日本のプロ野球チームより高額の大谷選手
一方、国内プロ野球のM&Aを見ると、2004年のソフトバンクによるホークス買収は約200億円(球団50億円+興行権150億円)、2011年のDeNAによるベイスターズの買収は約65億円なので、大谷選手1人よりも「格安」なことが分かる。
時価純資産法にのれんを上乗せしたM&A評価法を一例として持ち出すと、両チームの純資産は2023年2月期の福岡ソフトバンクホークスが240億3900万円、2022年12月期の横浜DeNAベイスターズが66億9700万円なので、それに「のれん」を上乗せした金額が時価純資産法によるM&A評価額になるが、現時点の評価でも大谷選手1人よりも安いのは確実だろう。
買収された経験はないが、今年日本一となった阪神タイガースの2023年3月期の純資産は92億3000万円。名門チームだけに多額の「のれん」は期待できるものの、純資産の10倍を超えるとは考えにくい。つまりタイガースも大谷選手より「安い」のは間違いなさそうだ。
しかし、米メジャーとなると話は違う。ニューヨーク・メッツは2020年、大富豪でヘッジファンドマネージャーのスティーブ・コーエン氏に約24億ドル(約3510億円)で買収されている。昨年、大谷選手が在籍していたエンゼルスの売却が取り沙汰された際には買収価格が30億ドル(約4380億円)と予想されていた。日本のプロ野球球団とは桁(けた)が違う。もっとも大谷選手の移籍で、エンゼルスの評価額は大幅に下落することになりそうだ。
文:M&A Online