外貨預金に取り組む際、資産の何%を外貨預金に充てるべきか悩む人は多いだろう。例えば、日本の年金積立金は約半分が外貨建てで運用されており、外貨投資の重要さがうかがえる。

しかし、何%が適切かは個人によって異なるものだ。そこで本記事では、自分に合った資産割合を考えるための視点を紹介する。

GPIFは資産の半分が外貨建て

外貨預金は資産の何%がベスト ? 資産割合を検討する際の3つの視点
(画像=doomu / stock.adobe.com)

日本の年金積立金は、厚生労働省所管の「年金積立金管理運用独立行政法人 (GPIF) 」によって運用されている。資産運用額は2022年末時点で約190兆円にも上り、日本の年金制度を維持していくために、堅実なポートフォリオが組まれている。

具体的には4つの資産で運用されており、それぞれの比率は2022年12月末時点で「国内債券」が26.07%、「外国債券」が24.59%、「国内株式」が25.07%、「外国株式」が24.27%となっている。このうち外国債券と外国株式は外貨建ての資産となり、冒頭でも触れた通り全体のほぼ半分 (計48.86%) を占める。

つまり、年金積立金の運用でこれだけ外貨建て資産が保有されているということは、外貨投資は資産運用のリスクを低くし、かつしっかりとリターンを得ていく上で重要な役割を果たしているということだ。

外貨預金に充てる資産割合に正解はない

外貨投資の有用性が理解できたところで、本題に入る。では資産の何%を外貨預金に充てるべきか。結論から言えば、自分の余剰資金の金額やリターン目標、リスクの許容度などによって、パーセンテージは変わってくる。

次項から、自分に合ったパーセンテージを導き出すための3つの視点を解説する。外貨預金に充てる割合の実際の事例も併せて紹介するので、さまざまな条件によってパーセンテージが変わってくることを理解してほしい。

「余剰資金」という視点

投資の失敗によって、現在や将来の生活に致命傷を与えてしまわないためにも、保守的な資産運用という視点を忘れずにいたい。そのために大切なのが、資産運用は「余剰資金」で行うということだ。自分の資産から現在の生活や将来必要な金額を差し引いたものが余剰資金だ。

ここでは、保守的な資産運用を行うことを前提に、比較的お金に余裕がある50代世帯のケースで考えてみる。

事例:「25%」となるケース

世帯の総資産が6,000万円で、このうち3,000万円が余剰資金だとする。その余剰資金の半分をGPIFと同様に外貨建て資産として外貨預金をする場合、外貨預金の金額は1,500万円となる。この場合、総資産における外貨預金の割合は25%だ。

事例:「35%」となるケース

世帯の総資産が1億円で、このうち7,000万円が余剰資金だとする。その余剰資金の半分を外貨預金で運用する場合、外貨預金の金額は3,500万円となる。この場合、総資産における外貨預金の割合は35%だ。

「どれくらいのリターンを目指すか」という視点

金額ベースで目標リターンを最初に決め、その目標を達成するために必要となりそうな金額を外貨預金で運用する考え方もある。

例えば株式投資の場合、アメリカの主要な株価指数である「S&P500」の平均リターンは年10%前後なので、年間500万円のリターンを目指すなら5,000万円を運用する、といった形となる。

そのため外貨預金の場合、「年間◯%の金利で○万円のリターンを目指すなら、必要な外貨預金額はいくらか」といった考え方となる (※為替差益によるリターンを考えない場合) 。

事例:「50%」となるケース

年間2%の金利で100万円のリターンを目指すなら、必要な外貨預金額は5,000万円となる。もし総資産が1億円の場合、外貨預金の割合は50%となる。

事例:「33%」となるケース

年間3%の金利で100万円のリターンを目指すなら、必要な外貨預金額は約3,333万円となる。もし総資産が1億円の場合、外貨預金の割合は約33%となる。

「リスクをどれくらい許容できるか」という視点

リスクの許容範囲によっても適切な外貨預金のパーセンテージは変わる。例えばドル円相場では、過去20年で20%弱ほどドル安方向に振れたことがあり (2008年:18.67%) 、米ドルを保有していた場合、大きく資産価値が目減りした。

仮に1年間で20%ドル安になった場合、米ドル建ての外貨預金の円換算価値は年間で20%減り、1,000万円分を預金していた場合は200万円分の含み損がでる。この含み損をいくらまで許容できるかは個々人の感覚などによって異なる。

事例:「40%」となるケース

20%ドル安になるリスクの下、400万円まで含み損を許容できるなら、外貨預金額のMAXは2,000万円となる。総資産が5,000万円で、資産運用を外貨預金だけで行う場合、外貨預金の比率は40%ということになる。

事例:「60%」となるケース

20%ドル安になるリスクの下、600万円まで含み損を許容できるなら、外貨預金額のMAXは3,000万円となる。総資産が5,000万円で、資産運用を外貨預金だけで行う場合、外貨預金の比率は60%ということになる。

視点・アプローチよってパーセンテージは変わる

堅実な資産運用を目指すなら、預金利息が安定的に得られる外貨預金にぜひ挑戦したいところだ。

ただし本記事で紹介したように、外貨預金に充てるべき資産割合はどのような視点で取り組むかによって異なってくる。そのため自分のケースに置き換えて、最適なパーセンテージを導き出すという作業に、まずは取り組んでみてほしい。

(提供:大和ネクスト銀行


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