外貨預金をするのであれば、通貨に関する金融政策を行う各国の中央銀行の存在やその役割を知っておきたい。我が国・日本の中央銀行である日本銀行 (日銀) はどのような政策を担っているのかに特に焦点を当て、解説していこう。
通貨と中央銀行
そもそも中央銀行は、各国もしくは地域において、貨幣制度や金融機構の中核となる機関のことを指す。日本においては日本銀行 (日銀) 、アメリカにおいてはFRB (連邦準備制度理事会) 、ユーロ圏においてはECB (欧州中央銀行) が中央銀行の役割を果たしている。
中央銀行の役割を果たす機関が担っている機能は、各国・地域によって若干異なるが、一般的には、紙幣や貨幣を発行する役割、通貨の価値を安定させる役割、市中銀行と資金の取引を行う役割、国家の預金を取り扱う役割を果たしている。
これら4つの役割はそれぞれ「発券銀行」「通貨の番人」「銀行の銀行」「政府の銀行」などと形容されることがある。
各国・地域の中央銀行
早速、各国・地域の中央銀行について解説していく。
日銀
日銀は前述の通り、日本の中央銀行だ。日銀の意思決定は「政策委員会」を通じて行われ、総裁 (1人) 、副総裁 (2人) 、審議委員 (6人) の計9人のメンバーの多数決によって決定される。
政策委員会は「金融政策決定会合」を年8回開催し、その結果や会合後の総裁の記者会見はメディアで大きく取り上げられる。
FRB
「中央銀行」という単語は含まれていないが、アメリカにおいてその役割を果たしているのが、FRB (連邦準備制度理事会) だ。FRBの決定内容は世界の金融業界に大きな影響を与え、利上げによる金融引き締めは世界的な株安を誘発する要因にもなり得る。
ちなみにFRBが開催する政策の決定会合のことをFOMC (連邦公開市場委員会) と呼ぶ。
ECB
ユーロ圏において中央銀行の役割を果たしているのが、ECB (欧州中央銀行) だ。欧州単一通貨であるユーロを導入した国が参加して、金融政策を決める役割を果たしている。設立された年は1998年で、役員会メンバーは仏独伊西の4国を含む6国で構成される。
現在ユーロを導入している国は、2023年1月に新たにクロアチアが導入し20ヶ国となった。
BOE
BOEは「Bank of England」の略で、イギリスにおいて中央銀行の役割を果たしているイングランド銀行のことを指す。
世界最古の中央銀行は、スウェーデンの中央銀行であるスウェーデンリクスバンク (設立1668年) だが、BOEもその歴史は長く、世界で2番目に古い1694年に創設されており、BOEは世界の中央銀行の規範的な存在とされてきた。
RBA
外貨預金でよく注目される通貨に「豪ドル」がある。オーストラリアの通貨で、同国の通貨政策を担っているのがRBA (オーストラリア準備銀行) だ。最大雇用の維持もRBAの主要な役割とされる。
RBNZ
オーストラリアのお隣、ニュージーランドの通貨の「NZドル」も、米ドルやユーロ、英ポンド、豪ドルなどともに外貨預金で注目されやすいメジャーな外貨だ。ニュージーランドで中央銀行の役割を果たしているのがRBNZ (ニュージーランド準備銀行) だ。
日銀が行う主な金融政策
続いて、我が国の中央銀行である日銀が行う金融政策について解説する。
政策金利操作
日銀の金融政策は大きく「政策金利操作」「公開市場操作」「預金準備率操作」に分類される。このうち政策金利操作は、市中銀行に資金を貸す際の基準金利を決めるものであり、景気を回復させることや物価を抑制させることなどを目的に行われる。
支払準備率操作
支払準備率操作は「預金準備率操作」などとも呼ばれる。金融機関は受け入れ預金の一定比率を日本銀行に預け入れる制度があるが、「準備率」とはその比率を示すものだ。
以前は金融緩和や引き締めの目的で操作が行われてきたが、1991年10月以降は変更されていない。
公開市場操作
公開市場操作は、日銀が物価の安定などを目的に、公開の金融マーケットで国債や手形などの売買を行うことを指す。この公開市場操作によって、市中に流通する通貨量 (マネーストック) を調節する。
ちなみに、中央銀行が国債などの有価証券を購入することを「買いオペレーション」 (買いオペ) 、売却することを「売りオペレーション」 (売りオペ) と呼ぶ。
外貨に関するニュースの理解度を高めるために
外貨預金を始める際や預金をしている間は、円やドルなどの金利が今後どう動くかなどを予測するため、外貨に関するニュースには目を配りたい。その際、各国の中銀の存在や役割を知っていれば、ニュースを理解しやすくなる。最低限、この記事で紹介した基礎知識は頭に入れておこう。
(提供:大和ネクスト銀行)
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