投資信託は、あらかじめ定められた指数(インデックス)との連動を目指す「インデックス・ファンド」、指数を上回る成果あるいは指数に捉われずリターン拡大を目指す「アクティブ・ファンド」の2種類に分けられます。

投資信託の名称に指数の呼称が含まれることが多いインデックス・ファンドは比較的判別しやすい一方、アクティブ・ファンドかどうかを即時に見分けるのは難しいです。本記事ではアクティブ・ファンドかどうか見分けるための4通りの方法についてご紹介します。

アクティブ・ファンドとインデックス・ファンドの違い

アクティブファンドとインデックスファンドの見分け方4選
(画像=DESIGNARTS/stock.adobe.com)

アクティブ・ファンドとインデックス・ファンドの大きな違いは、運用方針や目指している成果です。

アクティブ・ファンドでは、ファンドマネージャーと呼ばれる専門家が独自に調査や分析を行い、市場平均以上の成果を目指します。一方、インデックス・ファンドでは運用の基準となるベンチマーク(株価指数など)が設定され、ベンチマークと連動する成果が目指されます。

以下の表は、アクティブ・ファンドとインデックス・ファンドの主な違いをまとめたものです。

主な違いアクティブ・ファンドインデックス・ファンド
目指している成果市場平均(指数)を上回るベンチマークとの連動
運用方針独自の調査や分析を経て、銘柄を選定するベンチマークと同様の構成
ベンチマーク設定されないファンドもある株価指数などを設定
投資できる分野幅広い分野に投資可能指数が存在する分野のみ
信託報酬比較的高いものが多い比較的安いものが多い

なお、上記はあくまで全体的な傾向であり、全てのファンドに該当するとは限りません。たとえば、信託報酬はファンドごとに設定されているため、一部のアクティブ・ファンドより保有コストが高いインデックス・ファンドも存在します。

アクティブ・ファンドとインデックス・ファンドの見分け方4選

投資信託の購入前には、アクティブ・ファンドとインデックス・ファンドのどちらに該当するかや、各ファンドの特性を押さえることが重要です。ここからは、アクティブ・ファンドとインデックス・ファンドの見分け方をご紹介します。

【方法1】投資信託の名称で確認する

インデックス・ファンドの商品名称には、「インデックス」というワードや、「TOPIX(トピックス)」「日経平均(日経225)」といった、連動を目指すベンチマークの呼称が含まれることがあります。そのような場合は大抵のケースでインデックス・ファンドであると考えてよいでしょう。

逆に、商品名称からインデックス・ファンドであることが判断できないようなケースでは、「アクティブ・ファンドかもしれない」と考えることが重要です。ただし、商品の名称だけで正確に判断することはできないので、以下で説明するほかの方法でも併せて確認しましょう。

【方法2】投資情報メディアで確認する

一般向けに公開されている投資情報メディアを見ると、投資信託に関する情報を確認することができます。証券会社や運用会社に限らず、業界団体や独立系投資情報サービス会社、さらにポータルサイト運営企業など多岐にわたる運営主体が、メディアを通じて、投資信託に関する情報を分かりやすく提供しています。

メディア上ではデータベース化された投資信託についての詳細情報を簡単にスクリーニングしたり、特定の投資信託に関する情報を閲覧したりすることができます。インデックス・ファンドかどうかについても掲載されていることが多いので、その情報を使えばインデックス・ファンドとアクティブ・ファンドを見分けることができます。情報が網羅的に整理されているので、日頃から投資信託に関する情報源として利用するとよいでしょう。

一例として、投資信託運営を行う金融機関のほとんどが会員となっている一般社団法人投資信託協会が提供しているサービス「投信総合検索ライブラリー」では、約6,000本(2023年9月10日時点)の投資信託情報がデータベース化されており、各投資信託がインデックス・ファンドかどうかを確認することができます。

【方法3】公式サイトで確認する

投資信託の運用会社は、運用するファンドの商品内容について、自社の公式サイトで紹介しているケースがあります。

後述する交付目論見書は分量が多く読み込むのが大変ですが、公式サイトでは重要な部分を分かりやすく説明していたり、会社としての運用方針や運用実績、さらにファンドマネージャーのメッセージなどが掲載されていたりします。

公式サイトに掲載されている情報を一読すれば、その投資信託がインデックス・ファンドなのかアクティブ・ファンドなのか見分けられる可能性が高いでしょう。

【方法4】交付目論見書で確認する

最終的には「交付目論見書」でファンドの目的や特色を確認するのが適した方法と言えるかもしれません。交付目論見書とは、投資信託の投資判断に必要な重要事項を説明した重要な書類です。投資信託の目的・特色や、投資リスク、運用実績など各投資信託とも同じ構成で重要事項が列挙されていますが、そこに記載されている内容を確認すると、投資信託の種類を判別することができます。

インデックス・ファンドの場合は、交付目論見書冒頭にある商品分類に「インデックス型」と表示され、ファンドの目的として「(特定の)インデックスに連動することを目指す」との記載があることが一般的なので、判別は容易です。

一方で、アクティブ・ファンドの場合は商品分類欄に補足分類の記載がないことが一般的です。その上で、ファンドの目的や特色欄に「一般的な市場インデックスを上回ることを目指す」や「中長期的な信託財産の成長を目指す」といったインデックスと連動しないことを示す記載がある場合は、アクティブ・ファンドであると考えてよいでしょう。

アクティブ・ファンドとインデックス・ファンドの運用成績

アクティブ・ファンドではファンドマネージャーが投資先を選びますが、必ずしもインデックス・ファンドの運用成績を上回るわけではありません。実際に、証券会社などのサーチ機能でトータルリターン(※)を比較すると、上位にランクインしているインデックス・ファンドも見られます。

(※)値上がりや分配金だけではなく、ファンドの運用にかかったコストも含めたリターンのこと。

インデックス・ファンドとは違い、アクティブ・ファンドでは指数で採用していない銘柄も投資対象になります。相場状況によっては、インデックスで採用している株式などが上昇し、それ以外の株式が下落することもあるため、アクティブ・ファンドのパフォーマンスだけが下がる可能性もあります。

ただし、アクティブ・ファンドにも利点があり、株価指数などのインデックスが全体的に下落している一方で、組み入れているインデックスに採用されていない銘柄が相対的に下がっていないような局面では、資産の分散によってリスクを抑えられるかもしれません。いずれかが優れているわけではないので、ご自身の目的や相場状況に合ったファンドを選びましょう。

まとめ

アクティブ・ファンドかどうか、投資信託の名称だけで全て見分けられることは難しいです。しかし、投資情報メディアや公式サイト、交付目論見書でファンドの目的や特色を確認すれば、インデックス・ファンドとアクティブ・ファンドの見極めができるようになるでしょう。

※本記事は投資信託に関わる基礎知識を解説することを目的としており、特定ファンドの売買や投資を推奨するものではありません。

(提供:Wealth Road