楽天グループ<4755>が12月11日付で楽天銀行<5838>株を売却し、約606億円を調達することになった。1株当たりの価格は2470円で、発表した7日終値の2500円より30円安い。楽天はモバイル通信事業の基地局投資がかさみ、2024年から2025年にかけて約8000億円の社債償還を迎える。今回の楽天銀売却だけでは不十分だ。さらなる子会社の新規上場(IPO)に踏み切るか、注目されている。

社債償還には、さらなる子会社IPOが必須

楽天銀行は2023年4月に東証プライム市場に新規上場した。この他にもIPO候補としては楽天カード(東京都港区)や楽天証券ホールディングス(同)などの連結子会社があるが、モバイル通信事業で生じた財務の「穴」を埋めるには、同事業を手がける楽天モバイル(東京都世田谷区)のIPOによる資金調達が妥当だろう。

楽天は楽天モバイルを連結子会社として維持するはずだ。楽天銀株売却では保有比率を63%から49%に引き下げ、連結子会社のまま維持した。楽天モバイルも同様だとしたら売却する株式は51%、IPOにより楽天が調達できるのは時価総額の半分程度になる。

楽天銀株売却で調達した資金を合わせても、社債償還に必要な金額には届きそうもない。とはいえ楽天モバイルはグループ内で有望なIPO案件であることに間違いはなく、巨額の社債償還には必須と言えるだろう。

文:M&A Online