであることは間違いありません。

毎日、楽しく生活ができる人は、みんな朝型です。

夜型人間なのに、元気いっぱいという人には、まずお目にかかれません。

夜型人間は、どうしてもやる気が出ず、何となくダラダラしてしまい、らくな人生を歩みやすいのです。

成功している人は、みんな朝型人間だということを考えても、朝型人間には驚くほどのメリットがあると考えてよいでしょう。

「習慣化」できる人だけがうまくいく。
内藤 誼人(ないとう・よしひと)
心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長。
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。
社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。
趣味は手品、昆虫採集、ガーデニング。
著書に、『気にしない習慣よけいな気疲れが消えていく61のヒント』(明日香出版)、『世界最先端の研究が教える新事実心理学BEST100』、『世界最先端の研究が教えるすごい心理学』(以上、総合法令出版)など多数。その数は200冊を超える。

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