牛丼店「すき家」を展開するゼンショーホールディングス<7550>と、牛丼店「吉野家」を展開する吉野家ホールディングス<9861>が、食べて健康になる牛丼で、せめぎ合いを演じている。
ゼンショーホールディングスは京都大学大学院農学研究科と共同で「外食低糖質メニューおよび中食低糖質メニューが食後血糖値に及ぼす影響」に関する研究を実施。その結果、すき家で販売している、ご飯の代わりに豆腐や野菜を使った低糖質メニュー「牛丼ライト」が、中食低糖質弁当や中食通常弁当に比べて食後血糖値の上昇が抑えられることが分かった。
一方、吉野家ホールディングスは、女子栄養大学(埼玉県坂戸市)と共同で開発した「牛丼ON野菜」が2023年8月に、スマートミールとしての認証を取得したと発表した。スマートミールは生活習慣病予防や健康増進を目的として提供される食べ物で、厚生労働省が定めた基準を満たした食事に認証が与えられる。
ゼンショーでは「今後もサイエンスに基づいた健康に関する開発を行う」とし、吉野家でも「伝統の味を守りながら食生活の改善に役立つ、美味しい商品を開発する」としており、健康牛丼を巡る両社の競い合いはまだまだ続きそうだ。
牛丼が血糖の上昇を抑制
ゼンショーと京都大学は20代から50代の男女17人に、牛丼ライト(お肉ミニ=糖質13.1グラム、たんぱく質20.9グラム)、中食低糖質弁当(糖質39.5グラム、たんぱく質16.3グラム)、中食通常弁当(糖質65.0グラム、たんぱく質16.4グラム)の3種を食べてもらい、食後の血糖値を測定した。
その結果、牛丼ライトの血糖上昇曲線下面積(時間経過に伴う血糖値増加量の面積)は、中食低糖質弁当、中食通常弁当よりも小さかった。
たんぱく質を摂取すると、ホルモンの作用などで血糖値が下がるといわれている。牛丼ライトは糖質を抑え、牛肉や豆腐などにより、たんぱく質を20.9グラム摂取できることから、血糖の上昇が抑えられたと見られるという。
共同研究した京都大学大学院農学研究科の林由佳子准教授によると、血管はテニスコート 6面分ほどもあり、血液中の血糖値が高く維持されると血管の細胞が糖化し損傷を受け、動脈硬化など血管の老化につながるという。
そのうえで「牛丼ライトは血糖値の上昇が抑えられていて、量を摂りづらいたんぱく質も多く、満腹感も得られるすぐれたメニュー」としている。
【血糖上昇曲線下面積】(mg×min/dl)